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1章
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エヴァトリスが帰った公爵家ではカタリーナがそのままお茶を続けていたが、しばらくして神殿に連絡しなくてはいけないことを思い立った。安静を強要されていた時は公爵家の使者が直接神殿に詫びに行ったらしいが、今後しばらくいけないとなると予定は変わってくる。先日やっとリシャールに認めてもらったと思っていたカタリーナとしてはまた関係が悪化するのかと心配になる部分もある。自室に戻り手紙を書くことにするが理由をどうすれば良いかしばらく悩むことになる。止められたのはカタリーナの体調を考慮しての事だが、体調に問題があるかと言えば違う。王家主催など必要な夜会には参加する事になるだろう。
両親は以前から調子を崩した事を心配しており間隔を十分に空けて、休養をとりながら神殿で学ぶように言っていたが、禁止される事はなかった。その事はリシャールにも伝えており頻回に来られない理由として理解してもらっている。だが、今回は一時的ではあるが禁止されてしまった。いつまで、神殿での学びが中止となるか分からない状態であり、カタリーナが聖魔法の学びに前向きな事を知っている神殿関係者からすれば誰かの介入を考えさせる可能性高い。どうしたものか悩んだ結果、カタリーナは考えるのが面倒になってきた。カタリーナが禁止されたのは神殿で聖魔法を学ぶ事であり、神殿を訪れる事を禁止されたわけではないのだ。と言うことは直接リシャールの反応を見ながら話をしても問題はないはずである。そう思い込んだカタリーナの筆の進みは早かった。先日体調を崩した事、訪問する約束を守ることができず申し訳なかったこと、現在は体調が良くなってきたが周囲の心配もありしばらくお休みさせていただきたい事を書き記す。その後に、魔法の練習ではないが一度お詫びで訪問したい旨を伝えて日付の伺いを立てた。一通り書き終えて読み直しおかしな所がない事を確認する。内容に満足して、封をし侍女にそれを託すとため息をついた。
カタリーナは完全に勘違いをしていた。体調を心配され聖魔法の練習を禁止されたのであって、神殿自体を禁止されたとは思わなかったのだ。手紙で書きにくいのであれば、お詫びの品を持って直接話をしようと思った。問題だらけだが、今ここにそれに気づく者は居ない。カタリーナ本人は嬉々として神殿からの連絡を待っており、手紙のやり取りを知っている侍女はエヴァトリスが神殿の訪問を禁止している事を知らない。公爵家当主であるエステルの父には頻回にリシャールと連絡を取り合っている事を知っていたが魔法を学ぶ事をしばらく休むように伝えた事が理由であると思っていたためそれほど気にしていなかった。誰にも気づかれないまま、約束は交わされる。神殿に訪問する日付が決まりカタリーナの父に報告する時に言われた事は
「魔法の事ではなく、今回はお話しのみに留めてあまり長くならないようにしなさい」
と言われただけだった。カタリーナの父もエヴァトリスが神殿への訪問を禁止した事は知らなかった。
ルルーシュがその事に気付いたのはたまたまだった。カタリーナが外出の準備をしており、どこに行くか聞くと神殿と答えたのだ。エヴァトリスから数日前に神殿の訪問を禁止された事を知っているルルーシュは耳を疑ったが、気にした様子もなく
「皆んなに体調を心配されるから、しばらく魔法はおやすみしようと思って、その事を神殿にお伝えするの。前に体調を崩して約束の日にお伺いできなかったお詫びもしたいから。手土産として厨房の方からフィナンシェも作っていただいたのよ。」
とてもにこやかに話すが、ルルーシュは頭が痛苦なってくるのを自覚せずにはいられない。
「数日前に殿下に神殿には行かないようにって言われたばっかりでしょ」
少し呆れ口調になってしまった。どこか抜けているカタリーナだからきっとその事を忘れてしまったと思ったのだ。だが、カタリーナの返事は予想の斜め上をいく。
「だからよ。殿下にも心配かけたみたいだから、しっかりとお話しとお詫びしてくるわ」
「確かに殿下は姉上のお体の事も心配されているけど、未婚の男性と2人で過ごされるのも心配なんだよ」
思った以上にエヴァトリスの思いが伝わりきれていないカタリーナは『神殿に行く事を禁止』と言う言葉を『聖魔法を学ぶ事を禁止』と自己変換してしまったらしい。理由をはっきり述べられていない状況での自己解釈はある程度仕方ないが、解釈の仕方がよろしくなかったのは言うまでも無い。ルルーシュは言葉をつなげるが中々真意は伝わらない。
「まぁ、それでは殿下がヤキモチをやいているみたいだわ。それに、リシャール様とそんな事になるはずないじゃない。」
クスクスと笑いながら発する言葉は完全に冗談を言っている口調になっている。
「そうだよ、殿下はヤキモチをやいているんだよ」
これ以上遠回しなやり取りでは何も得られないと思い、そのままの言葉を伝えるがそこは相手がカタリーナだ。伝わるはずもなかった。
「ルルーシュもそんな冗談言うのね。楽しかったわ。でも、そろそろ向かわないと間に合わなくなるから今日はこの辺りにしましょう」
全く信じてもらえず馬車に乗り込もうとする姿を見て自分ではどうにもできない事を知ったルルーシュは一言だけ
「では、殿下に報告させていただきます。殿下からの言葉は『神殿の訪問禁止』であり『聖魔法禁止』ではありませんでした。解釈の違いはあると思いますが、殿下の言葉を違えていることになりますので」
「分かったわ。気をつけてね。でも、あまり殿下のご迷惑にならないようにね」
カタリーナはにこやかに馬車に乗り込み神殿へと向かう。それを見送ったルルーシュは馬を準備してもらい足早に王宮へ向かった。これからの事を思いルルーシュは馬上で何度も盛大なため息を吐くのだった。
両親は以前から調子を崩した事を心配しており間隔を十分に空けて、休養をとりながら神殿で学ぶように言っていたが、禁止される事はなかった。その事はリシャールにも伝えており頻回に来られない理由として理解してもらっている。だが、今回は一時的ではあるが禁止されてしまった。いつまで、神殿での学びが中止となるか分からない状態であり、カタリーナが聖魔法の学びに前向きな事を知っている神殿関係者からすれば誰かの介入を考えさせる可能性高い。どうしたものか悩んだ結果、カタリーナは考えるのが面倒になってきた。カタリーナが禁止されたのは神殿で聖魔法を学ぶ事であり、神殿を訪れる事を禁止されたわけではないのだ。と言うことは直接リシャールの反応を見ながら話をしても問題はないはずである。そう思い込んだカタリーナの筆の進みは早かった。先日体調を崩した事、訪問する約束を守ることができず申し訳なかったこと、現在は体調が良くなってきたが周囲の心配もありしばらくお休みさせていただきたい事を書き記す。その後に、魔法の練習ではないが一度お詫びで訪問したい旨を伝えて日付の伺いを立てた。一通り書き終えて読み直しおかしな所がない事を確認する。内容に満足して、封をし侍女にそれを託すとため息をついた。
カタリーナは完全に勘違いをしていた。体調を心配され聖魔法の練習を禁止されたのであって、神殿自体を禁止されたとは思わなかったのだ。手紙で書きにくいのであれば、お詫びの品を持って直接話をしようと思った。問題だらけだが、今ここにそれに気づく者は居ない。カタリーナ本人は嬉々として神殿からの連絡を待っており、手紙のやり取りを知っている侍女はエヴァトリスが神殿の訪問を禁止している事を知らない。公爵家当主であるエステルの父には頻回にリシャールと連絡を取り合っている事を知っていたが魔法を学ぶ事をしばらく休むように伝えた事が理由であると思っていたためそれほど気にしていなかった。誰にも気づかれないまま、約束は交わされる。神殿に訪問する日付が決まりカタリーナの父に報告する時に言われた事は
「魔法の事ではなく、今回はお話しのみに留めてあまり長くならないようにしなさい」
と言われただけだった。カタリーナの父もエヴァトリスが神殿への訪問を禁止した事は知らなかった。
ルルーシュがその事に気付いたのはたまたまだった。カタリーナが外出の準備をしており、どこに行くか聞くと神殿と答えたのだ。エヴァトリスから数日前に神殿の訪問を禁止された事を知っているルルーシュは耳を疑ったが、気にした様子もなく
「皆んなに体調を心配されるから、しばらく魔法はおやすみしようと思って、その事を神殿にお伝えするの。前に体調を崩して約束の日にお伺いできなかったお詫びもしたいから。手土産として厨房の方からフィナンシェも作っていただいたのよ。」
とてもにこやかに話すが、ルルーシュは頭が痛苦なってくるのを自覚せずにはいられない。
「数日前に殿下に神殿には行かないようにって言われたばっかりでしょ」
少し呆れ口調になってしまった。どこか抜けているカタリーナだからきっとその事を忘れてしまったと思ったのだ。だが、カタリーナの返事は予想の斜め上をいく。
「だからよ。殿下にも心配かけたみたいだから、しっかりとお話しとお詫びしてくるわ」
「確かに殿下は姉上のお体の事も心配されているけど、未婚の男性と2人で過ごされるのも心配なんだよ」
思った以上にエヴァトリスの思いが伝わりきれていないカタリーナは『神殿に行く事を禁止』と言う言葉を『聖魔法を学ぶ事を禁止』と自己変換してしまったらしい。理由をはっきり述べられていない状況での自己解釈はある程度仕方ないが、解釈の仕方がよろしくなかったのは言うまでも無い。ルルーシュは言葉をつなげるが中々真意は伝わらない。
「まぁ、それでは殿下がヤキモチをやいているみたいだわ。それに、リシャール様とそんな事になるはずないじゃない。」
クスクスと笑いながら発する言葉は完全に冗談を言っている口調になっている。
「そうだよ、殿下はヤキモチをやいているんだよ」
これ以上遠回しなやり取りでは何も得られないと思い、そのままの言葉を伝えるがそこは相手がカタリーナだ。伝わるはずもなかった。
「ルルーシュもそんな冗談言うのね。楽しかったわ。でも、そろそろ向かわないと間に合わなくなるから今日はこの辺りにしましょう」
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「では、殿下に報告させていただきます。殿下からの言葉は『神殿の訪問禁止』であり『聖魔法禁止』ではありませんでした。解釈の違いはあると思いますが、殿下の言葉を違えていることになりますので」
「分かったわ。気をつけてね。でも、あまり殿下のご迷惑にならないようにね」
カタリーナはにこやかに馬車に乗り込み神殿へと向かう。それを見送ったルルーシュは馬を準備してもらい足早に王宮へ向かった。これからの事を思いルルーシュは馬上で何度も盛大なため息を吐くのだった。
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