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「ぅ……っ」
英はぎゅっと目を瞑りながら低く呻く。
駈はちゃんと反応してくれたことが嬉しくて、さらにその手の動きを速めた。
先走りが幹に絡み一層扱いやすくなったそこを、駈はどうか気持ちよくなってほしいという願いを込めて必死にしごいた。
英のまっすぐな眉が歪む。そのこめかみを汗がつつ、と流れていく。
快感をこらえるその苦しげな顔は壮絶な色気を湛えていて、駈は腹の奥がさらにわななくのを感じ、はぁっと熱い息を漏らした。
英の呼吸が浅くなる。彼の最後はもうすぐそこまで来ている。
駈はさらに勢いを付けようとその怒張を包みなおそうとして――彼の手に止められてしまった。
「え、どうして……」
不安そうに見上げる駈に、英は何とかぎこちない笑顔を作る。
「これ以上されると……もたないから」
駈は首を傾げた。
「別に良いだろ。そのまま出せば……んッ」
言葉の途中で、また英に唇を塞がれる。
さらに、股間に伸ばしていた手をつかみ取られ、顔の隣に縫い付けられてしまった。
外に引きずり出されそうなほど荒々しく舌を絡ませられ、一方で、固く張り詰めるそこを膝で緩く擦られる。
ばらばらな刺激を上からも下からも与えられ、目じりに涙が浮かぶ。
自然と顎が上がってしまい、駈は背を大きくしならせながら高く喘いだ。
明らかな報復行為であるそれに、駈は再開された口づけの最中に彼を睨む。案の定彼の目は薄く開かれ、駈の様子を伺っていた。
だが、その瞳に浮かんでいたのは、滴るような欲望と――誤魔化しようのない怯えだった。
その時、駈の脳裏にある声が響く。
それは、ほんの少し前、英が駈にくれたものだった。
「駈?」
唇を離した英が、不安そうにこちらを見つめている。
(そうだ……こいつは言ったじゃないか)
駈はその目に微笑みかけ……最後の勇気を振り絞った。
駈は枕元に縫い留められていた手を動かす。すると、押さえつけていた力がぱっと抜ける。
駈は自由になったその手で、逆に英の手を掴みなおした。
そして……一度触れられたあの場所へと、その手をそっと導いた。
「か、駈……っ!?」
英が素っ頓狂な声を上げる。
そう驚かれるとなおさら恥ずかしくて仕方なかったが、駈は目を逸らすことなく、戸惑うばかりの英をまっすぐに見つめた。
「その……、一緒に、頑張ってくれるんだろ?」
力を込めたはずなのに、その声はどうしようもなく震えてしまっていたけれど。
英は見開いていた目をふわりと細めると、その顔に再び太陽のような笑みを刷いた。
そして、
「そんなの、当たり前だろ?」
そう言って、とびきりの熱く蕩けるようなキスを寄越したのだった。
英はぎゅっと目を瞑りながら低く呻く。
駈はちゃんと反応してくれたことが嬉しくて、さらにその手の動きを速めた。
先走りが幹に絡み一層扱いやすくなったそこを、駈はどうか気持ちよくなってほしいという願いを込めて必死にしごいた。
英のまっすぐな眉が歪む。そのこめかみを汗がつつ、と流れていく。
快感をこらえるその苦しげな顔は壮絶な色気を湛えていて、駈は腹の奥がさらにわななくのを感じ、はぁっと熱い息を漏らした。
英の呼吸が浅くなる。彼の最後はもうすぐそこまで来ている。
駈はさらに勢いを付けようとその怒張を包みなおそうとして――彼の手に止められてしまった。
「え、どうして……」
不安そうに見上げる駈に、英は何とかぎこちない笑顔を作る。
「これ以上されると……もたないから」
駈は首を傾げた。
「別に良いだろ。そのまま出せば……んッ」
言葉の途中で、また英に唇を塞がれる。
さらに、股間に伸ばしていた手をつかみ取られ、顔の隣に縫い付けられてしまった。
外に引きずり出されそうなほど荒々しく舌を絡ませられ、一方で、固く張り詰めるそこを膝で緩く擦られる。
ばらばらな刺激を上からも下からも与えられ、目じりに涙が浮かぶ。
自然と顎が上がってしまい、駈は背を大きくしならせながら高く喘いだ。
明らかな報復行為であるそれに、駈は再開された口づけの最中に彼を睨む。案の定彼の目は薄く開かれ、駈の様子を伺っていた。
だが、その瞳に浮かんでいたのは、滴るような欲望と――誤魔化しようのない怯えだった。
その時、駈の脳裏にある声が響く。
それは、ほんの少し前、英が駈にくれたものだった。
「駈?」
唇を離した英が、不安そうにこちらを見つめている。
(そうだ……こいつは言ったじゃないか)
駈はその目に微笑みかけ……最後の勇気を振り絞った。
駈は枕元に縫い留められていた手を動かす。すると、押さえつけていた力がぱっと抜ける。
駈は自由になったその手で、逆に英の手を掴みなおした。
そして……一度触れられたあの場所へと、その手をそっと導いた。
「か、駈……っ!?」
英が素っ頓狂な声を上げる。
そう驚かれるとなおさら恥ずかしくて仕方なかったが、駈は目を逸らすことなく、戸惑うばかりの英をまっすぐに見つめた。
「その……、一緒に、頑張ってくれるんだろ?」
力を込めたはずなのに、その声はどうしようもなく震えてしまっていたけれど。
英は見開いていた目をふわりと細めると、その顔に再び太陽のような笑みを刷いた。
そして、
「そんなの、当たり前だろ?」
そう言って、とびきりの熱く蕩けるようなキスを寄越したのだった。
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