魔法使いの弟子 IN 武術大会

切粉立方体

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Ⅰ 武術大会

13 魔法・・・得物として紙と携帯筆が用意されているそうだ

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朝食後は昨日と同様に観戦席に顔を出す。
今日は薄い黄色に白いレースの襞が縫いつけられた清楚な感じの服にした。
今日は白い花の多い花冠だったので、この服と良く合っていた。

今日も運営さんに練武場への顔出しを頼まれた。
有力選手の出場も無いので、観戦席を早めに退出してから練武場行く約束をした。
遠慮気味に瞬足の披露の予定を聞かれたので、一応午前に一回と説明したら安堵した顔をしていた。
たぶん問い合わせが物凄く多いのだろう。
ついでなので紙束とインクの追加を頼んで、どきどきしながら試合での魔法使用について聞いてみた。

試合での魔法使用は可能、うん、なんだか安心した。
得物として紙と携帯筆が用意されているそうだ。
筆は剣よりも強し?

でも普通は魔法陣を描き終わる前に叩きのめされて試合終了なので、使用者は皆無との説明だった。
事前に描いた魔法陣の持ち込みは不可。
そもそも大会事務局の貸与する得物以外の武器使用は禁止なので失格だそうだ。

貸与の紙と携帯筆で試合前に魔法陣を準備するのも失格。
試合開始前に戦闘行為に入ったと判断されるからだ。
それでも時々防御の魔法陣の入れ墨や筋肉増強の入れ墨をして出場する選手がいるそうで、魔法の発動が検知された時点で失格を宣言するそうだ。
魔法陣を刻んだ石を飲み込んだ武術者も居たそうだが直ぐにばれて失格したそうだ。

「訓練を受けた副審が四方から魔法検知の腕輪で厳重に監視してますから不正は絶対に許しません。だからペペロさんは安心して戦って下さい」

胸を張って微笑まれてしまった。
はい、ごめんなさい。
僕は自分の不正の心配してました。
魔法が発動しても時間が止まっているから発動が解らないのかも知れない。
でもそれってばれないだけで、不正行為なんじゃないだろうか。

もやもやしながら観戦席に出ると、今日も大歓声、手を振って歓声に答える。
今日はなんか僕の不正に対する怒号の様にも聞こえて来る。

「ペペ、なんで震えてるんだ」
「はは、あんまり期待されるとなんか申し訳なくて」

今日は泥仕合も少なく、テンポ良く試合が進行している。
一日約五十試合が行われるので、泥仕合が多いと最終試合の終了が真夜中になることも有るそうだ。

キリカさんとモモさんに断って、観客席から早めに引き上げた。
僕の魔法の不正使用が頭に引っ掛かって仕方が無かったのと、それと同時に僕がこの魔法の発動に関して呪文を唱えていないことに気が付いたのだ。
何かこれは通常の魔法じゃ無い気がするのだ。

着替えてから練習場へ行く。
今日は観客受けするように派手で大きい扇を持って体操する。
これって何気なくパンツを観客の目から隠すのに役立つ。
体操終了、筋肉も解れたし時間認識の改変能力を発動してみることにした。
審判の声をイメージし、神経を集中する。
なんと今日は九回目で発動した。

“四、五、六、七、八、九、十、十一、十二、十三、十四”

また少し時間が延びた気がする。
今日は十四歩目で時間の奔流が押し寄せて来た。
気が付くと、観客から万雷の拍手が起こっていた。
頭上で扇をぶんぶん振って愛想を振りまく。

「ぺぺ、今回は随分遠くに出たな」

キリカさんとモモさんも練武場に来ていた様だ。
集中してると時々回りが見えなくなる。

うん、幽霊みたいな言われ様だ。さあ、また体操で筋肉を解さなければ。

「じゃ、そろそろ飯にするか。悪いがプラムとライムを起して来てくれるか」
「えっ、まだ寝てるんですか」
「ああ、一日一回の顔見世はあたい達選手の暗黙のルールだからな。尻引っ叩いて起してくれ」
「はい、了解です」

僕は着替えに戻るついでだから引き受けた。
モモさん達は道着のまま昼飯を食べに行くらしい。

ライムさんの部屋のドアを叩く、反応無し。
ドアを押したら簡単に開いた、鍵を掛けていないようだ。
なんか不用心な気もするがまあ大丈夫か、たぶん普通の男なら一撃で撃退されるだろうから。

「入るよー」

念のため声を掛けてから中に入る。
すやすや寝ていた、全裸で布団に抱き付いて。
胸は隠れているが可愛いお尻が丸出しだ。
なので布団で覆ってから肩を揺する。

「昼だよー、ライムさん」
「えっ、誰。あっ、ペペさんお早う」
「もう昼ですよ、ライムさん。皆さん食堂で待ってますよ」
「えっ!昼。きゃー」

ライムさんがガバっと起き上がった。
うん、まだ発達途上の胸が丸見えだ。
全裸で洋服箪笥に走って行った。
さてとプラムさんも起すか。

“トントン”

うん、こちらも反応が無い。

「入るよー」

中に入ると床の上に脱ぎ捨てた服やタオルが散らかっていた。
厨房はなんか凄い事になっているし、テーブルの上の食器には、半分炭化した何かが乗っている。

寝室に入ると、布団は床の上に落ちており、ベットの上には大口を開けて大の字になったプラムさんが寝ていた。
うん、真っ裸だが色気も何も感じられない。
うん、胸は順調に育っているようだ。
ゴロリと裏返して尻を思いっきり叩く。

“きゃん”

あれ、予想外の可愛い反応だ。

「ほら、プラムさん昼ですよ。皆さん食堂で待ってますよ。それに何でこんなに部屋が散らかってるんですか。食器は使い終わったら片す、着た服は洗う、出した服は畳んでしまう、使ったタオルは洗って干して置く、濡れたまま床に放置なんて最低ですよ」
「あははは、ごめん」

胡坐をかいて、頭を掻いている。

「急がないとキリカさんに怒られますよ」

機敏に起き上がって、床に散乱している服を身に着け始めた。

「あっ、それ昨日履いたパンツでしょ」
「大丈夫だよ、一日くらい」
「だめです」

パンツを剥ぎ取って洗濯箱に入れて置く。

「あっ、それ昨日着た服だし皺々です」
「大丈夫だよ」
「大丈夫じゃないです、脱いで、脱いで」

服を剥ぎ取って、箪笥の中から適当な服を見繕って着せる。
服を洗濯箱に入れてから僕はせっせと床に散乱した服を拾い集めて畳んだ。

「顔洗ったよー、わー、部屋が綺麗になってる」

少し腹が立ったので、もう一発尻を叩いてから食堂に急ぐ。

「すまんなペペ、あたいが行くと説教が長くなりそうなんでさ」
「あー酷い、道場の部屋より片付いてますよ」

当たり前だ、まだ一日だし、一日であれだけ散らかっていれば十分だ。

「二人共午後から観戦席へ顔見世に行け」
「はい」
「はい」
「うむ。ペペは午後も練武場で練習か」
「いえ、最初はプラムさんの部屋の片付けです。その後少し部屋で考え事をします」

一刻も早く昨日書き写した記録を確認したかったのだが、プラムさんの部屋はもっと我慢が出来ない。

プラムさんの部屋に戻って着替えさせる。
順調に育った胸だから、胸の大きく開いた服も様になる。
腰も武術家らしく引き締まっているから、少し大人びた服で体の線を強調しても違和感が無い。
僕の日々の研究成果を発揮して化粧も施してやる。
うん、別人の出来上がりだ、こんなに部屋を散らかしている人とは思えない。
迎えに来たライムさんが驚いていた。

「プラムちゃん、凄い、大人の雰囲気」
「かっかっかっ、あたいは昔っからやれば出来る子なんだよ」

腰に手をあてて大口開いて笑ってたら、大人の雰囲気が台無しだ。
良し!やれば出来る子なら帰って来たら後片付けもしっかり覚えて貰おう。
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