奴隷を買うぞ・・異世界煩悩記

切粉立方体

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63 助っ人3

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「降ろせ、ええと・・・・・・。貴様!昨夜童をあれだけもてあそんでおいて、童に名を名乗っていないではないか。名は有るのじゃろ」
「当たり前だ。オークでいい。だいぶ敵兵が途中に伏せていたようだが、ここは安全なのか」

 マリアスを絨毯の上に降ろしてやる。

「安心せい、ここは童の居住区じゃ。居住区では互いに手出ししないのが暗黙のルールじゃ。使用人に逃げ出されたら互いに困るからの。ところでオーク、貴様本当に強いのか」
「まあ、あそこに伏せていた連中くらいなら大丈夫だ」
「うーむ、少々心許無いのう。良し、少々試させて貰うぞ。メルアセ、カリッサ居るか」
 
 部屋の奥の扉が開き、二十代後半くらいのメイド服を着た女性が二人現れた。

「はい姫様、ここに。良くぞご無事で」
「お帰りなさいませ姫様、安心いたしました」
「うむ、心配を掛けたな。早々じゃが、カリッサはグレース将軍を呼んで来てくれ、メルアセは童を着替えさせておくれ」
「姫様、この殿方にお茶などは」
「こ奴の事は気にせんでも宜しい。客人ではなく、素行の物凄く悪い下僕みたいなもんじゃ。放置しておいても害はない、たぶん」

 マリアスはメイドを連れて部屋を出ていった。
 することも無いので、ソファーで横になって寝る事にした。

ーーーーー
チュルセンティア王国 王女マリアス 

「でも姫様、あの方は勇者様なのでしょ」
「その積りで召喚したのだが、童も少々心配しておる。単なる強姦魔じゃったら目も当てられんからの。まあ、グレースに鑑定させれば判るじゃろ」
「姫様、もしかしてあの男に無理矢理」
「勇者の可能性もあるのじゃから多少の事は目を瞑ろうと思っておったのじゃが、あやつ明け方まで童を一睡もさせずに手籠めにしおった。穴を塞ぐなどと大言しておるが、勇者じゃなかったら八つ裂きじゃ」

 着替えて応接室に戻ると、グレースがあの男に抱きかかえられてソファーの上で暴れていた。
 オークなる奴は、寝ている様子なのだが、グレースを抱きかかえて胸を揉みひさいでいる。
 男嫌いのグレースは顔を真っ赤にして激怒している様子だが、上手く逃げられないようだ。

「カリッサ、どうした」
「あっ、姫様。グレース様が寝ているあの男の脇を通ったら、いきなり手を掴まれて引き倒されました」
「グレースが苦戦しておるようじゃ、メルアセ、あやつの頭を蹴飛ばして叩き起こせ」
「姫様、了解です。フン!、えっ?」

 武術の心得があるメルアセの蹴りが、眠りながら片手で掴まれ防がれたしまった。
 しかもそのまま、メルアセまでもが引き倒されて抱き抱えられてしまった。
 器用なもので、眠りながら二人の衣服を少しずつ剥いでいる。
 グレースはもう半裸状態だ。
 面白そうなので暫く様子を見たかったが、時間もないので、オークを起こす事にした。
 耳元に口を寄せて息を吸い込む。

「起きろ!!オーク!!」

ーーーーー
「起きろ!!オーク!!」

 耳元でいきなり大声で叫ばれたので、慌てて飛び起きる。
 あれ?何故か下着姿の女性と半分服を脱ぎかけた女性を両手に抱えていた。
 二人は凄い勢いで腕を振り解いて跳び退った。

「貴様!」
「この野郎!」

 そして凄い勢いで殴り掛かってきた。

ーーーーー
チュルセンティア王国 王女マリアス 

 二人は激怒して殴り掛かって行ったが、掠りもしないでいなされている。
 しばらくすると、滝の様な汗を流し、腕が上がらなくなった様子で二人ともオークを睨みながら床にへたり込んでしまった。

「二人とも落ち着け」
「はっはっはっはっはっ、姫、はっはっはっはっはっ、姫様、はっはっはっはっはっ、申し訳、はっはっはっ、ありません。はっはっ、御用のむきは、はっはっはっ」
「息を整えよ、グレース。こやつが勇者かどうか鑑定して貰おうと呼んだのだが」
「はっはっ、断言致します姫さま。こんな愚劣な醜男が勇者様である筈がありません」
「でも強いぞ、現にお前達が敵わないではないか」
「うっ、そっ、それは油断でございます。奇襲で無ければこんな愚劣で醜い男は私の敵ではありません」
「なら冷静になって再度勝負してみろ」
「はっ、承知しました。ただし、剣の使用を許可して頂きたい」
「えっ」
「構わんよ」
「貴様、醜男のくせに生意気だぞ。切り刻んでやる」
「それより服を着たらどうだ」
「えっ?きゃー」
「何で服を脱いでいたんだ」
「ぐっ、脱がせたのは貴様だろ」
「姫様、私もグレース様に加勢して宜しいでしょうか」
「もうヤケクソじゃ、許す」

 全員で練武場に移動したら既に練武場は黒山の人だかりだった。
 あの部屋は防音結界が施してある筈だし、あの部屋から誰も外に出ていない。
 それなのにこの人だかり・・・・、会話は外に筒抜けだったようだ。
 白狼隊長、金鷲隊長、青虎隊長、黒蛇隊長まで雁首を揃えている。
 もし此奴が本物の勇者ならば、都合の良いお披露目の場なのだが・・・・。

「これはこれは姫様、練武場などという汗臭い場所にいらっしゃるなんて御珍しい」
「お前達こそ何用じゃ、お母様の相手をせんでも良いのか」
「赤獅子隊長と赤獅子隊長を手籠めにしようとした男の勝負じゃからな、これを見逃したら一生後悔するわい。のう、赤獅子の」

 呼び掛けられたのに気が付かない程熱心にグレースとメルアセが打ち合わせをしている。
 メルアセは表向きは私のメイドだが、本業は暗殺などを行う影の部隊長だ。
 死んだお父様が私の身を案じて残してくれた貴重な私の財産だ。
 そのおかげでお母様の暗殺部隊は私に手出しが出来ない
 それだけに私がオークに攫われたことに責任を感じており、その犯人になす術もなく抱き寄せられてしまった自分が許せないようだ。
 
 オークが無造作に練武場の中央に出ていった。
 稽古を行っていた者達が一斉に稽古を止めて壁際に引き下がる。

「おい貴様、得物は」
「得物はこれだ」

 オークが拳を握ってみせる。

「貴様・・・、後悔させてやるぞ」

 グレースはスケールメイルに大剣、メルアセは鎖帷子の上に黒装束を纏い、腰の後ろへ交差させる様に小刀を刺している。

「それでは私が審判を務めましょう」
「ほう、おまえが出張るなんて珍しいな」

 金鷲隊長が審判を買って出た。

「それでは、始め」

 打ち合わせ通りなのだろう、始めの合図と同時にグレースが正面から斬り掛かり、メルアセが背後に回って鎖をオークの足元に投げた。

『えっ?』

 腕を組んで眺めていた隊長達の口から間の抜けた声が漏れた。
 グレースの剣が素手で受止められ、メルアセの鎖がオークの足をすり抜けた様に見えたのだ。
 次の瞬間グレースは右手で後頭部を掴まれ押し倒され、メルアセは左手に掴んだ鎖で引き寄せられていた。
 メルアセは引き寄せられる勢いを利用して、体勢を低くして足に切り掛かろうとしたのだが、刀を抜く前に背中を踏まれて押し潰されている。

「ぎゃっ」
「ぎゃっ」

 グレースとメルアセがオークに背中を踏まれて呻き声を上げた。

「遅い!」

 オークに怒鳴られて二人が跳び退る、二人とも屈辱で顔が真っ赤だ。
 再びアイコンタクトをとって襲い掛かる。
 今度はグレースが捨て身の突きを正面から入れ、背後からメルアセが手裏剣を投げる。
 手裏剣がオークの背中に刺さる前に一瞬で消え、次の瞬間グレースを脇に抱えたオークがメルアセの前に一瞬で移動していた。
 オークがメルアセの後頭部を掴む。

「ぎゃっ」
「ぎゃっ」
「遅い」

 その後二人は何種類ものパターンでオークに襲い掛かる簡単にいなされてしまう。
 二人は肩で息をして、滝の様に汗を流している。

「何だ、もう品切れか。それじゃこちらから行くぞ」

 オークが何事かを呟くと、オークの身体から青い炎が吹き出して来た。
 二人の顔が青くなった。
 その後は勝負などでは、素人の私にも判る完全な稽古だった。
 物凄い速さで拳が降り注ぎ、一瞬でも受け損なうと殴り倒される。
 最初にグレースが根が尽きた様に倒れて気を失った。
 そしたメルアセも頑張ったのだが、同じ様に前のめりになって倒れた。

「そこまで」

 金鷲隊長が試合の終了を告げる。

「ありがとうございます」

 オークが金鷲隊長に手を差し伸べた。
 その手を金鷲隊長が恐々と握る。
 
 オークが二人を脇に抱えて戻って来た。
 二人とも満足そうな笑みを浮かべて気絶している。

「王女様、議会の準備が整いました」

 練武場に入って来た兵士から命じた準備が整った事を知らされた。

「うむご苦労、こやつらを治療所へ届けてから、童も議場へ向かう。それとグレースは欠席じゃ」 

 練武場を出る時、金鷲隊長はまだ練武場の中央に立ち尽くしていた。

ーーーーー

 会議場の様な場所へマリアスに連れて行かれた。
 坐った場所は議員席の正面、たぶん議長席だと思う場所の上の広いベランダの様な場所だ。
 豪華な革張りの椅子が数個並んでいる。
 僕はマリアスの脇の席に座らされた。
 議員達が続々と集まってくる。
 ベランダの背後のドアが開き、着飾った三十代半ばくらいの女性がメイドを引き連れて入って来た。

「何事です、私をこんな場所に呼び出すなんて無礼ですよ、マリアス。もちろん覚悟はできているのでしょうね、その貧弱な裸体を晒して、約束どおり町中を全裸で歩かせます」
「ほっ、ほっ、ほっ、ほっ、残念だったわねお母様、勇者召喚は大成功よ。お母様の引退を勧告して頂く為に皆様に集まって頂いたのよ」
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