奴隷を買うぞ・・異世界煩悩記

切粉立方体

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81 ケントニクス2

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 宿所として宛がわれた場所は、洞窟の中ほどにあった居住区だった。
 駅のホームの様な場所で荷車が停まり、荷車から降りた人々の後に付いて壁面の自動扉から壁の中に入ると、自動改札口のような場所があり、人々は小さな金属板の様な物でタッチして通過して行く。
 改札口手前に呼び出しボタンがあったので、取敢えず押してみることにした。
 ボタンを押すと、壁面に画面が浮かび上がり、アニメ調の絵の女の子が話掛けて来た。

「なにか御用でしょうか」
「カードが無いんで通れないんですが、何とかならないでしょうか」
「当船は初めてですか」
「はい、初めてです」
「有人受付はされましたか」
「いいえ、してません」
「少々お待ち下さい」

 画面がコマーシャルに切り替わって暫く待たされた。

「お待たせいたしました。申し訳ございません、あなたの本日の労働記録以前の記録が、何らかの理由で欠落してしまっています。自動追尾受付装置の何らかの故障と推測されますので、申し訳ありませんが、再度お名前の登録を確認して下さい」

 画面が再び切り替わった。

”山田肇 十八歳 男 職業:運搬人(元地方行政官兼宗教家) 属性:ロリコン”

 また若返っている、これはこれとして、属性については少々意義を唱えておこう。

「属性の表記が正確性を欠いています。僕の守備範囲はもっと広がっています」
「次候補は強姦魔ですが書き換えますか」
「いいえ、ロリコンで結構です」
「それでは、右下の確認をタッチして下さい」

 画面右下の確認表示にタッチする。

「あのすいません」
「何でしょうか」
「今日僕と同じ掘削区で働いていた、僕と同じ様な記録の欠落がある治療師の女の子が二人居る筈なんですが、今何処にいるか解りますか」
「名前と年齢を教えて下さい」
「テオとファーレという名前で、年齢は・・・確か十五か十六だと思います」
「その情報については、あなたの属性情報によるプロテクトが掛っており、非開示情報となっております」
「・・・・・」

「おっほん、それではあなたに認識票を発行します。認識票を船内の壁面に提示して頂ければ、案内画面が表示され、割り振られたルームへの進行方向を提示いたしますのでご利用下さい。それではご案内を終了いたします」

 画面右下に四角い穴が開いて、そこから鎖の付いた金属札が出て来た。
 金属札を受け取って首から架けると、穴が閉じて画面が消えて、画面は元の普通の壁面に戻った。
 この場所の文明レベルは、日本よりも数段進んでいる様だ。

 改札口を出てから正面にあった柱に金属板を近付けると、案内画面が浮かび上がり、地図と進行方向を示してくれた。
 示された方向へ歩いて行くと、通路の左右に飲食店や商店が並んでいる場所に出た。
 ちょうど、オフィス街の地下通路の様な感じなのだが、歩いているのは背広やスーツ姿の男女ではなく、褌一丁の男性や胸帯と褌姿の女性なので凄くシュールな感じがする。

 案内に従って辿り着いた部屋は、ワンルームマンションの様な構造の部屋で、見慣れない近未来的な備品が配備されている部屋だった。
 取り敢えず部屋の壁面に認識票を近付けてみたら、壁面に画面が浮かび上がった。

「お帰りなさい、ご主人様。ナビゲーターのアヤと申します」

 画面から、アニメ調の絵の少しロリな女の子が微笑み掛けてきた。

「エネルギー削減計画に基づき、室内機器に使用制限が掛っております。空中元素固定装置と物品輸送装置は使用不可となっておりますので、食事は自分で材料を購入して調理して頂くか、飲食店の利用でお願いします。温水と冷水は常時供給されているので利用可能です。衣類洗滌器は夜間のみ利用可能です。睡眠カプセルは機能を停止しておりますので、ベットとしてご利用下さい。ナビゲーター画面は常時利用可能です。明日の勤務スケジュールを確認されますか」

ーーーーー
テオ

 オークの馬鹿と連絡が取れないまま、三月が過ぎてしまった。
 掲示板に紙を貼り出したり、採掘区をファーレと二人で探し回っているのだが、あの日以来、全然姿を見かけていない。
 早く見付けて殴り倒してやりたいと思っていたのだが、僕達も七十八カ所ある採掘区を転々とする生活になってしまったので、余計顔を合わせる機会も減ってしまっている。
 気が付いたら大きな事故が発生した個所に出向く応援部隊に配属されており、知らない間に主任的な立場を任されてしまっていたのだ。
 ファーレも同じような立場を任されており、互いに忙しくて、数日間顔を合わせない日々が続いていた。

「テオ、会いたかったよー」
「ファーレ、僕も」

 六日ぶりにファーレと会ったので、今日は二人で眺めの良い料理店に夕食を食べに来ている。

「オークの新しい情報は何かあった」
「この間、治療師本部に用事が有って行ったら、私達をストーカーしようとしているロリコンがいるから気を付けるようにって言われたの。勤務時間中は本部でスケジュール調整して近付けない様にしてるから大丈夫だけど、休日は気を付ける様にって」
「オークだね」
「うん、私も絶対にオークだと思う。だから、怖いから、念のため相手の住居を教えて下さいって頼んだら、簡単に住んでる場所と勤務スケジュールを教えてくれたの」
「今から殴りに行こうか」
「残念だけど、今日はオークが部屋にいないの。来週行きましょう」

ーーーーー
 酒場でコクルと言う三十歳前半くらいの女性と知り合った。
 夜を一緒に過ごす逞しい若い男を物色していたようで、実際の年齢は兎も角、額面上は若い僕に声を掛けて来たらしい。
 僕も半月程禁欲生活が続いて溜まっていたので、互いのニーズは完全に一致していた。
 なので初心うぶな若者の振りをして、僕は彼女をお持ち帰りさせていただき、朝まで寝ないで相手をして貰った。

 翌朝、目の下に隅を作ってよたよたと帰って行ったので、二度と僕に声を掛けて来ないだろうと思っていたら、予想に反して、彼女は二日後再び酒場にやって来たので、以来ずるずると肉体関係が続いている。
 コクルは生粋のこの船生まれのこの船育ちで、研究所の主任研究員を務めているインテリだった。

「あなたみたいな地上人からすると、洞窟を船って呼んでるなんて不思議でしょ。でもね、ここは昔、星の間を移動していた船なのよ。あっ、ほら話だと思っているでしょ」
「そんなことは無いさ。なるほど、ここは宇宙船の船内だったのか」
「へー、頭の中にも筋肉が詰まっていると思ってたけど、良く宇宙船なんて言葉を知ってたわね」
「ちゃんと頭の中には脳味噌が詰まってるさ。でもなんで船体の壁がここには存在しないんだ」
「へー、びっくり。下半身だけと思ってたけど、オークはそこまで理解していたんだ。そこまで理解出来ている地上人に会ったのは私初めてだわ。ふーん、じゃ、半分も解らないでしょうけど説明してあげるわ。ちょっと、真面目な話してるんだから胸触らないで頂戴、あっ、こら、だめ」

・・・・・

「はあ、はあ、はあ。もう、なにを話そうとしてたのか忘れちゃったじゃない」
「船体の壁面が無い理由だよ。痛てっ、抓るなよ」
「邪魔した本人が何よ。あのね、私達の祖先は資源探索の星間探検隊だったの。探検隊って言ってもあなた達では理解し難いかもしれないけど、幾つもの組織の大勢の専門家が、ちょうど、町をまるごと一つ移動させる様な感じで調査を行っていたそうよ。でもね、ある時星間移動に失敗して、無人惑星に激突して地中深くに埋まっちゃったらしいの。これが第一次遭難期で、脱出まで百年掛って、五万人いた隊員が半減したって記録に残ってるわ。船体を地上に引っ張り上げて、安全な宇宙空間で空間移動する方法と、リスクを冒して地下に埋まったまま空間移動する方法が検討されたそうよ。でもね、結局安全な方法をシュミレーションしてみたら、時間が掛り過ぎて、船の運航に必要な人数は生き残れないなんて笑っちゃう結論に達したそうよ」
「それで、コクル達の御先祖様は博打を打って失敗したのか」
「そう、予想外の空間振動が起こって、周囲の岩も含めた重量オーバーの空間移動が発生したの。移動座標が無茶苦茶になって別世界に飛ばされ、空間振動が発生した船体の外壁付近の存在座標が入り乱れて、外壁の殆どが消えちゃったそうよ」
「危ないなー、動力炉は無事だったのか」
「奇跡的にね、無事じゃなかったら、この近辺の星全体を消滅させてたわ」
「物凄く迷惑な話だな。この星にはそうとう人が住んでるんだぞ」
「そうよね、迷惑よね。・・・・・」
「どうしたんだよ」
「これは極秘事項だから人に喋ったら駄目よ。動力炉の様子が少し可笑しいの」
「空間に穴を開けてるなんて言わないでくれよ」
「えっ、何で解るの」
「コクルは神様を信じてるか」
「そんな物存在する訳ないじゃない」

 僕がこの時代に送り込まれた理由が、少し解った様なきがする。

「時間軸への影響って計算できるのか」
「えっ、何であんたが知ってるの」
 
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