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80 ケントニクス1
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掃除機のお化けのような魔道具から、石板に混じって銅板や鉄板や銀板が吐き出される。
虹色に光る部分から熱風が吐き出されているので、洞窟の中は物凄く蒸し暑い。
その蒸し暑い洞窟の中で、大勢の男達が褌一枚の姿で石板や金属板を荷車に積み込む為に働いている。
常に人が動き回っている状態なので、僕が突然現れた事に、誰も気が付いていない様子だった。
僕はそのまま、運搬作業の中に紛れ込んだ。
石板ならば一人一枚、金属板ならば二人で一組で吐き出されて来た板に応じて寡黙に作業をこなす。
ずっしりと重い銀板の割合が多いので、ここはたぶん銀鉱山なのだろう。
全員が僕同様に筋骨隆々としており、僕が特別に目立つことも無かった。
怪我人は多い様で、ファーレとテオが洞窟の中を複数の女性達と一緒に走り回っているのを何度も見かけた。
暑さ対策なのか、全員が胸帯と褌姿なので、多少年若い事を除けば、ファーレもテオもそのまま違和感無く馴染んでいた。
ーーーーー
ファーレ
頭は混乱していたけど、オークから聞かされていた時間を飛翔が起こったと理解することにしました。
ここに居る女性は全員が治療師なので、私達も新しく配属された治療師と勘違いされたらしいです。
テオと一緒に怪我人の治療に走り回っていたら、班長らしいおばさんに交代を告げられました。
班長さんや他の治療師さんの後ろに付いて行くと、適当な荷車の中に乗り込んで、適当な石板の上に座って寛いでいます。
私達も荷車に乗り込んで、適当な石板の上に腰を下ろしました。
「あんた達、若いから心配したけど優秀だね」
「へへへ、ありがとう」
「ありがとうございます」
「あんた達、日焼けしてるから地上人みたいだけど、宿所は手配して貰ったのかい」
「直ぐにここへ連れてこられたんで、まだです」
「それなら海の上の宿所に連れていってやるよ。船の中より涼しいし、陽が見えるから地上人なら落ち着くだろ」
「はい、お願いします」
荷車が走り出しました。
浮いて滑る様な感じで、振動が全然ありません。
オークから浮く荷車の話は聞いたことがありましたが、本当だったようです。
馬車よりも少し早い位で、途中何度か停車し、男の作業員や女性治療師が何人か降りて行きました。
壁に扉が突然現れ、皆さんその中へと入って行きました。
「あれも魔道具ですか」
「うーん、ちょっと違うかな」
「何処へ通じているんですか」
「あの奥には船室って呼んでる窓の無い部屋が一杯有るのさ。設備は海上より整ってるんだけど、地上人は息苦しくなるって嫌がるね」
「地上人でも泊まれるんですか」
「勿論だよ。あそこに泊まるかい」
「いいえ、私達も穴倉の中は嫌です」
夜になったらオークと連絡を取る積もりでいましたが、オークは穴倉でも平気で泊まれそうな気がします。
オークと逸れることが心配になって来ました。
「一緒に来た同郷の男が居るんですが、会えるでしょうか」
「うーん、しばらく顔を合わせるのは無理だね。私らは魔力の都合があるから五交代制だけど、男共は三交代制だからね。伝えたい事が有るなら作業場の伝言板を使いな」
天井に設置されているお湯を作る筒は、まだ全部が残っている様で天井全体を覆っています。
想像していたよりも本数が物凄く多すぎます、何かお湯を大量に使う必要性が有ったのでしょうか。
「あの筒は何の筒なんですか」
「あははは、地上の子にはあれが珍しいんだね。あれは空気を冷やす魔道具さ。内側に周囲の熱を吸収させる水管が通してあって、集めた熱を海に捨てるのさ」
私が考えていた使い方は逆だったようです。
荷車が洞窟の出口に近付いて来ました。
海面は私達の時代よりずいぶん下がっており、洞窟の高さの四分の三が空中に露出しています。
入り江には建物を乗せた大きな艀が数艘と無数の帆船が浮かんでいます。
荷車は水の上をそのまま浮いて走り、大きな艀の中の一つと、その脇に浮く帆船の間に滑り込む様にして停まりました。
荷車が停まると、次々に帆船から大きな網が荷車の中に投げ落とされてきました。
艀の上で待機していた人夫達が荷車に走り寄り、荷車に積まれていた石板や金属板を網に入れて行きます。
網は船の上から滑車で釣り降ろされたフックで吊り上げられ、次々に船へ積み込まれて行きます。
「早く降りな、もたもたしてると板と一緒に外国へ連れて行かれて売り飛ばされるよ」
「ひー」
「それじゃ風呂に入ってさっぱりしてから宿所に案内してやるよ」
「はい」
艀の一番洞窟寄りに浴場が作られていました。
「新しい胸帯と褌と上衣がそこの棚に入ってるから、脱いだのはそこの籠の中に放り込んでおきな」
洞窟の天井に取り付けられていた筒が一本、浴場の屋根に繋がれたおり、大きな浴槽に天井からお湯が注ぎ込まれています。
脱衣所も含めて浴場は半分に男女で仕切られており、男のいない浴場はなんか変な感じがします。
「男共は芋洗いらしいが、女は数が少ないからね。ゆっくり寛げて極楽さ」
新しい下着と服を着えると気持ちが良いです。
班長さんに案内されて宿所へ向かいました。
艀の中央立つ三階建ての建物が宿所で、一階が食堂、二階が男性の宿所、三階が女性の宿所になっていました。
部屋は二人部屋で、机とベットと衣装箱が備え付けてありました。
「あんた達、認証票は貰ったのかい」
「いいえ、まだ貰ってません」
「受付も怠慢だね。はい、これ渡しておくよ。夕飯は夕刻の二鈴からだから、この票を見せて食わして貰いな。朝食は明刻の三鈴から、荷車は四鈴だから遅刻するんじゃないよ」
「はーい」
虹色に光る部分から熱風が吐き出されているので、洞窟の中は物凄く蒸し暑い。
その蒸し暑い洞窟の中で、大勢の男達が褌一枚の姿で石板や金属板を荷車に積み込む為に働いている。
常に人が動き回っている状態なので、僕が突然現れた事に、誰も気が付いていない様子だった。
僕はそのまま、運搬作業の中に紛れ込んだ。
石板ならば一人一枚、金属板ならば二人で一組で吐き出されて来た板に応じて寡黙に作業をこなす。
ずっしりと重い銀板の割合が多いので、ここはたぶん銀鉱山なのだろう。
全員が僕同様に筋骨隆々としており、僕が特別に目立つことも無かった。
怪我人は多い様で、ファーレとテオが洞窟の中を複数の女性達と一緒に走り回っているのを何度も見かけた。
暑さ対策なのか、全員が胸帯と褌姿なので、多少年若い事を除けば、ファーレもテオもそのまま違和感無く馴染んでいた。
ーーーーー
ファーレ
頭は混乱していたけど、オークから聞かされていた時間を飛翔が起こったと理解することにしました。
ここに居る女性は全員が治療師なので、私達も新しく配属された治療師と勘違いされたらしいです。
テオと一緒に怪我人の治療に走り回っていたら、班長らしいおばさんに交代を告げられました。
班長さんや他の治療師さんの後ろに付いて行くと、適当な荷車の中に乗り込んで、適当な石板の上に座って寛いでいます。
私達も荷車に乗り込んで、適当な石板の上に腰を下ろしました。
「あんた達、若いから心配したけど優秀だね」
「へへへ、ありがとう」
「ありがとうございます」
「あんた達、日焼けしてるから地上人みたいだけど、宿所は手配して貰ったのかい」
「直ぐにここへ連れてこられたんで、まだです」
「それなら海の上の宿所に連れていってやるよ。船の中より涼しいし、陽が見えるから地上人なら落ち着くだろ」
「はい、お願いします」
荷車が走り出しました。
浮いて滑る様な感じで、振動が全然ありません。
オークから浮く荷車の話は聞いたことがありましたが、本当だったようです。
馬車よりも少し早い位で、途中何度か停車し、男の作業員や女性治療師が何人か降りて行きました。
壁に扉が突然現れ、皆さんその中へと入って行きました。
「あれも魔道具ですか」
「うーん、ちょっと違うかな」
「何処へ通じているんですか」
「あの奥には船室って呼んでる窓の無い部屋が一杯有るのさ。設備は海上より整ってるんだけど、地上人は息苦しくなるって嫌がるね」
「地上人でも泊まれるんですか」
「勿論だよ。あそこに泊まるかい」
「いいえ、私達も穴倉の中は嫌です」
夜になったらオークと連絡を取る積もりでいましたが、オークは穴倉でも平気で泊まれそうな気がします。
オークと逸れることが心配になって来ました。
「一緒に来た同郷の男が居るんですが、会えるでしょうか」
「うーん、しばらく顔を合わせるのは無理だね。私らは魔力の都合があるから五交代制だけど、男共は三交代制だからね。伝えたい事が有るなら作業場の伝言板を使いな」
天井に設置されているお湯を作る筒は、まだ全部が残っている様で天井全体を覆っています。
想像していたよりも本数が物凄く多すぎます、何かお湯を大量に使う必要性が有ったのでしょうか。
「あの筒は何の筒なんですか」
「あははは、地上の子にはあれが珍しいんだね。あれは空気を冷やす魔道具さ。内側に周囲の熱を吸収させる水管が通してあって、集めた熱を海に捨てるのさ」
私が考えていた使い方は逆だったようです。
荷車が洞窟の出口に近付いて来ました。
海面は私達の時代よりずいぶん下がっており、洞窟の高さの四分の三が空中に露出しています。
入り江には建物を乗せた大きな艀が数艘と無数の帆船が浮かんでいます。
荷車は水の上をそのまま浮いて走り、大きな艀の中の一つと、その脇に浮く帆船の間に滑り込む様にして停まりました。
荷車が停まると、次々に帆船から大きな網が荷車の中に投げ落とされてきました。
艀の上で待機していた人夫達が荷車に走り寄り、荷車に積まれていた石板や金属板を網に入れて行きます。
網は船の上から滑車で釣り降ろされたフックで吊り上げられ、次々に船へ積み込まれて行きます。
「早く降りな、もたもたしてると板と一緒に外国へ連れて行かれて売り飛ばされるよ」
「ひー」
「それじゃ風呂に入ってさっぱりしてから宿所に案内してやるよ」
「はい」
艀の一番洞窟寄りに浴場が作られていました。
「新しい胸帯と褌と上衣がそこの棚に入ってるから、脱いだのはそこの籠の中に放り込んでおきな」
洞窟の天井に取り付けられていた筒が一本、浴場の屋根に繋がれたおり、大きな浴槽に天井からお湯が注ぎ込まれています。
脱衣所も含めて浴場は半分に男女で仕切られており、男のいない浴場はなんか変な感じがします。
「男共は芋洗いらしいが、女は数が少ないからね。ゆっくり寛げて極楽さ」
新しい下着と服を着えると気持ちが良いです。
班長さんに案内されて宿所へ向かいました。
艀の中央立つ三階建ての建物が宿所で、一階が食堂、二階が男性の宿所、三階が女性の宿所になっていました。
部屋は二人部屋で、机とベットと衣装箱が備え付けてありました。
「あんた達、認証票は貰ったのかい」
「いいえ、まだ貰ってません」
「受付も怠慢だね。はい、これ渡しておくよ。夕飯は夕刻の二鈴からだから、この票を見せて食わして貰いな。朝食は明刻の三鈴から、荷車は四鈴だから遅刻するんじゃないよ」
「はーい」
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