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Ⅰ 第一学年
48 新しい仲間3
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官九郎君とミーちゃんが睨みあっている。
”シャー”
”ガー”
最初僕らはびくびくしていたが、梁とテーブルで互いの領分を住み分けているようなので今は安心している。
唯一緊張する瞬間は、テーブルの上の食い物を官九郎君が摘みに来たのを見て、ミーちゃんがすっ飛んで来る時だけだ。
官九郎君は僕と同じ組の八咫島梢君の使い魔で、三本足の烏、八咫烏だ。
梢君は男なのだが、完璧に舞と同類で、普段から女子の制服を着て勉強している。
うん、舞と楽しそうに立ち話している姿は、美人の女子高生が二人、仲良く会話している様にしか見えない。
履歴書を見るまでは、入学してから半年も経っているのに完全に女性と思っていた、うん、綺麗な人が居るなと。
八咫烏が使い魔なので熊野の出身かと思ったのだが、熊野神社は全国に一杯あるらしく、葛飾区の立石の出身だった。
情報世界に連れて行く時も、顔を引き寄せようとしたら、なんか女性よりも色っぽくて腕に力が入ってしまった。
「凄いなこれは」
「うん、すごいでしょ。これって僕等鳥使いの特権なんだ」
足元に学院を上空から見た光景が広がっている、官九郎君が見た光景を梢君が光術で映像化し、ハルが拡大して映し出してくれたのだ。
「官九郎に心を移して眺める光景はこんな感じかな、鳥って凄く視野が広いんだよ」
高度が急激に下がり事務所の屋根が迫って来た、官九郎君が戻って来たようだ。
「官九郎、おいで」
「はーい、お兄様」
足元の光景が消えて、巫女の衣装を着た、美子くらいの年齢の女の子が現れた。
「雷様、官九郎です。宜しくお願いします」
「ええと、官九郎君は・・・」
愚問なので聞くのを止めておいた、うん、飼い主と同類だろう。
「官九郎は神霊に近いから、式神と違って現実世界でも精神体を幻体じゃなくて存在として実在化できるんだ。だから現実世界でもこの姿を取れるんだよ。家とかで普段一緒に居る時はむしろこの姿かな、だから僕等は主従じゃなくて兄弟みたいな関係なんだ」
「ええ、良く一緒にお風呂に入ってお背中をお流しするんです」
うん、なんか想像するともわもわとしてくる、男の娘同士の入浴風景。
「今度雷様のお背中もお流ししましょうか」
「いや、ありがとう。俺は大丈夫だ」
まだ舞と迷子が撲を見る目に棘がある、疑惑に繋がるロリ要素は極力排除しなければならない。
だが、ほとぼりが冷めたら僕が官九郎君を洗ってあげよう、じゅる。
ーーーーー
「へー、ここが情報世界なんだ」
「へー、ここが情報世界なんだ」
「へー、ここが情報世界なんだ」
同じ声で同じ科白が三回繰り返される。
僕が一番欲しかった人材、山彦術の使い手だ、しかも三つ子だ。
山彦術の使い手は物凄く貴重な存在である。
能力が使える者は言霊使いの双子以上の組み合わせに限られるからだ。
だからもう、言霊使いの三つ子に会えるなんて天文学的な確率だと思う。
一年A組の響原望さん、一年B組の響原木霊さん、一年C組の響原光さんの三姉妹だ。
山彦術は、山彦鬼対策として山間部に発達した技で、同じ姿形の人間が別方向から山彦に言霊を上乗せすることにより鬼の空間認識を混乱させて狩り出す技なのだ。
伝承されているノウハウが豊富らしく、僕は特に、駆除に時間が掛かる安達太良型の山彦鬼対策として期待している。
最初に情報世界への入り方教えた、美人三姉妹なので唇を合わせた移動を期待したのだが、山彦鬼が情報世界に巣食うぐらいだから、言霊使いも情報世界に馴染む様で、撲のアシスト無しで簡単に意識を情報世界に侵入させることが出来てしまった。
でも情報の神様は僕に優しいらしく、彼女達は情報に馴染み易い者の宿命として、雷術の使い手と同様に、情報の湖で溺れてしまうので、情報の湖での水泳の練習が必要だった。
そう、僕は水泳を教えるのは凄く得意だ、人工呼吸で情報の湖での呼吸法を覚えさせながら、徐々に感覚を掴ませて行く。
面白いことに、三人は外見がそっくりなのだが、人工呼吸で意識の空気を送り込む時に唇を合わせた感触が異なるのだ。
一番優しい暖かい感触がするのが木霊さん、レモンの酸味に似た気が強い感触がするのが望さん、そして光さんはクールミントの様な冷静沈着な感触がした。
三人に話したら一瞬のアイコンコンタクトの後、シンクロして聞かれた。
『思考や記憶が読めるの』
「プライバシーの侵害になるから読まないよ」
『じゃっ、読めるってこと』
「うん、その気になればね、でも読まないから安心して」
『読んだら責任取ってもらうわよ』
「うん、いいよ。でも大丈夫だよ、それに君達だって人工呼吸の時僕の記憶を読んでるんだよ」
『え!』
「ほら、だって空気の代わりに意識を送るんだからさ、でもはっきりした記憶じゃなくて感覚的な感じだけだよ」
『洗脳!』
「違うよ、楽しかった時の気持ちとか、嬉しかった時の気持ちを分けているだけだよ。気持ちが共有できる様に」
「だから裸で歩いてるような感じがしたの」
「だから裸で泳いでいる様な感じがしたの」
「だから一緒にお風呂入ってる感じがしたの」
うっ、なんか怒ってる。
「うわー、みんなごめん」
「うわー、みんなごめん」
「うわー、みんなごめん」
「うわー、みんなごめん」
「ちょっと、止めてよ」
「ちょっと、止めてよ」
「ちょっと、止めてよ」
「ちょっと、止めてよ」
うわー、山彦術だ、なんか鬼扱いされている。
”シャー”
”ガー”
最初僕らはびくびくしていたが、梁とテーブルで互いの領分を住み分けているようなので今は安心している。
唯一緊張する瞬間は、テーブルの上の食い物を官九郎君が摘みに来たのを見て、ミーちゃんがすっ飛んで来る時だけだ。
官九郎君は僕と同じ組の八咫島梢君の使い魔で、三本足の烏、八咫烏だ。
梢君は男なのだが、完璧に舞と同類で、普段から女子の制服を着て勉強している。
うん、舞と楽しそうに立ち話している姿は、美人の女子高生が二人、仲良く会話している様にしか見えない。
履歴書を見るまでは、入学してから半年も経っているのに完全に女性と思っていた、うん、綺麗な人が居るなと。
八咫烏が使い魔なので熊野の出身かと思ったのだが、熊野神社は全国に一杯あるらしく、葛飾区の立石の出身だった。
情報世界に連れて行く時も、顔を引き寄せようとしたら、なんか女性よりも色っぽくて腕に力が入ってしまった。
「凄いなこれは」
「うん、すごいでしょ。これって僕等鳥使いの特権なんだ」
足元に学院を上空から見た光景が広がっている、官九郎君が見た光景を梢君が光術で映像化し、ハルが拡大して映し出してくれたのだ。
「官九郎に心を移して眺める光景はこんな感じかな、鳥って凄く視野が広いんだよ」
高度が急激に下がり事務所の屋根が迫って来た、官九郎君が戻って来たようだ。
「官九郎、おいで」
「はーい、お兄様」
足元の光景が消えて、巫女の衣装を着た、美子くらいの年齢の女の子が現れた。
「雷様、官九郎です。宜しくお願いします」
「ええと、官九郎君は・・・」
愚問なので聞くのを止めておいた、うん、飼い主と同類だろう。
「官九郎は神霊に近いから、式神と違って現実世界でも精神体を幻体じゃなくて存在として実在化できるんだ。だから現実世界でもこの姿を取れるんだよ。家とかで普段一緒に居る時はむしろこの姿かな、だから僕等は主従じゃなくて兄弟みたいな関係なんだ」
「ええ、良く一緒にお風呂に入ってお背中をお流しするんです」
うん、なんか想像するともわもわとしてくる、男の娘同士の入浴風景。
「今度雷様のお背中もお流ししましょうか」
「いや、ありがとう。俺は大丈夫だ」
まだ舞と迷子が撲を見る目に棘がある、疑惑に繋がるロリ要素は極力排除しなければならない。
だが、ほとぼりが冷めたら僕が官九郎君を洗ってあげよう、じゅる。
ーーーーー
「へー、ここが情報世界なんだ」
「へー、ここが情報世界なんだ」
「へー、ここが情報世界なんだ」
同じ声で同じ科白が三回繰り返される。
僕が一番欲しかった人材、山彦術の使い手だ、しかも三つ子だ。
山彦術の使い手は物凄く貴重な存在である。
能力が使える者は言霊使いの双子以上の組み合わせに限られるからだ。
だからもう、言霊使いの三つ子に会えるなんて天文学的な確率だと思う。
一年A組の響原望さん、一年B組の響原木霊さん、一年C組の響原光さんの三姉妹だ。
山彦術は、山彦鬼対策として山間部に発達した技で、同じ姿形の人間が別方向から山彦に言霊を上乗せすることにより鬼の空間認識を混乱させて狩り出す技なのだ。
伝承されているノウハウが豊富らしく、僕は特に、駆除に時間が掛かる安達太良型の山彦鬼対策として期待している。
最初に情報世界への入り方教えた、美人三姉妹なので唇を合わせた移動を期待したのだが、山彦鬼が情報世界に巣食うぐらいだから、言霊使いも情報世界に馴染む様で、撲のアシスト無しで簡単に意識を情報世界に侵入させることが出来てしまった。
でも情報の神様は僕に優しいらしく、彼女達は情報に馴染み易い者の宿命として、雷術の使い手と同様に、情報の湖で溺れてしまうので、情報の湖での水泳の練習が必要だった。
そう、僕は水泳を教えるのは凄く得意だ、人工呼吸で情報の湖での呼吸法を覚えさせながら、徐々に感覚を掴ませて行く。
面白いことに、三人は外見がそっくりなのだが、人工呼吸で意識の空気を送り込む時に唇を合わせた感触が異なるのだ。
一番優しい暖かい感触がするのが木霊さん、レモンの酸味に似た気が強い感触がするのが望さん、そして光さんはクールミントの様な冷静沈着な感触がした。
三人に話したら一瞬のアイコンコンタクトの後、シンクロして聞かれた。
『思考や記憶が読めるの』
「プライバシーの侵害になるから読まないよ」
『じゃっ、読めるってこと』
「うん、その気になればね、でも読まないから安心して」
『読んだら責任取ってもらうわよ』
「うん、いいよ。でも大丈夫だよ、それに君達だって人工呼吸の時僕の記憶を読んでるんだよ」
『え!』
「ほら、だって空気の代わりに意識を送るんだからさ、でもはっきりした記憶じゃなくて感覚的な感じだけだよ」
『洗脳!』
「違うよ、楽しかった時の気持ちとか、嬉しかった時の気持ちを分けているだけだよ。気持ちが共有できる様に」
「だから裸で歩いてるような感じがしたの」
「だから裸で泳いでいる様な感じがしたの」
「だから一緒にお風呂入ってる感じがしたの」
うっ、なんか怒ってる。
「うわー、みんなごめん」
「うわー、みんなごめん」
「うわー、みんなごめん」
「うわー、みんなごめん」
「ちょっと、止めてよ」
「ちょっと、止めてよ」
「ちょっと、止めてよ」
「ちょっと、止めてよ」
うわー、山彦術だ、なんか鬼扱いされている。
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