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高年期[二学期・前編]
なんだこの焦れったい感じは?
しおりを挟む隠し通路とやらから現れた風間くん。・・・なんかタイミング良すぎない?ついつい呼んでみたら風間くんの声が近くから聞こえ認識する前に腕を掴まれ引っ張られ、多分風間くんの胸に引き寄せられました。・・・何故多分かって?それは目の前が真っ暗だからですよ、はい。
あーでも風間くん独特のクリスタルムスクの匂いがするから風間くんに抱き締められてるね。・・・うん、このホワ~ンとした匂い好みです。
「薫風は私の恋人だからね。私から横取りしようなんて、鳳くんにはまだまだ早いよ。」
「風間理事長ー。隠し通路ってー?」
「ん?あー極秘だから教えないよ。それより薫風、大丈夫かい?なんか追っ掛けられてたようだけど。」
「・・・あ、はい。助かりました。」
「うん!やっと私の事を呼んでくれて嬉しかったよ。私は薫風の恋人なんだから遠慮せず呼んでくれ。」
「か、薫風くん・・・?」
「ん?ああ、陽南さん、イベント終わったみたいだね。片付け始める?」
「え、ええ・・・それより・・・こんな公衆の前で公言して、い、良いのですか?」
「・・・・・・・・・・っ!!!!!!!」
マ、マジかぁーーーーー!!!!
バッと辺りを見回す。・・・すると・・・様々な表情で見られてました。驚いてる顔の人が多いかな。呆気(ショック?)にとられてる人もいれば、ん?泣いてる人もいるし。顔を赤らめてる人(主に令嬢)もいれば生暖かい目で見てくる人もいる。
こ、こんな公衆の前で公言しちゃった?の?・・・あーえー・・・ど、どーしよう?
「・・・とりあえず、離してもらえませんか?風間理事長。」
「なんだ?もう名前で呼んでくれないのかい?」
「あ、あの・・・人前では・・・」
「そっか。なんだ恥ずかしがり屋さんだな薫風は・・・じゃあ、片付けしたら理事長室へおいで。」
「え、何故?」
「・・・野暮用?」
「・・・それ、行かないと行けませんか?」
「うん、必須だよ薫風。じゃあ・・・待ってるからね。」
・・・言いたい事行って颯爽と消えたよ。そう颯爽と。あそこは事務室。ふーん、あそこに隠し通路があるんだー・・・へぇー・・・こんど暇潰しに探してみようか。
「えーあー・・・うん、薫風くん、とりあえず片付け、始めよっか?」
「万純くん・・・あーうん。わかった。やろうか。」
「そうですわね薫風くん。・・・とりあえず片付けが大変なバリケードを崩しましょうか。」
「・・・わかった。」
さすが僕の友人。さっきまでの出来事をスルーして話題を変えてくれたよ。うん、有難う。
あーあー・・・僕はこれからどうすればいいんだろうねー?
もうねー歩く度にすれ違う人たちにガン見されて・・・居たたまれない。
そんでもってめげない克典くんは風間くんが居なくなった瞬間引っ付かれましたよ。・・・なんて図太い神経をもってるのだろうか。
「薫風ーあんな奴辞めて俺にしなよー。」
「・・・」
「理事長のどこがいーのー?」
「・・・さあ?」
「・・・じゃあ」
「理屈じゃないの。・・・まぁ強いて言えば器が違うかな。和彦さんと克典は。」
「・・・器、ね。・・・ふーん。まぁわかっよ。今は引いてあげるー。・・・でも期限切れたらまた口説きに行くからな。」
「っ!」
うわ、珍しく引き下がった!・・・明日は槍が降りそうだ。まぁ最後の台詞は聞かなかった事にしようか。うん。僕の精神の安定のために。
と、とりあえず・・・掃除を。
サンドペーパーで削って剥がし、除光液を布に染みさせ擦り綺麗にしていく。
廊下も階段も水拭きして乾拭きをする。・・・もう大掃除ですよ。まぁ掃除は嫌いじゃないからちゃちゃっとやりますよー!洗剤使ったからメチャ綺麗になってます。
あ、掃除はもちろん仕掛けた1年のみで責任もって片付けます。もー担任の先生はホクホク顔で掃除してますよ。まぁ臨時ボーナスもらえるんだから嬉しいよねぇ~。うんうん。
まぁなんやかんや掃除をするのに時間をかけ外は、うん、とっぷりと暮れてます。闇に染まっております。・・・一応、明日も学校があります。来週2年が対象となります。天野くん頑張ってねー!
・・・で、この後理事長室へ行かないといけないの?・・・もうへとへとなんですが。肉体的にも精神的にも。
「薫風くん、休みに打ち上げしないかい?1年全員が入る会場を借りて勝利パーティーをしないかい?」
「あーいいね!楽しそうだね。・・・それ、誰が取り仕切るんだい?」
「各クラス長が協力して取り仕切るよ。僕が言い出しっぺだからね。」
「そっか。わかったよ。日時決まったら教えて。空けとくよ。」
「よろしくねー!じゃあまた明日ー!」
「明日ー。」
打ち上げかぁ~。うん、楽しそうで良いんじゃないかな。僕も楽しみだなぁ。
・・・はぁ、とりあえず理事長室へ行こうか。ん?あれ?明かりがついてない?
コンコンコン。・・・ガチャ。あ、鍵はかかってなかった。
「失礼します。風間さん、いませんか?」
「その声は薫風か?」
「あ、銀徹さん?」
中は真っ暗だったが、前に襲われた仮眠室?らしき所から光が漏れてて、そこから銀徹さんがでてきた。
「イベント終わった後ここへ来てほしいと言われて来たんだけど。」
「あーそうだったのか。今風間はこの部屋にいて眠ってる。」
「・・・用はなんだったんでしょう。」
「あー、単に淋しかったんだろう。昼間にしか会えず休みの日は風間が忙しかったり薫風が仲間と遊んだりして恋人らしい事してなかったからな。」
「あー・・・確かに。前と変わらない感じですね。」
「そーゆう事だ。まぁあとは頼んだ。もう仕事はないから時間の許す限り構ってやれ。」
「う~・・・はい。そうですね。恋人になった以上、僕も歩まなければなりませんね。」
「くく・・・そうだな。初心者には大変だろうが頑張れ。明日も学校だからな・・・程々にな。」
「っ!!ぎ、銀徹お兄ぃ~!」
「はは!ちゃんと起こしてやれ。」
なんて事を言うんだ銀徹お兄は!そーゆー一言いらない!・・・笑って部屋出ていったし。まったく!変に意識しちゃって困るわっ!
とりあえず明かりがついてる部屋へ。・・・あ、本当に風間くんがソファーベッドに横になって眠ってる。しかも珍しく眼鏡かけてるし。・・・あ、レアショット。格好いいなっ!
「和彦さん。起きてください。」
「ん~?・・・薫風?あ~やっと来てくれたんだね。」
「後片付けに結構時間がかかりましたからね。もう学校にいるのは警備員さんだけだと思います。銀徹さんもたった今帰って行きました。」
「そうか。・・・はぁ、帰らないといけないね。」
「・・・そうですね。」
「じゃあ準備するから理事長室にいて。軽く身支度するから。」
「はい・・・」
・・・?なんか拍子抜け。・・・風間くん、相当疲れてるのかな。とりあえず言う通りに理事長室にいきソファーに腰掛ける。
あーなんかソワソワ感ハンパないです。
ガチャ。
「じゃあ薫風、帰ろうか。薫風も疲れただろう。もう車は呼んだかい?」
「えっ、あ、いやまだです。」
「そっか。なら私の車で送ろう。・・・じゃあ行こうか。」
「あ、はい・・・」
・・・あれ?
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