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高年期[二学期・前編]

一年イベント終了?いや予想外!

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「あ・・・」





今いる1ーAの扉に設置していたトラップにやっと誰かが引っ掛かってくれた。



ようやく辿り着いた教室に勢いよくバァーンと扉を開けちゃ駄目でしょー?




『バァーン!』と扉が開き中へ始めの一歩を踏んだ所に、『ガラガラ』と床に散らばってた空き缶を踏み『ガシャーン!』とスッテンコロリン。その空き缶の何個かが廊下へ『コン、コン、コン、コロロロ~・・・』と音を立てて転がっていき、『ガシャン』と扉の上に設置されていた鉄板が侵入者の上へ落ち『カランカラン』と外から様子を伺いに来た奴が空き缶を蹴飛ばし『バサッ』っと最後には扉に設置されてた黒いカーテンが落ちた。





簡単な、素人でも見破れるトラップを全てやってのけた侵入者に拍手~(笑)まぁそれを見た僕達4人は一瞬何が起こったか理解できず呆気にとられてしまった・・・





「マジか・・・あんな誰でも見破れるトラップに引っ掛かるとは・・・あれ、慎重に扉を開けてくれば簡単に回避できるのに。」

「・・・アホだな。」

「うん、アホだね。」

「俺たちは人の事言えないかもしれないけどね。」

「まぁーお前ら単純だしねー。」

「「少しは否定してくれないのー!?」」

「ふふ・・・」





やぁーっとトラップに引っ掛かってくれたよー。やはりモブキャラだった。見た事のない平凡な生徒ですわ。





てか蔵本兄弟、自分が馬鹿だと自覚してるんだね。万純くん並にモブよりは顔は整ってるんだから年上お姉さまに可愛がられそうな感じのタイプなんだけどなぁー。うん、憎めないおバカキャラは僕好きだよ。






「じゃ、とりあえずハチマキ取ろっかな。えー蔵本くん、いや2人とも同じだったね。誠くん、ハチマキを取ってもらえる?」

「ん?わかったー!わぁ初めて薫風センセーに頼み事された~!」

「・・・狡い。薫風センセーなんで誠なんだぁ~?」

「え?ただこの中で一番近くにいたからだよ。僕が取りに行っても良いけど一応、王様守らなきゃだから離れない方がいいと思って。」

「薫風ーそんなに俺と離れたくないんー?」

「いや、あんたが王様だからだよ。なにその妄想は・・・」





克典はプラス思考というか、都合の良い方へ変換する傾向があるよね。・・・そして僕の反応は想像通りだったのかニヤニヤしながら僕をみてくる。タチ悪い。





そして蔵本くん、忠犬だよね。僕が頼んだら嬉々として倒れてるモブくんのハチマキを取ってきたよ。・・・ん?僕はいらないよ?誠くんがそのまま持ってればいいよ。






・・・それから何人かは開きっぱなしの出入り口からこちらを覗いては突撃・・・して来ず逃げていきます。・・・あれ?何故?







・・・そして3時間経過し、残り1時間・・・未だに教室に入ってくる奴は皆無。・・・暇。





うーん・・・乙女ゲーとは明らか違うなぁ~。陽南さんはどうなっただろうか。





「あー外の様子が気になる・・・」

「俺見てこようか?」

「えー俺も見に行きたい!」

「いいよーお前達行ってきなよー。ついでハチマキをお土産に持ってきてねー。」

「「あーい。」」





おう、忠犬。うん、いってらっしゃーい。





「はぁ~・・・やっと薫風と二人っきり~。」

「あ」





しまった!ついに二人っきりになった。・・・ぐえっ!?首に腕を巻き付かれたっ!



僕より少し高い位なのに!・・・うわっ!?顔、近い近い!あ、これマズイな。






「ぅんんー!」

「・・・あー久々の薫風の感触ー。」

「ぅ・・・やめろよ克典。僕もいい加減キレるよ?」

「俺を惚れさせた薫風が悪い。」

「ちょっ!?それ屁理屈・・・んんっ!」





勘弁してよー!か、風間くんへの裏切り・・・あーもっと体力、正確には筋力つけよー。






「薫風センセー・・・あっ!克典とイチャついてるー。」

「丁度いい瞬間にきたねー。得した気分。いやぁ眼福!」

「っ!・・・っ!・・・んんー!」






2人が帰って来たのに未だに唇を貪られてるんですけど・・・おい、いい加減に離れてくれ





「っ!・・・うーん・・・いたい。」

「コラ・・・自業自得。隙を作った僕も悪いけど学校でする事じゃない・・・」

「へぇー学校以外なら良いんだ?・・・じゃあこんな行事、終わらせよっかー」

「・・・は?・・・あっ!待って!2人とも克典を止めてー!」

「ん?」

「え?」

「「ぎゃーーーー!!!!」」






今悲鳴上げたの蔵本兄弟ね。




唇を貪られ続けていたので耳を引っ張ってやりました。やはり痛かったらしく顔が少し歪んで離れてくれました。





ってか!克典が何を思ったのか教室から飛び出して行ってしまったんですが。・・・多分、克典の気迫に負けて蔵本兄弟が悲鳴を上げたんだろうねー。うん、やっぱり止められなかったかー・・・





とりあえず追いかけなきゃね。ついで様子見れるからいいかー。







「王妃さまー?」

「っ!?あ、薫風くん・・・あ、あれっ!!!!なんか鬼神が見えるのですがっ!?な、何故王様があんな・・・」

「うーん・・・それ、僕にもわからないんだ・・・何故かスイッチ入ったように暴れだしちゃって・・・なんかね、僕たちがいた教室に何人か来たんだけど誰も入ってこなかったんだよー。まぁ、1人トラップの犠牲者が出たけどねー。」

「モブが1人突入してきたのですね。・・・はぁ、まぁ、こちらも同じ感じですわ。私、全く出番がありませんの。暇でしたわー。」

「・・・そーだね。うん、僕も執事の仕事なかったよ。王妃様の話し相手くらい?何人か突入してきたんだけど・・・トラップに引っ掛かって、そのあと僕がハチマキとって終わりー・・・の繰り返し?」

「あーうん。万純くんもお疲れ様でーす。」

「それより薫風くん、あれ、なんとかした方が良くて?多分、薫風くんしか止められませんわよ。・・・鳳くんは薫風くんに夢中ですから。」

「あーあー・・・はぁ、何故僕が・・・」

「がんばれー裏ヒロイン。」

「・・・ナニカイッタ?」

「あら?聞こえまして?・・・ほほほ」





何?裏ヒロインとか!変な称号付けないでくれるかな? 





と、とりあえず克典を・・・






『はいはいはーい!これにて終了!はい、1年生の勝ちー!・・・鳳くーん、戻ってきてねぇ?もう終わりー。』






あ、これ風間くんの声?あれ、まだ40分もあるけど強制終了?・・・あれ?いつのまにか蔵本兄弟もいなくなってるし。






「薫風ーここにいたかー。」

「「「うわぁ・・・」」」






はい3人ハモりました!・・・だって・・・せっかくの王様コスプレ衣装が無惨な姿に・・・黒の衣装だからわからないけど・・・所々シミ?みたいのが見えるよ?そしてマントと王冠は?




あ、後ろに蔵本兄弟がいたー。・・・うん、2人とも大量のハチマキを持ってるねー。





うん、君たち無双してきたんだね。克典はちゃんと腕輪取られてないみたいだし。




「二階堂先輩とかどーしたんだろう?」

「・・・あのハチマキの中にあるのでは?」

「・・・克典はやはり問題児だね。はぁ~何で可武伊義兄さんの弟がこんなにもヤンチャなんだぁ?」

「「ヤンチャで済まされないと思うよ(わよ)!?」」

「薫風ー褒美ー。」

「は?・・・え、いや、無理!ひえっ!?」





はい、僕全力疾走!いやだぁー克典追いかけてこないでぇ!





うん、逃げてる間に廊下の残骸を見ちゃった。カオスだよカオス。ゲームならリタイヤした者から自然と消えるのに現実はそうはいかない。1ーDの奥の階段なんて足の踏み場がないわ!





「か、和彦さーん!助けてー!」

「はいはーい。薫風やっと私を頼ってくれるようになったね。」

「は?・・・うわっ!?」

「あれー?なんで風間理事長がこんな所にー?」

「隠し通路から来たからね。」






・・・は?隠し通路?


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