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高年期[二学期・前編]
イベント終了。そしてまたテスト勉強。
しおりを挟む急に僕の背後に立つ誰かにハチマキを取られてしまった。え、誰・・・?
「もう殆どのハチマキを取り上げた。何兄弟でイチャついてる。」
「あ、子鷹狩先輩・・・って事はもう」
「3年の勝利だな。少し時間が余ったがな。」
「はぁ・・・もう少し薫風と戯れていたかったのに・・・」
「に、兄さん・・・それはどうかと・・・」
『はーい!イベント終了ー!3年生の勝利ー!今年は特に熱戦でしたね。お疲れ様です。3年生の諸君おめでとう!』
あー終わっちゃった・・・
「おい爛、なに持ち場を離れ・・・ああ、薫風か。こんな所にいたんだな。どーりで遅いと思った。」
「あ、二階堂先輩・・・って、凄い格好ですね。」
「ああ。王子見たいで格好いいだろう?」
「まぁ二階堂さん着崩れしてない辺りまったく動いてないのですか?」
「・・・ああ、そうですね。爛がずっと守ってくれてたので。」
「まぁ素晴らしいですね。」
王妃役の令嬢が二階堂くんを見るや話に入ってきた。あー二階堂くん猫被ってるよー。・・・でも目が笑ってない?うん、不機嫌だね。令嬢は気付かずハキハキ喋ってます。
「はぁ~とりあえず兄さんはこれからどうするの?早めに終わったけど、この後は自由にして良いみたいだよ?帰宅する?」
「薫風はどうするんだい?教室に行って勉強するのかい?」
「・・・はい。本当は帰りたいんだけど・・・その、皆、が、ね・・・」
「優しいね薫風。じゃあ今日は僕も薫風の教室行こうかな。教えるの手伝ってあげるよ。」
「えっ!本当に!?凄く嬉しいよ。」
僕が喜んでると、ふと肩に手を置かれた。・・・ん?誰?
「・・・そうなのか薫風。なら私も行こうか。もうそろそろ生徒会の仕事を引き継いでるからな。放課後は時間が有り余るようになる。」
「いえ、結構です二階堂先輩。」
「なっ!?」
「まぁ・・・二階堂さんのお誘いを断るとは・・・八乙女さんなんと不躾な・・・」
「は?・・・あのですね先輩、たかがテスト勉強です。友人とわからない所を教え合いながら勉強する中、二階堂生徒会長が来たらどうなるか、想像できませんか?」
「・・・」
「皆、二階堂先輩に意識がいって勉強どころではなくなります。僕の兄さんは以前、何度か僕のクラスで勉強を教えてくれましたので皆受け入れてくれますが二階堂先輩は別です。緊張して手がつけられなくなります。」
「そ、そうですわね・・・ええ、ええ、それでしたら納得ですわ。」
「くっ。生徒会長という肩書きが仇となった。」
「仇って・・・それだけじゃないと思うけど・・・とにかく二階堂先輩はほかにもやるべきことがあるかと?」
「・・・はぁ~わかったわかった。」
まったく何を言い出すんだか。まぁ皆喜ぶだろうが絶対萎縮するだろうね。ほんと、勉強どころじゃなくなるから無理。
・・・とりあえず兄さんは着替えるため一端別れた。僕もとりあえず教室へと行く。
「あ、薫風くんが来た!・・・あ、やっぱり薫風くんが最後だったんだね。お疲れ~!」
「はぁ今回は散々な目に合ったよ。まさかボンドの池に突っ込むとはね・・・」
「「「・・・」」」
「ん?」
なんか物凄く目線を感じるんですが・・・?
「薫風くん、その私服どうしたんだい?」
「ああ、風間理事長が準備してくれた。」
「「「きゃーーーー!!!」」」
「!!?」
何故令嬢たちが叫ぶ!?てか目線怖い!てか他の人もまじまじ見られてるんですが・・・え、居心地悪い・・・帰っていい?
「やっぱり八乙女さんは理事長と・・・!」
「こんな都合良く恋人の服を用意できりなんて・・・理事長素晴らしい方ですわ。」
「しかも八乙女さんにピッタリと合う服装を選んでますわ。体型とか髪の色とか色々と解ってないと選べない服ですわ。」
「凄いですは風間理事長・・・さすが八乙女さんが選んだ恋人ですわ。」
「・・・」
あーうん、皆に認知されちゃったよ。もうどーしようもない。
「もー風間理事長とラブラブでーーー」
「クラス長。僕もう帰るね。いっちゃんとまこっちゃんは僕と一緒にD組に行こうか。」
「「はーい!薫風センセー!」」
「ちょちょちょっと待ってー!ゴメン薫風先生!僕を見捨てないでください!そしてクラス長止めてお願い!名前呼びにに戻って!」
「じゃあ皆さん明後日のテスト頑張ってください。」
「「「「・・・ えー!!!!!」」」」
さてさてD組に行こうかな。・・・うん、滅多に他のクラスって行かないから新鮮だなぁ。
「あれ?薫風みんなは?」
「あっ丁度良い所に。ちょっとクラスの皆に虐められたから場所移動してる所。」
「・・・?」
「この2人は僕が前々から勉強教える約束していたから2人のクラスに行くんだ。」
「そっか。・・・いいの?なんか後ろから物凄く視線を感じるんだけど・・・」
「えー・・・兄さんは僕を虐めたクラスの人達の所に行かせたいの?」
「・・・そうだね。ごめんね薫風。それじゃあ4人で勉強しようか。僕は夜少し予習するだけで大丈夫だから。」
「有難う兄さん!」
「「八乙女兄弟で教えてもらえるなんて幸せです!」」
「はは!双子だから息ピッタリだね。」
あ、兄さんが笑った。うんうん、蔵本兄弟を受け入れてくれたみたいで安心です。
ガラッ
「おっ?」
「ん?」
「あら、先客がいたね。・・・ごめんね、一緒に勉強していいかな?」
「「「や、八乙女兄弟に蔵本兄弟ー!?」」」
D組に行ったら3人ほど教室に残っていた。・・・うん、見慣れない人だ。でもあっちは僕らを知ってるらしい。そんなに有名なのかな?
「あー乾に綾波に御堂じゃん!珍しく残ってる!」
「ま、とりあえず邪魔にならないよーにするよー!とりあえず薫風センセーに先輩、中へどぞー!」
「お邪魔しまーす。」
違う教室だと恐縮しちゃうよね、なんとなく。とりあえず席に着きますか。とりあえず蔵本兄弟がヤバそうなのを中心に頑張りますよ。
「化学・・・あれ覚えたかい?」
「あーあの水素や窒素とかの・・・う~無理です。」
「何かコツはぁ~?」
「・・・そういえば先生って何で覚えるコツを教えてくれないんだろう?」
「ん?基本は暗記だからじゃないかな薫風。薫風の覚え方は独特だからね。面白いよね。」
「そう?あーうん、じゃあ僕の覚え方を教えるね。まず・・・」
うん、懐かの元素記号「水平リーベ僕の船」です。・・・うん未だに覚えてる。面白かったから覚えてる。先生も面白い人で勉強と関係ない話ばかりしてたんだよね。独身だったけど良い人みつけたかなぁ~・・・
おっと思い出に耽ちゃった・・・ではでは蔵本兄弟に教えましょうか。
「・・・面白ー。うん、これなら覚えられるかも!薫風センセー凄い!これだけでもかなり点数とれる!」
「はぁ・・・こう薫風センセーみたいな教え方なら俺も苦労しないのに・・・ここのセンコー使えねーな。」
「こらこら!先生は優秀な人ばかりじゃないか。ただ君たちが真面目に勉強してないだけ。」
「むー・・・反論できない。」
「・・・」
「・・・」
「・・・こら乾、何してんだよ!」
「えー・・・お願いします!俺達も混ぜてください!」
「「・・・駄目ー!薫風センセーは俺たちに教えてるんだよ!」」
「・・・まぁ、良いんじゃない?」
「「薫風センセー!?」」
「兄さんもいるし、その代わり同じ科目を勉強してもらう事になるけどいい?」
「「「勿論!」」」
「あー・・・俺たちのクラスに来たのが間違いだったか?」
「まさかD組に居残りがいるとは思わないよまこっちゃん。」
「とりあえず続けよう。時間が減ってくよ。」
「!」
・・・まぁいいよね。兄さんも特に気にしてない様子だし。はい、では続けましょーね。
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