46 / 313
中年期
人気者はつらい
しおりを挟む・・・僕、貴族の変わり者らしい。良い意味で。
事の発端は初めての実習の時だ。
まだ紫音さんにストーカーされてた頃、野外学習の見学にきていた。
3年生がせっせと畑を耕したり肥料を作ったりと作業してる姿を見学して、それをスケッチに書くという課題だ。
・・・ところが皆スケッチすると知らなかったらしく、僕のグループ以外は用紙は有っても書くペンなどの道具を忘れてしまったらしい。
先生も困ってた時に手を差し伸べたのは僕。もっと詳しく言えば僕の執事。
忍者の如く現れ新品の道具を忘れてしまったというクラスの人達に手早く渡していく。
そして道具を入れてる袋には僕の家紋がうっすら印刷されており皆僕を神のように崇めていた・・・
うんざりしながらも執事に感謝の言葉を言うと嬉しそうに微笑んでくれた。うん、お爺ちゃん癒しですわ・・・
どうやら貴族は自分勝手が多いらしく、クラスの為に道具を渡した時点で変わり者という変な名称をつけられました。はい。
それから何かと頼られたり誘われる事が多くなったが僕は基本4人グループを貫いた。
席が近くで知り合った3人だが空気を読むしとにかく優しい。
そして何かに誘われても3人を優先するのでクラスの子は3人を羨ましがっていた。
3人は特に気にする素振りをみせず普通に接してくれるので僕は遠慮なく甘えている。
・・・一応、執事に頼んで僕が席を外した時の3人の行動をみてもらったが僕の陰口を言うわけでもなく、クラスの子に悪口を言われてる感じもなく平和そのものだった。
うん。このA組は常識のある良い子たちばかりらしい。良かった良かった・・・
というわけにもいかず・・・
勉強と実習をメインとしてるこの学校に美化委員や風紀委員というものはない。
ただ学級委員はある。クラスのまとめ役はイベントの時には必要不可欠。
そして推薦され僕が学級委員長に就任。はぁ・・・早速目立ってるよ。
でも、まぁ小学校の頃から学年長やってたから苦にはならないから良いけどね・・・
そしてさらに自分がネイビーブルーの瞳の持ち主というのもバレた。強風によって・・・ね。
そして僕は注目の的。
それから紫音さんのクラスに行けば紫音さんに人だかりが出きるのは必然的・・・
どうしたものかね・・・
御手洗さんは相変わらず盗み見するだけで近寄って来ず、紫音さんの周りは身分しか興味を持たない欲まみれの人達が紫音さんの周りを取り巻かれ進展なし・・・
助け船をだすしかないか。
まず御手洗麗華の情報収集しなくてはね。
「薫風様。こちらです。」
「わざわざ有難う。・・・情報早いね・・・」
「これも執事の仕事ですから。」
優秀過ぎる・・・
え~・・・ほうほう・・・ほうほう・・・
乗馬が得意か・・・確か今週乗馬の訓練があったような・・・
乗馬というか、馬の世話が主な役割だけどね。
「こんにちは紫音さん。」
「あら、ごきげんよう薫風さん。少し失礼致しますわ。」
僕の呼び出しに紫音さんは席を立つ。そして廊下へ出る。
「・・・御手洗さんとお話できましたか?」
「それがなかなか・・・取り巻きがうっとうしくて・・・」
うわぁ~顔を歪ませて嫌そうな顔してる。お疲れ様。
「それで、お話とは?」
「紫音さんは乗馬は得意ですか?」
「そこそこは。どうしてですの?」
「今週、乗馬の時間があります。御手洗さん、乗馬が得意みたいですから、それを切っ掛けに話しかけてみたら良いんじやないかな。」
「そうなのですか!さっそく行動してみますわ!」
「いやいや!乗馬の授業の時にね?早まっては駄目ですよ?」
「あ!そうでしたわ!気が急いでしまいましたわ!」
大丈夫か?まぁ乗馬の時はA組とB組共同でやるから様子を見よう。
そして今日。乗馬の時間がやってきた。
僕はいつもの4人グループで移動。
チラッと紫音さんを見ると相変わらず取り巻きに囲まれていた。
・・・本当に大丈夫か?
おっ、授業が始まると同時に御手洗さんの隣に移動した!
うん偉い偉い!
・・・大丈夫かな?
「どうしたの薫風?」
「ん?あぁ・・・今ね紫音さんが一生懸命友達を作ろうとしてる所なの。」
「あぁ・・・邪答院さんね。初めて会った第一印象はあまり良いものじゃなかったからなぁ・・・薫風の友達と言われなきゃ近寄りたくないタイプだわ。」
「あ~だよね。」
やはり僕の友達も気を使ったみたいだ・・・
ごめんね。
「でも邪答院さんは話せば常識のある優しい人ですから大丈夫だと思いますよ。」
「そうね。私もそう思いますよ。私たちにも全然普通に接してくれましたし。ほんと、薫風くんの周りの人は良い人ばかりですね。」
あら、女子二人にもお墨付きをもらったね。
うん・・・やはり悪役令嬢になるのは高校入ってからかな。やっぱり補正が入らなきゃ悪役にならないんじゃないかな?
うわっ!やっぱゲーム怖ぇ・・・
28
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる