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高年期[一学期編]
歌って素晴らしい・・・ね?
しおりを挟む放課後になり、わざわざ天野くんから迎えに来てくれた。
「薫風ー!じゃあ行こっかー!」
「天野先輩!?あ、ちょっと待ってください準備します・・・」
「薫風さん!?この後はどちらへ?」
「あー、放課後に天野先輩とちょっと用があるんだ。紫音さん、麗華さん、そして越名くん、また明日ね。」
「あ・・・ごきげんよう・・・」
「ごきげんよう八乙女さん。」
「薫風くん、またねー!」
そう言って準備して天野くんの所へ行く。すると人懐っこい顔で抱き締めてきた。・・・いや、だからここはアメリカかっての!何故こうも抱き着いてくるのだろうか・・・
あーでも身長が同じ位だからかフィットするんだよねー・・・なんか天野くん、僕の肩に頬擦りしてるし。
とりあえずベリッと身体から剥がして防音室へ行く・・・
あ、あれ・・・?部屋に1つの人影が?
「ごめんね薫風~・・・子鷹狩くんにはバレちゃった・・・」
「あ、そうです、か・・・」
「本当は2人っきりが良かったんだけどねぇ~・・・あ、二階堂くんは何か用があるらしく早退しちゃったみたいなんだ~。もしまだ学校にいたら捕まってたかもしれない~・・・」
「・・・何か弱味でも握られてるんですか?」
「ん~そんな事ないけど、なんか余りにも浮かれすぎてて昼休みに問い詰められちゃったんだぁ・・・二階堂くん、本当は来たかったらしいんだけどねぇ~」
「そうですか。僕も流依兄さんにちょっと疑われました。なんだか機嫌が良いね~って。でも今日は流依兄さんも用があって先に帰りました。」
「そっかー。あー子鷹狩くんいなかったらなぁ・・・」
「・・・そこで何してるんだ?早く入ってこいよ。」
僕達が廊下でコソコソ喋ってたのに痺れを切らしたらしく子鷹狩くんが防音室から出てきた。
そして何故か僕だけ腕を引っ張られ部屋へ。それを見て急いで天野くんも部屋に入る。
一応誰にも入られないようにと言って天野くんが鍵を掛けた。・・・うーん・・・密室。大丈夫だよね?
「じゃあ始めよっかー!子鷹狩くん大人しくしててねー?」
「わかった。俺は薫風の歌声が聞ければいい。」
「ふーん。そんなに薫風の声は美声なの?」
「ああ。4年しかいれなかったが運動会の時に歌った歌は今でも思い出せるぞ?」
「うわぁーそこまで?いいなぁ・・・僕は幼稚園の時以来だもんなぁ・・・今度いろいろ聞かせてー?」
「・・・天野先輩?早く教えてもらえませんか?」
2人の(主に天野くん)はしゃいでる会話の中に割って入る。褒められて嬉しくもない話をここでしないでほしい・・・
「はい、これ!薫風はピアノひける?」
「はい。歌のだいたいのメロディは覚えてるので楽譜があれば多分・・・歌えます。」
「うわぁ天才だね!じゃあ・・・楽譜がこれね。」
そう言われ楽譜と歌詞が書いてある用紙を手渡された。
ふんふん・・・ざっと歌詞を読むと、やはり詩がいい。僕好みの歌だなぁ。
「軽くひいてみます。何か間違ってたら教えて下さい。」
「はいはーい!わかったよ。」
さっそく、ひいてみる・・・
ーーー・♪~~・・・♪~♪~・・・
うん、良いメロディだなぁ~
3~4ヶ所指摘されたが何回か練習してひけるようになった!
次は歌ね~・・・
「天野先輩、僕がひくので歌ってもらえませんか?」
「・・・えっ!?」
「おい薫風・・・」
「?」
ん?なんだろう?
・・・あらら、天野くん歌が苦手らしい・・・う~ん・・・これは困ったなぁ。
「え~・・・じゃあ楽譜を見て試しに歌ってみるので間違ってたら言ってください?」
「うん・・・ごめんね?僕、凄まじく音痴なんだ・・・でも耳は良いから安心して?」
「いいえ!僕が無理に頼んだようですから気にせずに!・・・では。」
・・・~♪・・・~~♪~♪・・・
濡れたくないと傘をさして
・・・やがていつしか雨があがって
不器用だからと
・・・いつも手離してしまうもの
どうかしたのって聞かれたって
・・・大丈夫とまた強がって
いつしか近くにいて
・・・でも素直になれず突き放して
それでも離れなくて
・・・いつしか僕は信頼していく
大丈夫僕は君の味方だよ
・・・そうさ、いつも君の味方だよ
若干似たような歌詞を知ってるけどメロディが違うし、なにより合唱向きの歌なんだよねぇ~
「・・・凄い」
「ああ・・・声変わりしてたとしても聞き惚れる声だな。」
お二人の感想有難うございます。素直に受け取っておきます・・・
「・・・ふぅ。やっぱり、この歌すごく歌詞が良くて好きです!」
「うん、うん!薫風が歌うと何倍も歌詞が意味を持って良い歌に聞こえるよ!凄いね薫風!歌の才能あるよー!」
「ありがとうございます。でもこんな歌の才能があっても意味がありませんよ?」
「何言ってんのさぁ!最近、まだ広がってないけど『カシュ』っていう歌うのを職業としている人が増えてるんだよー?薫風なら絶対人気がでるよー!」
カシュ?・・・ああ歌手ね。・・・あれ?このゲームの世界じゃそんな職業なかったような・・・?
でも最近歌手が増えてるって事は・・・僕みたいな前世の記憶持ちな人達が増えてるって事!?
なんかそのうちCDとか出てきそう・・・それはそれで僕としては嬉しいけどね・・・
でもそれによってゲームの世界が変わっちゃうんじゃないのかな?・・・え、大丈夫かな?
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