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高年期[一学期編]
なんだかんだ言って僕は無防備だよね
しおりを挟むそれから自分が満足するまで歌い続けた。
途中、リクエストで天野くんが1ーAで歌った『めぐり逢わせ』を歌ってほしいと言われ、それに答える。
2人は目を閉じてうっとりとして聞いていた。うん、気に入ってくれてるみたいで嬉しいよ。僕も歌好きだし。
・・・おっと。かなり時間が過ぎてしまって外が薄暗くなってしまった。
そろそろ帰ろうと2人に言うと少し渋ったがまた生徒会がない時に歌ってあげると言ったら素直に従ってくれた。
「あ、そうだ天野先輩、歌を教えてもらったお礼は何が良いですか?」
「お礼~?ん~・・・あ、じゃあもらっていい?」
「何をーーーっ!?んむっ!?!?」
まさかのチュー。そしてそれに固まってたらベロチューされました。
呆気にとられてた自分の意識を覚醒させて天野くんの肩に手をおき思いっきり突き飛ばした。
うわぁ・・・さすが小悪魔。口から溢れた涎を親指で拭いとる姿・・・エロいです。
僕も思わず袖で口を拭った。はぁ・・・僕ってほんと危機感ないのかな・・・
「ふふふ~。薫風の唇頂きました!お礼はこれでいいよ!」
「・・・不意打ちは卑怯です。完全に油断してました・・・」
「薫風の唇甘いね~!・・・もう一回していい?」
「ダメに決まっーーーっえ!?んんっ!?」
あー子鷹狩くんの事、すっかり忘れてた。
いつの間にか後ろに着かれてたらしく腕を引っ張られた衝撃で振り向いた時に顎を捕られキスされました・・・
「薫風、これは俺からの礼だ。受け取れ。」
「・・・受け取れと言う前にしてるじゃないですか・・・」
「今のは軽い挨拶だ。次のが礼だ・・・」
「ダメー!子鷹狩くん薫風に近寄らないでー!」
3度目のキスをされそうになった所で天野くんが割り込んでくれて防げた。
ギャーギャー騒いでるうちに日が落ちてしまい急いで解散となった。
「薫風、遅かったね。何してたの?」
「た、ただいま兄さん。ちょっと熱中しちゃいまして・・・」
「・・・特に何かされたりしてない?」
「はい、特には・・・」
「・・・ほんとう?」
何この尋問されてる状況は・・・
でも心配してくれてる事だけはわかったので天野くん同様、流依兄さんにドーン!と突進するように抱き着いた。
「へへっ。兄さん有難う心配してくれて。」
「っ。・・・はぁ~無事ならそれで良いよ。薫風を狙ってる奴は沢山いるんだからね?・・・本当に気をつけて。」
「うん。有難う兄さん。」
流依兄さんに抱き締め返され少し苦しかったが愛されてるなぁと実感できたのでそのまま大人しくしている。
それから夕飯を家族で取りそのまま就寝・・・
就寝するはずが・・・今日は流依兄さんが一緒に寝ようと言ってきたので流依兄さんの部屋に行き一緒に寝た。
・・・うん。寝るだけなら良かったんだけど何故か積極的に兄さんが触ってきたので、その気になりいつものように抜き合いをしました・・・なんかもう最近この行為が多い気がするのは気のせいかな・・・?
____________
「八乙女くん、少し話がしたいんだけど・・・いいかな?」
「に、二階堂先輩・・・?」
思わず口元が引きつってしまったよ・・・
朝っぱから何の用だろう?お陰でうちのクラスは大騒ぎだよ・・・何してくれてるのよ?
とりあえず廊下に出る。・・・まぁまぁ皆の注目の的になりましたよ、ええ。
「・・・それで、用件はなんでしょうか?」
「昨日、爛と政美と3人で防音室で歌ったんだってな?」
「・・・そうですが?確認の為に来たわけではありませんよね?」
「ああ、そうだ。俺にも歌え。」
「・・・は?何故?」
二階堂くんの俺様口調に少しイラッとした。「俺にも歌え」?何様なんだろうか?
あ、俺様か。
「僕は昨日、自分から天野先輩に歌を教えてもらえるよう懇願したんです。確かに歌は歌いましたが自分の為に歌ったわけで天野先輩や子鷹狩先輩の為に歌ったわけではありませんよ。なのに何故二階堂先輩の為に歌わなくてはならないんですか?」
「・・・俺が聞きたいからだ。」
うわっ!!何この俺様!僕は歌手じゃないわけで人に頼まれて歌うほどの美声は持ち合わせてはないんですが・・・
「・・・いではないか。」
「ん?」
「あの二人だけ薫風の歌声を聞くなんて・・・ずるいではないか!!!」
「・・・」
急に叫ばれて思わず目をパチパチ瞬き唖然としてしまった。
・・・へぇ?二重人格のわりに自分の感情をさらけ出すなんて・・・ねぇ。
「二階堂先輩・・・素が出てますよ。」
「・・・」
「二階堂先輩?」
あ、そっぽ向かれた。あれー?拗ねちゃった?・・・あ、時間切れみたい。
キンコーン・・・キンコーン・・・
「・・・放課後、昨日使った防音室に来い。」
そう一言残して廊下を歩き出した。・・・え、嫌なんですけど強制ですか?
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