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序章
勇者の話 2
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その人はとても驚いているようだった。
表情には出てなかったけど、何となく、この人の纏ってるオーラ······魔力?が一瞬揺らいだような気がしたんだ。
でも次の瞬間にはもう平然としていて、ガラス玉みたいな深緑色の瞳には何の感情も見えなかった。
その人は周りが驚いていることをちらりと確認していて、その目はとても鋭かったけど、わかったのは多分俺だけだ。
だってその人は強いウェーブのかかった髪をそのままにしていて、耳や輪郭、もっと言えば瞳の色もわからないくらいに顔に髪がかかっていたんだから。
おまけに眼鏡をかけていて、正直、顔がほぼ見えないと言って良いくらい。
まあ眼鏡は縁がなかったし、ツルの部分も細くて白かったからないようにも見えるんだけどね。
だから、俺もその人に随分近づいてから初めてその人がすごい美形だって気づいた。
初対面なのに馴れ馴れしいって言われたこともあるくらい距離感が近い事をわりと気にしてたんだけど、以外と役に立つものだね。
そう呑気に、いや、見惚れていると言っても良いくらい顔をガン見してしまっていたら、勢いよく襟を掴まれて引き離された。
一瞬締まった首を労るようにさすってから襟を引っ張った犯人を見ると、その犯人のメイとカレンが鬼のような顔をして俺を睨んでいた。
二人は俺の頭を掴んで床につきそうなほど頭を下げさせる。
二人も一緒に頭を下げて、ひどく申し訳なさそうな声で謝っていた。
「ほんとにすみませんうちのバカが········!!」
「お詫びをさせてください!あの、お名前は········?」
そこでようやく、俺は自分がすごく失礼な態度を取っていたとわかった。
そりゃあそうだ。いきなり腕を掴まれたと思ったら顔をガン見されるなんて、当然気分は良くないだろう。
でもその人はそんなことを感じさせないような事務的な声を発していた。
「ああ、いえ、平気ですよ。噂の勇者様に会って、此方もついじっと顔を見てしまいましたし。おあいこ、ですよ。」
そう言って愛想程度に笑ったその人は、そそくさと立ち去ろうとする。
そんな彼を今度はカレンが控えめに止めて、また名前を聞く。
お詫びを後で届けさせるから目印になるように名前だけでも知っておきたい、って頼み込んでたけど、あれは多分嘘だな。
カレンもきっとこの人の強さの秘密を知りたいんだろう。
そして、俺と同じで、あわよくば仲間にでもと思っているんだろう。
そんな思惑なんて知るはずがない彼は、困ったように笑ってからアルと名乗った。
今度こそ去ってしまったアルさんの背中を見つめていると、肩にガッチリとした手が乗せられた。
その手を辿っていくと、額に青筋を浮かべたジークが。
ジークはギリギリとさらに俺の肩に圧力をかけながら顔を覗き込んできた。
「で、説明してくれるんだよな?ん?」
「······ちょ、言う、言うから手を········イテテテ!!」
なんか肩から鳴っちゃいけない音がしてる!と言ってなんとか離してもらい、周りの人にも謝りながらギルドを出た。
「俺たちが感じたことは、宿でちゃんと話すからさ!」
表情には出てなかったけど、何となく、この人の纏ってるオーラ······魔力?が一瞬揺らいだような気がしたんだ。
でも次の瞬間にはもう平然としていて、ガラス玉みたいな深緑色の瞳には何の感情も見えなかった。
その人は周りが驚いていることをちらりと確認していて、その目はとても鋭かったけど、わかったのは多分俺だけだ。
だってその人は強いウェーブのかかった髪をそのままにしていて、耳や輪郭、もっと言えば瞳の色もわからないくらいに顔に髪がかかっていたんだから。
おまけに眼鏡をかけていて、正直、顔がほぼ見えないと言って良いくらい。
まあ眼鏡は縁がなかったし、ツルの部分も細くて白かったからないようにも見えるんだけどね。
だから、俺もその人に随分近づいてから初めてその人がすごい美形だって気づいた。
初対面なのに馴れ馴れしいって言われたこともあるくらい距離感が近い事をわりと気にしてたんだけど、以外と役に立つものだね。
そう呑気に、いや、見惚れていると言っても良いくらい顔をガン見してしまっていたら、勢いよく襟を掴まれて引き離された。
一瞬締まった首を労るようにさすってから襟を引っ張った犯人を見ると、その犯人のメイとカレンが鬼のような顔をして俺を睨んでいた。
二人は俺の頭を掴んで床につきそうなほど頭を下げさせる。
二人も一緒に頭を下げて、ひどく申し訳なさそうな声で謝っていた。
「ほんとにすみませんうちのバカが········!!」
「お詫びをさせてください!あの、お名前は········?」
そこでようやく、俺は自分がすごく失礼な態度を取っていたとわかった。
そりゃあそうだ。いきなり腕を掴まれたと思ったら顔をガン見されるなんて、当然気分は良くないだろう。
でもその人はそんなことを感じさせないような事務的な声を発していた。
「ああ、いえ、平気ですよ。噂の勇者様に会って、此方もついじっと顔を見てしまいましたし。おあいこ、ですよ。」
そう言って愛想程度に笑ったその人は、そそくさと立ち去ろうとする。
そんな彼を今度はカレンが控えめに止めて、また名前を聞く。
お詫びを後で届けさせるから目印になるように名前だけでも知っておきたい、って頼み込んでたけど、あれは多分嘘だな。
カレンもきっとこの人の強さの秘密を知りたいんだろう。
そして、俺と同じで、あわよくば仲間にでもと思っているんだろう。
そんな思惑なんて知るはずがない彼は、困ったように笑ってからアルと名乗った。
今度こそ去ってしまったアルさんの背中を見つめていると、肩にガッチリとした手が乗せられた。
その手を辿っていくと、額に青筋を浮かべたジークが。
ジークはギリギリとさらに俺の肩に圧力をかけながら顔を覗き込んできた。
「で、説明してくれるんだよな?ん?」
「······ちょ、言う、言うから手を········イテテテ!!」
なんか肩から鳴っちゃいけない音がしてる!と言ってなんとか離してもらい、周りの人にも謝りながらギルドを出た。
「俺たちが感じたことは、宿でちゃんと話すからさ!」
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