万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵

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第一章

第四十七話 略奪者達との戦い

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 ◆◇◆◇◆◇


 目の前に姿を現した略奪者達は7人だけだった。
 他の略奪者は姿を隠しており、俺達が逃げられないように周りを取り囲んでいるのが〈広域マップ〉で分かった。


「……なるほど。C国の連中か」


 俺の呟きが聞こえたらしく、普通の探索者のフリをして話しかけようとしていたらしき先頭の大男の動きが止まった。


「ふむ。どうやら気付いているようだな」


 流石はと言うべきか、先頭の大男は俺の発言が意味するところを正確に読み取っていた。


「アンタらの狙いはアーティファクトだろ? いくらダンジョンの中が治外法権とはいえ、やって良いことと悪いことの区別ぐらいはつけて欲しいものだな」

「区別はついているとも。だからこそ提案しよう。先日のダンジョン攻略で得たアーティファクトを大人しく引き渡すならば、2人とも五体満足で生かして帰そう」

「そういう発言は信頼に足る行動を取ってから言うんだな。大勢で取り囲んでいる時点で生かして帰す気がないことぐらいは分かるぞ」

「ほう。どうやら平和ボケの馬鹿ではないらしい。ならば、俺達も容赦なくやらせてもらうとしよう」


 そう告げた先頭の大男──前世で〈無葬獣〉の二つ名で呼ばれていたC国特殊部隊の大男が片手を挙げた。
 その合図を受けて、大男の部下と思われる周りの奴らに動きがあった。
 〈月神の賢眼〉で視えたステータスから、大男はウーという名前だったことを思い出しつつ、リリアに声を掛けた。


「リリア!」

「『守護要塞フォートレス』!」


 リリアが魔法名を唱えると同時に周囲から攻撃が放たれてくる。
 空気の抜けるような音と共に放たれてきたのは銃弾だった。
 ダンジョンやモンスターなどが出現するようになった大異変以降は、自衛から必要に駆られてこの国でも銃器は禁制品ではなくなっている。
 だが、スキルや魔法を使う覚醒者や戦闘用マジックアイテムなどの存在以上に、銃器というモノに対する忌避感は根強く、一般国民で所持している者は極僅かだ。
 そんな、この国ではある意味マジックアイテム以上にレアな武器を持ち出してきたのは少し意外だったな。


「うーん。この銃弾からすると対モンスター用銃器グレーターライフルか。よく国内に持ち込めたな……」


 リリアが張ったドーム状の魔法壁を突き破れなかった銃弾から、略奪者達が使っている武器が判明した。
 覚醒者ではない人間でもモンスターを制圧できるようにするのを目的として開発されたのがグレーターライフルだ。
 実際にはモンスターだけでなく、〈ヴィラン〉と呼称される犯罪を犯した覚醒者にも使用されており、そのことからもこの武器が開発されるに至った別の思惑も垣間見える。
 一般には流通しておらず、主に各国の軍隊や警察でのみ採用されているほどに強力な武器だ。
 とはいえ、グレーターライフル用の銃弾が通じるのは雑魚モンスターや下級覚醒者、あとは耐久値の低い能力値構成ビルドの中級覚醒者ぐらいなので、個人的には大した脅威ではない。
 まぁ、無抵抗に銃弾を浴びたら鬱陶しい程度の威力はあるため、当たらないに越したことはない。

 どれだけ撃ち込んだとしても、無属性上級防御魔法である『守護要塞フォートレス』を破ることは不可能なので、安心して次の行動に移る。
 ウーとの会話と銃弾が着弾する音はスマホに録音したので、これで生死を問わない反撃をするだけの証拠は確保した。
 録音を停止しながら通信状態を確認したところ、この辺り一帯は圏外になっていることが分かった。
 電波妨害ジャミングもされてるし、容赦なく殺すだけの理由ができたため反撃を開始する。


「『影の従騎士シャドウサーヴァント』」


 指環型マジックアイテム〈闇の大精霊テネブレの指環〉から闇が溢れる。
 【闇影あんえい招来】の能力によって生まれた闇影を魔法スキルの代わりに使って、闇属性魔法を発動させた。
 更に、手元に展開された大量の闇の魔法陣を【座標変換】にて略奪者達の近くへと送り込んでいく。
 対象の空間座標を別の空間座標へと変換する【座標変換】には、こんな使い方もあるのだ。
 なお、転送先の座標に関しては〈広域マップ〉に映る略奪者達の位置情報を使った。

 送り込んだ魔法陣から召喚された影の騎士達は、そのまますぐ近くでグレーターライフルを撃ち続けている略奪者達へと斬り掛かっていった。
 ほどなくして銃撃が止み、代わりに周りで影の騎士達と略奪者達の戦闘が始まった。
 視線を正面に向けると、ウー達へ適当に差し向けた10体の影の騎士が、ウーによって一蹴されたのを目撃した。


「やっぱりこの程度の走狗じゃ無理か。リリア、壁を解除して使っていいぞ。全力でだ」

「はい!」


 強固な魔法壁の解除と同時に【魅了する運命】による運命属性魔力が解き放たれる。
 解放された魅了の力があっという間にウー達7人を呑み込み、7人中3人が〈魅了〉状態になった。


「ぐっ、何を!?」

「うっ!?」

「一体どうし、チッ!」

「これは、〈魅了〉か」


 突然味方から攻撃を受けた3人が動揺し攻撃を受ける一方で、ウーは攻撃を防ぐと〈魅了〉状態に陥った3人を一発ずつ軽く殴っていった。
 すると、それだけで3人の〈魅了〉状態が解除されていったのが〈月神の賢眼〉で確認できた。
 どうやらウーは、今の時点でも〈無葬獣〉と呼ばれることになった覚醒者殺しの力を持っているようだ。
 厄介だなと思いつつ、〈闇の大精霊テネブレの指環〉を再度使用した。


「『闇眷二重影ドッペルゲンガー』」


 モンスターにも存在する同じ魔法名を唱え、色以外は俺にそっくりな姿形の影を2体生み出した。
 術者である俺ほどの力は無いが、それでも中級覚醒者ぐらいの力はあるので、リリアの護衛にはちょうど良いだろう。


「リリア。一番厄介な中央の大男は俺が引き離す。その後なら魅了も通じるはずだから、それ以外の奴らは任せるぞ」

「分かりました」


 リリアの返事を聞くと、〈葬死ノ円環〉から具現化させた複数の獄鎖を一つに束ね、巨大な杭のようにしてからウーへとぶつけた。
 直撃する寸前に、アーティファクト〈支配の王環〉の念動力でウーの身体を浮かせて踏ん張れないようにする。
 ウーが持つ力の所為で僅かに浮かせられなかったが、そのまま強制的に吹き飛ばすことに成功した。
 獄鎖を収縮させてウーを追いかけつつ、前世でウーが使っていた力を振り返り、今の手札での倒し方について考えるのだった。




 
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