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【黒幕は誰だ】
闇落ちの手がかり
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「おい」
抗議する声をあげたのはグランツだ。『事件』という言葉が気に入らなかったのかもしれない。しかし、睨むグランツに対して、アウレウスは特に答えず、テレンシアに目を向けた。
「説明が後になってしまい、申し訳ありません。先日、学園内で人間がモンスター化しそうになるという事件があったのです。クレア様の聖魔法のおかげで、その方はモンスター化することなく、無事にその場を納めることができました。しかし、ことがことなだけに、内々に処理していまして」
アウレウスは淡々と説明する。
「そちらのグランツさん達は目撃者のため、事件の考察をお願いしておりました。テレンシアさんには、話を聞いて頂いて意見を聞きたかったのです」
「わたくしの……」
ぽつ、と呟いてテレンシアは何かに気付いたように、ぱっと私の方を向いた。
「まさかクレア様が数日休んでたのは、聖魔法を使ったせいですの?」
「あ、あー……うん。そう」
「何てこと……」
呆然と呟いて、テレンシアは考えるように黙り込む。表向きには、体調を崩しただけだと説明していたし、私が魔力切れで休んでいたことは、学園の関係者ではアウレウスとアビゲイルとグランツだけだ。テレンシアは体調不良だと伝えていたし、嘘を吐いたことを怒っているかもしれない。
「テレンシア、その、ごめ……」
「お力になれるんだとしたら光栄なことです。しかし、わたくしが知ってしまったよかった情報ですか?」
私の言葉を遮るように、テレンシアは言う。怒って、ない……?
「もちろんです。お呼びしたのは、こちらですから。しかし、この話は内密に願います」
「言うまでもないことですわ」
アウレウスに頷いて見せて、テレンシアは再び私に目を向ける。
「クレア様、先ほど聖魔法を発動されたけれど、気分はいかがかしら。脱力感などはなくて?」
私に怒るどころか、テレンシアは心配そうに私の顔色を観察している。
「うん……ありがとう、大丈夫だよ」
嘘ついてたのに私を気遣ってくれるテレンシアの優しさに、涙が出そうになるけど、なんとか堪えてテレンシアに答える。
「私よりも、ペンダントのことだよ」
私の言葉にテレンシアは顔を曇らせたが、小さく頷いてくれる。
「テレンシアも三日月のペンダント持ってるって言ってたよね? 今も保管してるの?」
「ええ、自宅に保管してありますわ」
「貴女も持っているのですか」
アウレウスが驚いたように尋ねると、テレンシアは「ええ」と答える。
「少し前からつけるのをやめてしまいましたが。後日、持ってまいりますわ。きっと事件の原因究明に役立つでしょうから」
「なるほど……それは助かります」
アウレウスは手元の割れてしまったペンダントを見つめる。
彼が考えた推測は、確かに正しいかもしれない。さっきペンダントから噴き出ていた黒い影は、紛れもなくアビゲイルから吹き出していたあの影と同じだった。
そして、テレンシアが闇落ちしなかったのは、ペンダントを身に着けるのをやめたおかげだと思えば、つじつまが合う。あまりにも都合よく、説明が成り立ってしまう。もしも、テレンシアがペンダントを着け続けていたらと思うと、ぞっとする。
「差し出がましいようですが、今日はおひらきにした方がよろしいのではないでしょうか? 今日はこれ以上、何もわからないでしょう?」
「えっ?」
「そ、そうですね」
「そうの方がいいか」
私が戸惑いの声をあげたにも関わらず、アビゲイルとグランツは賛成の意を示す。グランツなんか、今来たばかりなのに。
「まだペンダントのこと」
「貴女の顔色が悪いんですよ」
アウレウスがそう言って、私の肩を支えていた手を、目に当てる。アウレウスの手の暖かさがじんわりと伝わって、それだけでうとうとしそうになった。アウレウスに貰ったネックレスのおかげで魔力がセーブされたと思っていたけど、それでもやっぱり結構消耗してたのかもしれない。
「……判った。ごめん」
「謝られることではありませんよ。ゆっくり休んでください」
小さく囁かれたその声を聞き終わるのが早いか、私の視界はアウレウスに奪われたまま、意識が暗転した。
そうして、闇落ちの原因の手がかりを掴み、教会での話し合いは一瞬で終わったのだった。
抗議する声をあげたのはグランツだ。『事件』という言葉が気に入らなかったのかもしれない。しかし、睨むグランツに対して、アウレウスは特に答えず、テレンシアに目を向けた。
「説明が後になってしまい、申し訳ありません。先日、学園内で人間がモンスター化しそうになるという事件があったのです。クレア様の聖魔法のおかげで、その方はモンスター化することなく、無事にその場を納めることができました。しかし、ことがことなだけに、内々に処理していまして」
アウレウスは淡々と説明する。
「そちらのグランツさん達は目撃者のため、事件の考察をお願いしておりました。テレンシアさんには、話を聞いて頂いて意見を聞きたかったのです」
「わたくしの……」
ぽつ、と呟いてテレンシアは何かに気付いたように、ぱっと私の方を向いた。
「まさかクレア様が数日休んでたのは、聖魔法を使ったせいですの?」
「あ、あー……うん。そう」
「何てこと……」
呆然と呟いて、テレンシアは考えるように黙り込む。表向きには、体調を崩しただけだと説明していたし、私が魔力切れで休んでいたことは、学園の関係者ではアウレウスとアビゲイルとグランツだけだ。テレンシアは体調不良だと伝えていたし、嘘を吐いたことを怒っているかもしれない。
「テレンシア、その、ごめ……」
「お力になれるんだとしたら光栄なことです。しかし、わたくしが知ってしまったよかった情報ですか?」
私の言葉を遮るように、テレンシアは言う。怒って、ない……?
「もちろんです。お呼びしたのは、こちらですから。しかし、この話は内密に願います」
「言うまでもないことですわ」
アウレウスに頷いて見せて、テレンシアは再び私に目を向ける。
「クレア様、先ほど聖魔法を発動されたけれど、気分はいかがかしら。脱力感などはなくて?」
私に怒るどころか、テレンシアは心配そうに私の顔色を観察している。
「うん……ありがとう、大丈夫だよ」
嘘ついてたのに私を気遣ってくれるテレンシアの優しさに、涙が出そうになるけど、なんとか堪えてテレンシアに答える。
「私よりも、ペンダントのことだよ」
私の言葉にテレンシアは顔を曇らせたが、小さく頷いてくれる。
「テレンシアも三日月のペンダント持ってるって言ってたよね? 今も保管してるの?」
「ええ、自宅に保管してありますわ」
「貴女も持っているのですか」
アウレウスが驚いたように尋ねると、テレンシアは「ええ」と答える。
「少し前からつけるのをやめてしまいましたが。後日、持ってまいりますわ。きっと事件の原因究明に役立つでしょうから」
「なるほど……それは助かります」
アウレウスは手元の割れてしまったペンダントを見つめる。
彼が考えた推測は、確かに正しいかもしれない。さっきペンダントから噴き出ていた黒い影は、紛れもなくアビゲイルから吹き出していたあの影と同じだった。
そして、テレンシアが闇落ちしなかったのは、ペンダントを身に着けるのをやめたおかげだと思えば、つじつまが合う。あまりにも都合よく、説明が成り立ってしまう。もしも、テレンシアがペンダントを着け続けていたらと思うと、ぞっとする。
「差し出がましいようですが、今日はおひらきにした方がよろしいのではないでしょうか? 今日はこれ以上、何もわからないでしょう?」
「えっ?」
「そ、そうですね」
「そうの方がいいか」
私が戸惑いの声をあげたにも関わらず、アビゲイルとグランツは賛成の意を示す。グランツなんか、今来たばかりなのに。
「まだペンダントのこと」
「貴女の顔色が悪いんですよ」
アウレウスがそう言って、私の肩を支えていた手を、目に当てる。アウレウスの手の暖かさがじんわりと伝わって、それだけでうとうとしそうになった。アウレウスに貰ったネックレスのおかげで魔力がセーブされたと思っていたけど、それでもやっぱり結構消耗してたのかもしれない。
「……判った。ごめん」
「謝られることではありませんよ。ゆっくり休んでください」
小さく囁かれたその声を聞き終わるのが早いか、私の視界はアウレウスに奪われたまま、意識が暗転した。
そうして、闇落ちの原因の手がかりを掴み、教会での話し合いは一瞬で終わったのだった。
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