転生したら乙女ゲームのヒロインでしたが逆ハーレムはお断りしたいので闇落ち悪役令嬢のフラグを叩き折ることにします!

かべうち右近

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【黒幕は誰だ】

先生のご意見を伺いたい

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 後日、テレンシアから三日月のペンダントを貸してもらった私とアウレウスは、割れたペンダントと共に、ルーナ先生の所に持ち込むことにした。ちなみにテレンシアの三日月のペンダントの受け渡しは、一応人気のない場所で行われたが、私が触れても何も起こらなかった。

 ルーナ先生に見せる際に立ち会うのは、アウレウスと私の2人だけである。

 アビゲイル達には詳細が判り次第、話すと伝えている。

 放課後、ルーナ先生の研究室を尋ねた私たちは、研究デスク前におざなりに設置された応接テーブルのソファに座った。そこで三日月のペンダントが壊れた経緯を話してからペンダントを見せると、ルーナ先生は難しい顔をした。

「……これが、モンスター化の原因?」

 二つのペンダントを見比べながら、ルーナ先生は唸るように呟く。

「何か判りますか?」

 アウレウスがそう尋ねると、ルーナ先生は二つのペンダントをテーブルに置いて、ふう、と息を吐いた。

「……誤解しないで欲しいんだけど、結論から言えば、これは僕が作ったペンダントだ」

「はい?」

 変な声が出てしまったけれど、仕方のないことだと思う。

「うん、順を追うよ」

 そう言ってルーナ先生が話してくれたのは、次のようなことだった。

 ルーナ先生は、教師の仕事とは別に、手慰みに作った銀細工を販売していたことがあるのだそうだ。ただの素人の銀細工では売れないから、魔力付加をしていたのだという。

 今回ルーナ先生にこのペンダントの相談を持ちかけたのは、ルーナ先生が転生者だということもあるけれど、第一に先生の研究が魔力付加された道具の研究だったからだ。先生は、魔力の付加されたアイテムの解析や、魔力付加の研究者なのだ。

 三日月のペンダントも、銀細工から魔力付加までルーナ先生が手がけたものであり、一年ほど前に同じ形状のものを10個ほど作って、同じ効果の魔力を付加して出荷したらしい。

「……けどさ、僕、モンスター化なんてそんな恐ろしい魔力付加できないよ? このペンダントだって、水魔法が付加してあるだけだし。効果なんて……水の浄化の加護がほんのり効く程度……持ってたら、少し気分が明るくなるかもしれない程度の、本当におまじないレベルのものだよ」

 言いながら先生はソファから立ちあがると、研究物資で溢れるデスクから、ルーペのような道具を取り上げた。そしてペンダントを取り上げて、そのルーペのようなものを当てる。

「見てよ。これ」

 ルーペの上には、うねる水のようなきらめきが走る。

「これは、簡易的に付加された魔力属性を鑑定するアイテムなんだけど、ほら。ただの水属性魔法でしょ? それから……こっちは、もう壊れてしまってるね」

 割れてしまった方のペンダントにルーペをかざしても、何も現れなかった。また溜め息を吐いて、ルーナ先生はルーペもテーブルに置く。

「このペンダントがモンスター化するキーアイテムなんだとしたら、鑑定で闇の魔力が出てこないとおかしいけど、今はご覧の通り水の魔力しか出てこない。大体、お守りとして流行ってるって言っても、10個しか作ってないんだよ? どこで流行ってんのさ。10個で流行りとか、限定的過ぎるよね」

「そういえば、そうですね……」

 言われてみれば、流行っているのであればもっと数が必要な筈だ。

「この壊れてない方はテレンシア・フォリーンのものでしょ? 彼女はどうやって入手した訳?」

「お茶会に来たご令嬢に、お近づきの印にと貰ったらしいです」

 名前も覚えていないらしいが、よくもそんな怪しげなものを身に着けていたものである。

「アビゲイル・シェロンは?」

「彼女は、ルーナ先生が卸した魔道具店で直接購入したようですよ」

「ふぅん……」

 生返事をして、ルーナ先生は指先でペンダントを弄る。

「少なくとも、出荷してからこれまでの間で、人間がモンスター化したなんて噂は聞いたことがない。近隣で失踪者が出たなんて噂もね。これが本当にキーアイテムになってるなら、他にも8人の被害者がいてしかるべきだけど……そこは、ゲームのご都合という奴なのかな。テレンシア・フォリーンがモンスター化しなかったのは幸いなんだろうけど……」

「セリナさんは大丈夫なんでしょうか?」

 私がルーナ先生の婚約者の名前を口にすると、ぴくりと動いた。

「セリナちゃんは、こんなペンダント持ってないとは思うけど、急いで確認しないといけないな」

 言った途端に、ルーナ先生はソファに背中を預けて天を仰いだ。

「あ~本当嫌になる。セリナちゃんがモンスター化する可能性とかほんとに無理無理。大体、闇属性の魔力なんて本当に存在するのかどうかさえ判んないのに」

「そうなんですか?」

「うん……。専門じゃないから詳しくは知らないけど、闇属性は人間じゃ確認されてないんだよ。モンスター化する魔力がどうやって発生するものなのかも判ってない」

 そう言うと、ルーナ先生はソファに預けていた身体を起こして、急に立ち上がった。

「じゃあ、僕セリナちゃんに急いで会わなきゃだし、君たち帰ってくれる?」

「えっ」

 しっしっと手を振って、ルーナ先生は私たちを追い出す仕草をする。

「セリナちゃんがペンダントをもしも持ってたら、すぐに回収しないと。だから、君たちは早く帰って」

 アウレウスも面食らったようだったが、ルーナ先生の言葉を聞いて頷いた。

「そうですね、ではそちらの確認はお願いいたします。クレア様、参りましょうか」

「うん」

 私も頷いて2人してソファを立ち上がったその時だった。研究室のドアがノックされたのは。
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