アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん

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 前のめりになっていた気持ちが一瞬で、落ち着く。保険料の支払い窓口のせいだ。

 「いつもこれでテンションが下がるんですよね。」
 再度、マイナンバーカードを読み込ませ、金額を入金する。

 ダンジョン保険を掛けない者も居るらしいが、もし怪我や最悪命を落とせば目も当てられない。
 治療費は全額自己負担となり、補償金も出ないのである。

 僕は万が一の事を考え、毎回保険を掛ける主義なのだ。

 「保険料また上がってるなぁ!僕がダンナー辞めた時は一日掛けで、二千二百円だったぞ。」
 今、僕が入金したのは、五千五百円である。

 「保険料の金額でダンナー辞めた時期が分かるって良く言いますからね。国もエグいですよね。いつの間にかダンジョンで稼いだ収入にも課税する様になりましたし。税金を取る事は、すぐに決めるくせに、世の中を良くする事は何にも決めないですからね。」

 いつの世も、政治屋は糞であるという事か。

 「さぁ納税するために、せっせと稼ぎましょうか。」

 保険手続きを終え、いざ階段を降る。ここからは、いつ魔物が出てもおかしくない。

 「久しぶりだと緊張するな。僕は右側を警戒するから、ササは左側の警戒頼むぞ。」
 「了解です。」
 笹川は、金属バットを手にしっかりと握り締める。

 「本田さんまさか素手ゴロですか?」
 「そんな訳ないだろう!K1選手じゃあるまいし。コレだよ。コレ!」

 僕はパーカーのジッパーを下げ、左脇のホルスターに入れられたガス銃を取り出して見せた。

 「グロッグ17だ!15mm弾だから結構威力があるぞ。25発装填で使い易いしな。」
 僕は自慢気に見せつけた。

 「オモチャですか?大丈夫ですか?」
 てっきり羨望の眼差しかと思いきや、笹川の目には、明らかに不審の色が浮かんでいる。

 「バカ!ただのオモチャじゃねーよ。アルミ缶程度なら、突き破る威力だぞ!流石に実弾の銃程じゃないけど、こんなに手軽で威力のある武器なんてなかなかないだろう?」

 笹川の疑いの視線は変わらない。

 「マジですか?足引っ張らないで下さいよ?結局金属バットみたいな方が使い易く、頑丈だし良いと思いますけどね……」

 僕のガス銃が認められないままのダンジョンを進んで行く事になった。

 「ササ!」
 静かに名前を呼び、笹川の身体を叩く。

 居た。ゼリー状の物体、スライムだ。

  「一匹ですね。楽勝ですよ。」

 金属バットを振り上げ、笹川がスライムに向かって走り出す。スライムの頭上から、勢いよく金属バットを振り下ろした。

 ガチン!!
 鈍い音が鳴り響く。

 「うわ!」
 地面を強打した笹川は、両手の痺れを訴えている。

 
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