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ユートピア村

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 「もちろん私からも国王陛下に進言しました。恐らく国家総動員をかけても、あなたを拘束する事は困難であろうと。敵対するより協力関係を構築出来た方が絶対に良いと。」

 「実は近年、隣国ノルディアに不穏な動きがあります。ノア君には、隣国ノルディア潜入して企みを調査して頂きたい。さらに怪しげな動きがあれば、それを壊滅して頂けると有難く存じます。すでに現地には、我が国の手の者が潜入している筈ですが、なかなか有用な情報を得るには至っておりません。」

 潜入調査……面倒くさいな……

 「お断り致します。興味がありません。」

 気まずい沈黙の後、最強の魔法使いはかぶりをふった。

 「ノア君それはダメだ。君は特別魔法学校を破壊した。いわば国家反逆罪だ。確かに君を捕らえる事は出来ないかもしれない。しかし犯罪者となれば、君の家族にも累が及ぶんだ。国王陛下は寛大にも君を無罪放免にすると仰っている。君に断る選択肢はないと思ってくれ。」

 「それでは、従うしか道はないと……?」

 「そういう事です。」

 「僕の家族を人質に取るつもりであるならば、国家自体を壊滅されても依存はないと?この僕に国家全員で掛かってきたら、勝てるとでも?」

 「前任の校長からの報告があった様な、不遜な態度ですね。私が腕試しをしてみましょうか?縛れ!」

 流石は、最強の魔法使いと言われるモンテギューである。魔法の発動速度は早く僕の身体を魔法で出来た縄が縛った。

 モンテギューはニヤリと笑い、

 「君に才能がある事は分かっていますが、その歳でレベル10の魔法はとても考えられません。何かトリックがあるのでしょう?」

 「なかなか良い魔法使いですね。しかし魔力が弱い。最強の魔法で掛かってきても良いですよ!」

 僕を縛った魔法の縄がハラリと落ちる。

 モンテギューに焦りの表情が見えた。

 「蛇となれ!」

 足元に落ちた魔法の縄が、僕の魔力を注ぎ込まれ、蛇の様にモンテギューを襲った。

 モンテギューは、慌てて蛇を氷漬けにする。

 「何ですか?今の魔法は?君は一体何者ですか?」

 「校長先生から攻撃しないなら、僕から行きますよ!」

 校舎に居る人間全てを被害が及ばない様に、有無を言わさず、校舎外にテレポートされた。

 「信じられない様なので、見せてあげます。これ以上僕に関わる様であれば、この国を同じ様にしますので!」

 「バーニングサン!」

 せっかく新しく立て直した校舎をまたも破壊する。

 「バーニングサン!」

 校舎を何かも焼き尽くす。さらに前と同じ様に、火魔法レベル10と風魔法レベル10を組み合わせた、

 「フレイムテンペスト!」

 で校舎を灼熱の嵐で燃やし尽くした。
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