キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太

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No.22:同棲の件なのか?

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 放課後、僕は校長室へ向かった。
 ドアをノックする。
 どうぞ、と言われて中に入る。

「失礼します」

「おー瀬戸川君。悪いねぇ」

 大崎重造おおさきじゅうぞう
 城京大学第一高等学校の校長先生だ。

 ふっさふさの白髪交じりの髪の毛。
 その風貌は、数代前の総理大臣に似ている。
 ついたあだ名が「ライオン」だ。
 ついでに言うと、副校長は髪の毛がほとんどない。
 ついたあだ名が「波平」。

「どうだね。頑張っとるか?」

「あ、はい。なんとか」

 ちなみに教師陣の間では、僕の2年前の事故のことは知られているようだ。
 だから時折、気を遣ってもらっていると感じることがある。
 ちょっと腫れ物に触るような感じもして、重たく思うこともあるのだが。

「今回のテストで、成績も上がったようじゃな。でも、もうちょっと頑張れるんじゃないかな?」

「あ、はい。そうですね。頑張ります」

 会話に要領がない。
 やっぱり同棲の件なのか?

「うん、それはそれとして……実は瀬戸川君に、頼みがあってな」

「頼み……ですか?」

「そうじゃ。実は近年、わが校への入試志願者の数が減っておってな」

「……はい?」
 変な声が出た。

「どうした?」

「あ、いえ。すいません」
 同棲のことじゃないのか?

「うむ。昨今の少子化に伴って、受験生の数全体が年々減っておる。そんな中でわが校を含め、他校もいろいろと特色を出して受験生の獲得を目指しているんじゃが……わが校への受験者数は年々減る一方でな」

「はい」

 つまりこういうことらしい。
 生徒の数が減っている。
 各学校は特色を出して、生徒獲得に精を出す。
 結果、学校間の競争は激化していき、現状城京一高への受験者は減る一方。
 受験者が減ってしまうと、結果として偏差値も下がっていく。
 これは由々しき事態だ。

「そこでわが校は、今まで弱かったメディア戦略、とくにWeb戦略を見直そうと考えているのじゃ」

「はい」

 それは理解できる。
 若干、いまさら感が強いが。

 Web広告の代理店とは既に契約を結んだらしい。
 ただしコンテンツそのものについては、できるだけ学校内、それも生徒を中心に作らせたい、というのが学校側の趣旨らしい。
 そしてそれ自体を、わが校の特色として前面に出していきたい、ということだ。

 なるほど、それは面白い戦略だ

 受験生がわが校の広告や配信されている動画を見て、それを生徒自身が作っていると知ったら興味を持つだろうし、また話題性も上がるだろう。

「そこでじゃ。わが校の生徒サイドの中心メンバーとして、瀬戸川君にこのプロジェクトを任せたいんじゃ」

「はい?」
 また変な声が出てしまった。

「えーと、またそれをどうして僕に、なんでしょうか」

「うむ」

 そういって校長は、学校制定のタブレットを出した。
 数回タップして、僕の方へ向けてきた。

「この動画チャンネルは、君が作っていると聞いたんじゃが」

 そこに映し出されたのはYoutube。
 チャンネル名は「業スーShowちゃんネル」。


 顔は映ってないが、明らかに首から下のすみかさんだ。
 フライパンを振りながら胸を激しく揺らしている。


「うわぁぁぁーーーーーー」

 今日一番の変な声が出た。

「ちょ、え、ど、どうして?」

「ある筋から聞いたんじゃよ」

 校長はニヤリと悪い笑顔を浮かべる。
 ある筋ってどの筋なの?

「まあ内容はアレじゃが、動画自体の構成、加工、編集、キャプション、音楽も含め、一人で全部やっとるのじゃろう? そんなに簡単にできることではない」

「いやー、どうなんでしょうか」
 まあ他にできる人は、いるだろうけど。

「実際にWeb戦略としてやってほしいことは、こういった動画コンテンツの作成、ウェブサイトへの転載、それからSNS戦略じゃ。瀬戸川君にはとっては、そんなに難しいことではないんじゃないかの?」

「あ、はい。まあ」

 聞いた範囲であれば、それぐらいならできそうだ。
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