学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太

文字の大きさ
21 / 94
前編

「いくらでも利用してくれ」

しおりを挟む
 翌朝俺はいつもより早く家を出て、いつもより2本早い電車に乗った。隣でりんが『よく早く起きられたわね』と感心している。

 教室にはまだ来ている生徒はまばらだったが……花宮は自分の席に座り本を読んでいた。いつも花宮は学校へ早い時間に来ることは、俺も知っていた。

 花宮は俺の姿をみて少し驚いた表情を見せた。そして……少しバツの悪そうな顔をした。

「城之内君、おはよう。それと……昨日はゴメンね。私、なんか変なこと言っちゃって……わ、忘れてくれていいから」

「花宮。花宮のお父さんに、伝えてくれないか?」

 俺は花宮の前の席に座り、後ろを向く形で花宮の顔を正面から見据える。

「多分俺から話をするより、直接水巌寺に行って兄貴から話を聞いたほうが参考になることが多いと思う」

 花宮は目を見開いた。

「それにうちの寺を実際見てもらったほうが、いろいろなアイデアをその目で見て確認できて参考になるはずだ。俺が兄貴にアポを取るから、都合のいい時にいつでも言ってほしい。一緒に案内してもらうようにアレンジするから」

「でも、迷惑なんじゃ……」

「迷惑な事なんて何もないぞ。実際参拝客が減っているお寺は全国にごまんとあるし、明らかにお寺関係者と思われる人がスパイのようにこっそり見に来ることも多いらしいんだ。兄貴は堂々と言ってくれればいいのに、っていつも言ってたよ。だから遠慮することなんて、何もないんだ」

 なにか参考になることがあれば、是非とも完永寺にも取り入れてもらえればいい。

「それから……俺の名前を利用することで花宮が楽になるんだったら、いくらでも利用してくれ」

「城之内君……」

「俺だって花宮と仲良くなれれば嬉しいし……ひょっとしたら、門限の時間もゆるくなるかもしれないだろ? そうしたら今度は少し遠いところでも遊びに行けるんじゃないかな……あ、そのときは雄介も一緒だな」

 門限が厳しくて遊びに行けないのは、花宮だって辛いはずだ。「二人で遊びに行こう」と言えないところは俺のヘタレだが。

「城之内君……ありがとう。やっぱり城之内君は優しいなぁ……」

 花宮の目に薄く膜が張る。

「私ね、昨日あんなこと言って……すっごく後悔したの。自分勝手だなって。城之内君に嫌われたらどうしようって」

 花宮は鼻声でそう言った。

「俺が花宮を嫌う理由なんて何もないだろ? それより花宮のお父さんをなんとかしないとな」

「うん、ありがと……私からお父さんに今度話してみるね」

 顔を上げた花宮はまだ涙目だったが、ちょっと無理目な作り笑いを俺に向けてそう言った。

「テスト勉強、進んでるか?」

 俺はあえて話題転換をはかる。

「え? ううん、昨夜はずっと考え事してたから……」

「そうか。俺は昨日カレーを作ったら食べすぎて、腹の具合が悪い」

「えー、カレー作ったんだ。市販のルーのやつ?」

「当然だろ? 誰がスパイスの調合からやるんだよ」

「そりゃそうだけど」

 花宮はようやく笑顔を見せてくれた。泣き顔より笑顔のほうがずっと可愛いよな……俺はそんなことを思いながら花宮の笑顔を見つめていた。隣でりんもニコニコ笑いながら、俺たち二人のことを眺めていた。


              ◆◆◆


「あーもう、めっちゃ疲れたぞ」

『お疲れお疲れ、って言っても普段からもっと勉強すればいいのに。一夜漬けで全部覚えようとするからだよ』

「まあそうなんだけどな」

 俺は横から正論をぶつけてくるりんにそう答えながら、近所のスーパーへの道を歩いて行く。

 中間テストが今日でようやく終わった。もちろんテスト期間中、りんは部屋でお留守番だった。連れていったら、やり方によってはカンニングとかできてしまう。さすがにそれは避けないといけない。

 眠気が限界に達していた俺は、家に帰ってベッドで横になり霊壁を張って昼寝をした。起きたときには、かなりいい時間になっていた。

 疲れたせいもあってか、それほど腹は減っていない。ただこのままだと遅い時間に空腹になるだろうし、なにより冷蔵庫の中が空っぽだった。なのでとりあえずスーパーへ買い出しに出かけることにした。

「うーん、特になにか食べたいものも思いつかないなぁ。仕方ない、カップ麺でも買っていくか」 
 
『また? 昨日の夜もカップ麺だったじゃない』

「そうだけど……もう何か作るのも面倒くさいんだよ」

『まあわかるけどさ……あ、それじゃあさ。カップ麺だけど、ちょっと変わったのを作ってみようよ』

「変わった麺?」

『そうそう。それだったら……これ』

 スーパーの店内でりんがそう言って指さしたのはカップ焼きそばだった。大きな丸い円盤型のヤツだ。

「カップ焼きそばか。いいな、俺はあんまり食べないけど」

『ナオはスープが好きだもんね。ああでも、これは一応スープ付きって書いてあるよ。それから……卵は冷蔵庫にまだ入っていたし、あとはカット野菜で簡単なサラダを作ればいいか。とりあえずそれだけでいいよ』

「わかった」

 俺はカップ焼きそば2個とポテトチップスを1つかごに入れて、レジに向かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

学校一の美人から恋人にならないと迷惑系Vtuberになると脅された。俺を切り捨てた幼馴染を確実に見返せるけど……迷惑系Vtuberて何それ?

宇多田真紀
青春
学校一の美人、姫川菜乃。 栗色でゆるふわな髪に整った目鼻立ち、声質は少し強いのに優し気な雰囲気の女子だ。 その彼女に脅された。 「恋人にならないと、迷惑系Vtuberになるわよ?」 今日は、大好きな幼馴染みから彼氏ができたと知らされて、心底落ち込んでいた。 でもこれで、確実に幼馴染みを見返すことができる! しかしだ。迷惑系Vtuberってなんだ?? 訳が分からない……。それ、俺困るの?

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

処理中です...