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2、リルの育ち
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クロエはボロキレ同然だった服を揃えてやろうとどんなものがいいかリルに聞く。
リルは胸と下半身が隠れるビキニタイプの下級の小悪魔が好む服を選ぶ。
「リルはずっと、はだかんぼだったから、いっぱいついてるのやだなの」
目一杯の笑顔でリルはクロエに言った。
首に繋がれていた鎖は隷属の鎖だったが、呪術をかけた者とクロエの魔力差は歴然としていたらしく、簡単に取り払われた。
「ねえ、リル?俺と人間界に行かないか?」
「にんげんかい…ってにんげんがいっぱいいるトコロでしょ?」
リルはクロエをじっと見つめた。
「あのね、リルね、にんげんにばけられないの…」
頬を染め、上目遣いでクロエを見る。
最低限の能力である姿の隠蔽も出来ない無能な悪魔は、これまでもその事で散々笑われて来たのだろう。
「いいよ。そんなのは全部俺がやるよ」
クロエは恥じ入るリルを見て可愛く思う。
「…リルのぶんもまりょくつかったら、くぅちゃんしんどくなぁい?」
「大丈夫。全然平気だよ」
クロエはリルを抱きしめる。
「くぅちゃんはすごいね。とってもつよいんだね」
朗らかな笑顔でリルはクロエの頭を撫でた。
強さなどどうでもいいと思っていたクロエだったが、こうしてリルに褒められて、初めて価値あるものの様に思えた。
「じゃあ行こうか、人間界に」
そう言ってリルを抱き上げる。
リルははたと思い出した様にクロエに告げた。
「あ~…でも、にんげんのトコロにいくならおかあさんにいっとかなきゃ」
「おかあさん?」
通常悪魔は子を養育しない。
魔界の世界樹、バラクダの樹の股から産まれるか、悪魔自身が魔界において唯一の不可侵領域である、バラクダの幹近くで子供を産み落とし、そのまま放置する。
子供は物心つくまでバラクダの幹近くで過ごしてその実や雫を栄養として育つ。
そして物心つくとバラクダに対する畏怖と恐怖を思い出す。
思い出せば即座にその場から去る。
そしてそこはやはり絶対的な不可侵領域となり、どんな悪魔も決して侵せない場所となる。
故に子供もここで産み落とすのが安全な訳だ。
なのでリルの言う『おかあさん』とは何の事なのかクロエには見当がつかなかった。
「あのね、おかあさんはね、みんなから『バラクダ』ってよばれてるって、おかあさん、いってたよ」
「…バラクダが、お母さん?」
「そうだよ、おかあさんだよ」
リルはにっこり笑う。
クロエはリルからじっくり話を聞いてみた。
するとリルはバラクダの樹の股から産まれたが、物心ついてもバラクダへの恐怖心は芽生えなかったらしい。
そして、しばらくバラクダ自身に養育されていた、という事らしい。
「何でリルはバラクダから離れたの?」
「あのね、くろくてね、むらさきでね、ヒラヒラしてるとぶのをおっかけてたの。そしたら、まいごになっておかあさんのトコロ、わかんなくなっちゃったの」
クロエの頭の中で検索が始まる。
該当するのは一件、黒死蝶と呼ばれる魔界生息の肉食蝶だ。
獲物を餌場まで誘き寄せ、その鱗粉で痺れさせて集団で襲い食す。
恐らくリルは蝶を捕まえて鱗粉に触れる事が出来なかったのだろう。
彼女のトロさが命を救ったらしい。
クロエは青ざめる。そして心底リルのトロさに感謝した。
トロくてよかった…と思い、そしてギュッとリルを抱きしめた。
リルは不思議そうな顔をしてクロエの抱擁を受け入れる。
「…バラクダの幹の近くまで送っていけばわかる?」
「うん!近くまで行けばおかあさんのこえ、きこえるからわかるよ」
クロエはバラクダまでリルを抱えて飛ぶ。
「すごいね、はやいね」
リルはクロエの首に腕を回して飛べる事に感心した。
その無邪気な様子にやはり愛おしさが込み上げ、微笑む。
バラクダの笠に入ると、魔族の本能でバラクダに対する恐怖感でいっぱいになる。
バラクダは全ての魔族にとって畏怖するものであり、その畏怖は本能に刻まれている。
その本能を封じ込め、限界ギリギリまで幹に近づく。
もうこれ以上は無理だと思った所でリルに訊ねる。
「俺はここまでしか行ってやれない。リル、ここから先一人で行ける?」
「うん!だいじょうぶだよ!おかあさんのこえ、もうきこえるから、いけるよ!」
「じゃあ、俺はここで待ってる」
「わかった。じゃあ、いってきまぁす」
リルは嬉しそうに手を振って幹の方へと走っていった。
どうやらリルにはバラクダに対する恐怖心は本当に無いようだ。
リルを待つ。この場所はバラクダの深淵に近い場所だ。
いつバラクダに襲われるかと恐怖でいっぱいになる。
バラクダは世界樹などと言っているが、その実態は巨大な邪竜だ。
遠い昔、天界より堕天した者達の中にバラクダという邪竜がいた。
バラクダは魔界の瘴気から魔族を守る為、自ら天を支えた。やがて樹木となって、その身に葉や花や実をつける様になった。
魔族はそれを採る。
何故ならそのどれもが強烈な麻薬になるからだ。
採られるバラクダはその枝をくねらせ、採取者を襲う。半端な者なら捕まってそのまま幹に取り込まれ、魂ごと喰われる。
その魂はバラクダの樹の股から新しい悪魔となって生まれ変わる。
バラクダは魔界の守護者であり、母親であり、最も忌むべき存在でもある。
今の所クロエの事を敵と見做した様子はなく、ただ、無数に伸びる枝と睨み合ってる状態だ。
遠くから、リルの美しい唄声が聴こえる。
リルの数少ない能力の一つ、対する者に感応してその者の心情を唄に乗せる。
バラクダがリルに強請ったのだろう。
『さぁ小さな星よ
あなたは自由
あなたは私の夢
あなたが何処から生まれたのか、覚えていてね
私の魂 私の命 私の愛
あなたは小さな星
ちっぽけだけれど、あなたは私の希望なのよ
何処へ行こうと 何になろうと
あなたは私の愛から生まれた愛し子
小さな星よ
どうか永遠を手にして、私の所へ戻っておいで』
唄声が聴こえてからしばらくすると、
去っていった方から駆けて戻ってくるリルがいる。
リルは両手に何か赫い丸い物を持ち、膝は擦りむけていた。
「くぅちゃん!ただいまぁ~」
「おかえり、リル」
クロエはリルを抱き締める。
「…くぅちゃん、ごめんね?さびしかった?」
「うん」
「リルかえってきたから、いいコいいコだよ?」
「うん」
「あのね、くぅちゃん、はい、コレ」
リルは手に持った丸い物を一つクロエに差し出す。
「コレ…バラクダの実?」
「うん!おかあさんがね、ふたりでたべなさいって!…あ、あのね、コレどくのやつじゃないんだよ?むりやりとったのだけ、どくになるんだよ?」
クロエはじっとリルを見る。
「…みんな、むりやりとるから、おかあさんいつもいたいいたいってないてた…」
「そっか…。リル、それ頂戴」
「うん!」
リルは食べ慣れてる様子で指先で薄い皮を剥く。クロエはバラクダの実を食べるのは初めてだ。
リルのする様にクロエも真似て皮を剥く。
恐らく、バラクダに試されているのだろう。リルの言葉を信じて、この実を食べられるかどうか。
試されるまでもない。
これが例えどんな猛毒だったとしてもクロエは食す。
その位にはリルを愛しているし、リルを信じている。
果実を一口齧る。
ずっと手に握られていた果実は温かったが、何とも言えない芳醇で濃厚な甘味が口内に広がる。
「くぅちゃん、おいしい?」
「ああ、凄く美味しいよ」
リルは心底嬉しそうにクロエに笑顔を向けた。
「よかったぁ~」
この笑顔を見られるのなら、クロエはリルのどんなお願いだって聞くだろう。
きっとこのバラクダの実を持ってくる時も、決して手離してはいけないと、両手に持って走って、転んだだろう事を膝の擦り傷が物語っている。
クロエにとってこの無能の悪魔は、そういう愛すべき存在になりつつあった。
リルは胸と下半身が隠れるビキニタイプの下級の小悪魔が好む服を選ぶ。
「リルはずっと、はだかんぼだったから、いっぱいついてるのやだなの」
目一杯の笑顔でリルはクロエに言った。
首に繋がれていた鎖は隷属の鎖だったが、呪術をかけた者とクロエの魔力差は歴然としていたらしく、簡単に取り払われた。
「ねえ、リル?俺と人間界に行かないか?」
「にんげんかい…ってにんげんがいっぱいいるトコロでしょ?」
リルはクロエをじっと見つめた。
「あのね、リルね、にんげんにばけられないの…」
頬を染め、上目遣いでクロエを見る。
最低限の能力である姿の隠蔽も出来ない無能な悪魔は、これまでもその事で散々笑われて来たのだろう。
「いいよ。そんなのは全部俺がやるよ」
クロエは恥じ入るリルを見て可愛く思う。
「…リルのぶんもまりょくつかったら、くぅちゃんしんどくなぁい?」
「大丈夫。全然平気だよ」
クロエはリルを抱きしめる。
「くぅちゃんはすごいね。とってもつよいんだね」
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強さなどどうでもいいと思っていたクロエだったが、こうしてリルに褒められて、初めて価値あるものの様に思えた。
「じゃあ行こうか、人間界に」
そう言ってリルを抱き上げる。
リルははたと思い出した様にクロエに告げた。
「あ~…でも、にんげんのトコロにいくならおかあさんにいっとかなきゃ」
「おかあさん?」
通常悪魔は子を養育しない。
魔界の世界樹、バラクダの樹の股から産まれるか、悪魔自身が魔界において唯一の不可侵領域である、バラクダの幹近くで子供を産み落とし、そのまま放置する。
子供は物心つくまでバラクダの幹近くで過ごしてその実や雫を栄養として育つ。
そして物心つくとバラクダに対する畏怖と恐怖を思い出す。
思い出せば即座にその場から去る。
そしてそこはやはり絶対的な不可侵領域となり、どんな悪魔も決して侵せない場所となる。
故に子供もここで産み落とすのが安全な訳だ。
なのでリルの言う『おかあさん』とは何の事なのかクロエには見当がつかなかった。
「あのね、おかあさんはね、みんなから『バラクダ』ってよばれてるって、おかあさん、いってたよ」
「…バラクダが、お母さん?」
「そうだよ、おかあさんだよ」
リルはにっこり笑う。
クロエはリルからじっくり話を聞いてみた。
するとリルはバラクダの樹の股から産まれたが、物心ついてもバラクダへの恐怖心は芽生えなかったらしい。
そして、しばらくバラクダ自身に養育されていた、という事らしい。
「何でリルはバラクダから離れたの?」
「あのね、くろくてね、むらさきでね、ヒラヒラしてるとぶのをおっかけてたの。そしたら、まいごになっておかあさんのトコロ、わかんなくなっちゃったの」
クロエの頭の中で検索が始まる。
該当するのは一件、黒死蝶と呼ばれる魔界生息の肉食蝶だ。
獲物を餌場まで誘き寄せ、その鱗粉で痺れさせて集団で襲い食す。
恐らくリルは蝶を捕まえて鱗粉に触れる事が出来なかったのだろう。
彼女のトロさが命を救ったらしい。
クロエは青ざめる。そして心底リルのトロさに感謝した。
トロくてよかった…と思い、そしてギュッとリルを抱きしめた。
リルは不思議そうな顔をしてクロエの抱擁を受け入れる。
「…バラクダの幹の近くまで送っていけばわかる?」
「うん!近くまで行けばおかあさんのこえ、きこえるからわかるよ」
クロエはバラクダまでリルを抱えて飛ぶ。
「すごいね、はやいね」
リルはクロエの首に腕を回して飛べる事に感心した。
その無邪気な様子にやはり愛おしさが込み上げ、微笑む。
バラクダの笠に入ると、魔族の本能でバラクダに対する恐怖感でいっぱいになる。
バラクダは全ての魔族にとって畏怖するものであり、その畏怖は本能に刻まれている。
その本能を封じ込め、限界ギリギリまで幹に近づく。
もうこれ以上は無理だと思った所でリルに訊ねる。
「俺はここまでしか行ってやれない。リル、ここから先一人で行ける?」
「うん!だいじょうぶだよ!おかあさんのこえ、もうきこえるから、いけるよ!」
「じゃあ、俺はここで待ってる」
「わかった。じゃあ、いってきまぁす」
リルは嬉しそうに手を振って幹の方へと走っていった。
どうやらリルにはバラクダに対する恐怖心は本当に無いようだ。
リルを待つ。この場所はバラクダの深淵に近い場所だ。
いつバラクダに襲われるかと恐怖でいっぱいになる。
バラクダは世界樹などと言っているが、その実態は巨大な邪竜だ。
遠い昔、天界より堕天した者達の中にバラクダという邪竜がいた。
バラクダは魔界の瘴気から魔族を守る為、自ら天を支えた。やがて樹木となって、その身に葉や花や実をつける様になった。
魔族はそれを採る。
何故ならそのどれもが強烈な麻薬になるからだ。
採られるバラクダはその枝をくねらせ、採取者を襲う。半端な者なら捕まってそのまま幹に取り込まれ、魂ごと喰われる。
その魂はバラクダの樹の股から新しい悪魔となって生まれ変わる。
バラクダは魔界の守護者であり、母親であり、最も忌むべき存在でもある。
今の所クロエの事を敵と見做した様子はなく、ただ、無数に伸びる枝と睨み合ってる状態だ。
遠くから、リルの美しい唄声が聴こえる。
リルの数少ない能力の一つ、対する者に感応してその者の心情を唄に乗せる。
バラクダがリルに強請ったのだろう。
『さぁ小さな星よ
あなたは自由
あなたは私の夢
あなたが何処から生まれたのか、覚えていてね
私の魂 私の命 私の愛
あなたは小さな星
ちっぽけだけれど、あなたは私の希望なのよ
何処へ行こうと 何になろうと
あなたは私の愛から生まれた愛し子
小さな星よ
どうか永遠を手にして、私の所へ戻っておいで』
唄声が聴こえてからしばらくすると、
去っていった方から駆けて戻ってくるリルがいる。
リルは両手に何か赫い丸い物を持ち、膝は擦りむけていた。
「くぅちゃん!ただいまぁ~」
「おかえり、リル」
クロエはリルを抱き締める。
「…くぅちゃん、ごめんね?さびしかった?」
「うん」
「リルかえってきたから、いいコいいコだよ?」
「うん」
「あのね、くぅちゃん、はい、コレ」
リルは手に持った丸い物を一つクロエに差し出す。
「コレ…バラクダの実?」
「うん!おかあさんがね、ふたりでたべなさいって!…あ、あのね、コレどくのやつじゃないんだよ?むりやりとったのだけ、どくになるんだよ?」
クロエはじっとリルを見る。
「…みんな、むりやりとるから、おかあさんいつもいたいいたいってないてた…」
「そっか…。リル、それ頂戴」
「うん!」
リルは食べ慣れてる様子で指先で薄い皮を剥く。クロエはバラクダの実を食べるのは初めてだ。
リルのする様にクロエも真似て皮を剥く。
恐らく、バラクダに試されているのだろう。リルの言葉を信じて、この実を食べられるかどうか。
試されるまでもない。
これが例えどんな猛毒だったとしてもクロエは食す。
その位にはリルを愛しているし、リルを信じている。
果実を一口齧る。
ずっと手に握られていた果実は温かったが、何とも言えない芳醇で濃厚な甘味が口内に広がる。
「くぅちゃん、おいしい?」
「ああ、凄く美味しいよ」
リルは心底嬉しそうにクロエに笑顔を向けた。
「よかったぁ~」
この笑顔を見られるのなら、クロエはリルのどんなお願いだって聞くだろう。
きっとこのバラクダの実を持ってくる時も、決して手離してはいけないと、両手に持って走って、転んだだろう事を膝の擦り傷が物語っている。
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