10 / 26
10、解呪
しおりを挟む
その日の夜中、クロエは帰って来た。
帰って早々ソファにドサリと寝転び、両目に片腕を乗せた。
なんだか、随分と魔力を消耗している様だった。
「で?何?」
クロエは一瞥をくれる事もなく、口を開いた。
「…もう少し帰って来れねぇのかよ」
「なんで?」
「なんでって事ないだろ…」
「お前が世話してんだから問題無いだろ」
「…お前に嫌われたんじゃないかって、泣くんだよ…、あいつ…」
「…適当に慰めときゃいいだろ?」
「それでも、お前じゃなきゃダメなんだよ…」
「別にほっときゃいいだろ。お前なんか困る訳?」
「…あいつが泣くと、鬱陶しいんだよ!」
「なんで?」
「なんでって…そんなもん、あいつはヘラヘラ笑って唄ってるのが普通だろうが!」
「なんで、お前そんなに困ってんの?」
「は?」
「リルが泣いて、笑わなくて、唄も唄わない事がなんでお前に関係あるんだ?」
「…」
「ほっときゃいいだろ?なんでそんなになんとかしたいんだよ」
「…っ俺がっ…!…惚れてるからだよ!」
「誰に?」
「リルに惚れたからだよ!」
クロエは上半身を起こして座る。
そしてニヤリとシュバルツを見て笑った。
「あ~あ。言っちゃった」
シュバルツは魔力の戻るのを感じ、悪魔の姿に戻った。
「な…」
「解呪おめでとう。これでお前は自由だ。リルと一緒にいる理由も無くなったな」
「解呪の言葉は…」
「そう。『リルに惚れた』でした」
クロエはさも可笑しそうにシュバルツを見ている。
「お前は絶対にリルに惚れるとわかってた。俺、言ったよな、結構頭に来てるって。
お前が殺そうとしたもんがどんなもんか、教えてやらなきゃ気が済まなかったんだよ」
シュバルツは呆然とクロエを見つめている。
「いいよ、もう消えて。魔界に帰ろうがどうしようが、お前の自由だ。ここに縛られる理由もないぞ?」
クロエはとても楽しそうにシュバルツを見る。
「リルみたいなのはどこ探したっていない。リルに惚れたならわかるだろ?
だからお前は離れてもリルを忘れられないだろう」
クロエは開いた両脚に両腕を乗せて、両手の指を組んだ。
不敵に笑ってシュバルツを見る。
「一生リルに縛られろ。それがお前への罰だ」
シュバルツは立ち尽くしていた。しばらくしてやっと口を開く。
「……わかった」
人の姿に自ら化けて、ゆっくりと玄関から出て行く。
クロエはふぅっと溜息を吐く。
そして一言呟いた。
「なんであいつはああも底抜けの馬鹿なんだ…」
そしてソファにまた寝転んで、片手で両目を覆った。
2、3時間、その状態でうつらうつらとしていたら、シュバルツの部屋から目を擦りながらリルが出て来た。
「…しゅうちゃん?」
クロエはソファからむくりと起き上がってリルに顔を見せた。
「リル」
「…!くぅちゃん!」
リルはパッと顔を輝かせて、クロエに抱きついた。
「リル、寂しかった?」
「うん、リルさびしかったの…」
「ごめんね、大好きだよ、リル」
ギュッと抱きしめてやるとリルもクロエの首に腕を回す。
「…リルのこと…キライじゃない?」
「嫌いな訳ないでしょ?大好き。愛してるよ」
リルは心底ほっとした様子でクロエを見つめた。
「しゅうちゃんがね、くぅちゃんはリルのことキライになったりしないよっていってくれたの。ほんとうだね」
「うん、本当だよ」
「…しゅうちゃんは?…こんどはしゅうちゃん、おしごといっちゃったの?」
リルはキョトンとした顔でクロエに聞く。
クロエは、リルの顔をじっと見つめて訊ねる。
「あいつ、いる?」
リルは満面の笑みでクロエに答えた。
「しゅうちゃんね、とってもやさしいの。リルしゅうちゃんだいすきなの」
クロエはリルに微笑む。そして頭を撫でてやる。
「そっか。わかった」
◇◇
シュバルツはポケットに手を突っ込んで街を彷徨い歩いた。
クロエとリルの関係を説明された時に、色々思索した。
その時には既に、シュバルツはリルが傍にいる事ばかりを想定して未来の事を考えていた。
リルを抱いた日に自分がリルに惚れてしまった事はわかっていた。
その時点で自分がリルとずっと一緒にいるのだと当たり前の様に思っていたという事だ。
自分でも驚く程簡単に心奪われてしまっていた。
クロエはそれを想定出来ていたという。
自分一人で魔界に戻って、何があるのだろう?リルは隣にいないのに。
クロエが言っていた、『捨てないで下さいって位には惚れている』という言葉が頭をよぎる。
正にそれを今実感している。
何も出来ない、弱い女だと蔑む対象がこんなにも大きな存在になって、縋りつきたくなる。
リルの言うクロエの前にいた『ごしゅじんさま』はリルを殴ったと言っていた。
シュバルツにはその心境が手に取るようにわかった。
見下してた女が、いつの間にか自分の心を大きく占めて、見捨てられたら生きていけないんじゃないかと言うくらい依存している。
微笑んで名を呼ばれる事をこんなにも渇望している。
これは戸惑うだろう。
いっそ殺してしまえたらいいのに…
そう思ったのだろう。
殴って、首を絞めて、簡単な事だ。こんな弱い悪魔他にいない。
きっと人間とさほど変わらない位脆く死んで行くはずだ。
でも結局、誰もそれが出来なかった。
結局感応されて、犯して、慰められる。
ごめんなさいと謝られて、抱きしめて。
魔界の唯一の不文律『強い者が支配する』これが通用しない。
リルは最弱の支配者だ。
そして自分も支配されてしまっただけだ。
そんな事をぐるぐると考えながら、魔界に帰る決心もなかなか固まらずにいると、
いつの間にかリルと来る公園にいた。
リルがいつも黒猫と落ち合う噴水に座り込む。
色々と思い出す。
リルはこの噴水で黒猫とゆうちゃんに唄ってやっていた。
その唄声を鮮明に思い出せる。
ぼんやりとそんな思い出に浸っていると、長い影が差す。
影の実態があるであろう場所をチラリと見るとクロエが立っている。
クロエの表情は暗くて見えない。
シュバルツは顔を向けないまま口を開く。
「…なんだよ。もう少ししたら帰るよ」
…何もない魔界に…。
「ホント⁈」
突然明るいリルの声が聞こえる。
クロエの背後からひょっこりと現れて、シュバルツに駆け寄る。
「しゅうちゃん、すぐおうちかえるの?いっしょにかえらないの?」
「リル…⁈」
「しゅうちゃん、おしごと?もうおわった?」
「……」
シュバルツはリルをジッと見つめる。
「…しゅうちゃん?…おうちかえろ?」
リルはシュバルツの両手を取ってギュッと握る。そしてにっこりと笑った。
シュバルツはクロエをチラリと見る。
クロエは深い深い溜息を吐く。
「リルの男になる覚悟があるなら」
それは、魔界の不文律を真っ向から否定する生き方をする覚悟だ。
最弱の支配者に忠誠を尽くせるか。
シュバルツはもう既にリルという泥沼に嵌っているので、悩む事などなかった。
「…帰るか」
「うん!」
リルに手を引かれて立ち上がる。
リルは二人に挟まれて手を繋いでご満悦といった顔で歩いている。
まだ時間は深夜。
街灯が三人の影を長く、尾を引く様なシルエットを作っていた。
帰って早々ソファにドサリと寝転び、両目に片腕を乗せた。
なんだか、随分と魔力を消耗している様だった。
「で?何?」
クロエは一瞥をくれる事もなく、口を開いた。
「…もう少し帰って来れねぇのかよ」
「なんで?」
「なんでって事ないだろ…」
「お前が世話してんだから問題無いだろ」
「…お前に嫌われたんじゃないかって、泣くんだよ…、あいつ…」
「…適当に慰めときゃいいだろ?」
「それでも、お前じゃなきゃダメなんだよ…」
「別にほっときゃいいだろ。お前なんか困る訳?」
「…あいつが泣くと、鬱陶しいんだよ!」
「なんで?」
「なんでって…そんなもん、あいつはヘラヘラ笑って唄ってるのが普通だろうが!」
「なんで、お前そんなに困ってんの?」
「は?」
「リルが泣いて、笑わなくて、唄も唄わない事がなんでお前に関係あるんだ?」
「…」
「ほっときゃいいだろ?なんでそんなになんとかしたいんだよ」
「…っ俺がっ…!…惚れてるからだよ!」
「誰に?」
「リルに惚れたからだよ!」
クロエは上半身を起こして座る。
そしてニヤリとシュバルツを見て笑った。
「あ~あ。言っちゃった」
シュバルツは魔力の戻るのを感じ、悪魔の姿に戻った。
「な…」
「解呪おめでとう。これでお前は自由だ。リルと一緒にいる理由も無くなったな」
「解呪の言葉は…」
「そう。『リルに惚れた』でした」
クロエはさも可笑しそうにシュバルツを見ている。
「お前は絶対にリルに惚れるとわかってた。俺、言ったよな、結構頭に来てるって。
お前が殺そうとしたもんがどんなもんか、教えてやらなきゃ気が済まなかったんだよ」
シュバルツは呆然とクロエを見つめている。
「いいよ、もう消えて。魔界に帰ろうがどうしようが、お前の自由だ。ここに縛られる理由もないぞ?」
クロエはとても楽しそうにシュバルツを見る。
「リルみたいなのはどこ探したっていない。リルに惚れたならわかるだろ?
だからお前は離れてもリルを忘れられないだろう」
クロエは開いた両脚に両腕を乗せて、両手の指を組んだ。
不敵に笑ってシュバルツを見る。
「一生リルに縛られろ。それがお前への罰だ」
シュバルツは立ち尽くしていた。しばらくしてやっと口を開く。
「……わかった」
人の姿に自ら化けて、ゆっくりと玄関から出て行く。
クロエはふぅっと溜息を吐く。
そして一言呟いた。
「なんであいつはああも底抜けの馬鹿なんだ…」
そしてソファにまた寝転んで、片手で両目を覆った。
2、3時間、その状態でうつらうつらとしていたら、シュバルツの部屋から目を擦りながらリルが出て来た。
「…しゅうちゃん?」
クロエはソファからむくりと起き上がってリルに顔を見せた。
「リル」
「…!くぅちゃん!」
リルはパッと顔を輝かせて、クロエに抱きついた。
「リル、寂しかった?」
「うん、リルさびしかったの…」
「ごめんね、大好きだよ、リル」
ギュッと抱きしめてやるとリルもクロエの首に腕を回す。
「…リルのこと…キライじゃない?」
「嫌いな訳ないでしょ?大好き。愛してるよ」
リルは心底ほっとした様子でクロエを見つめた。
「しゅうちゃんがね、くぅちゃんはリルのことキライになったりしないよっていってくれたの。ほんとうだね」
「うん、本当だよ」
「…しゅうちゃんは?…こんどはしゅうちゃん、おしごといっちゃったの?」
リルはキョトンとした顔でクロエに聞く。
クロエは、リルの顔をじっと見つめて訊ねる。
「あいつ、いる?」
リルは満面の笑みでクロエに答えた。
「しゅうちゃんね、とってもやさしいの。リルしゅうちゃんだいすきなの」
クロエはリルに微笑む。そして頭を撫でてやる。
「そっか。わかった」
◇◇
シュバルツはポケットに手を突っ込んで街を彷徨い歩いた。
クロエとリルの関係を説明された時に、色々思索した。
その時には既に、シュバルツはリルが傍にいる事ばかりを想定して未来の事を考えていた。
リルを抱いた日に自分がリルに惚れてしまった事はわかっていた。
その時点で自分がリルとずっと一緒にいるのだと当たり前の様に思っていたという事だ。
自分でも驚く程簡単に心奪われてしまっていた。
クロエはそれを想定出来ていたという。
自分一人で魔界に戻って、何があるのだろう?リルは隣にいないのに。
クロエが言っていた、『捨てないで下さいって位には惚れている』という言葉が頭をよぎる。
正にそれを今実感している。
何も出来ない、弱い女だと蔑む対象がこんなにも大きな存在になって、縋りつきたくなる。
リルの言うクロエの前にいた『ごしゅじんさま』はリルを殴ったと言っていた。
シュバルツにはその心境が手に取るようにわかった。
見下してた女が、いつの間にか自分の心を大きく占めて、見捨てられたら生きていけないんじゃないかと言うくらい依存している。
微笑んで名を呼ばれる事をこんなにも渇望している。
これは戸惑うだろう。
いっそ殺してしまえたらいいのに…
そう思ったのだろう。
殴って、首を絞めて、簡単な事だ。こんな弱い悪魔他にいない。
きっと人間とさほど変わらない位脆く死んで行くはずだ。
でも結局、誰もそれが出来なかった。
結局感応されて、犯して、慰められる。
ごめんなさいと謝られて、抱きしめて。
魔界の唯一の不文律『強い者が支配する』これが通用しない。
リルは最弱の支配者だ。
そして自分も支配されてしまっただけだ。
そんな事をぐるぐると考えながら、魔界に帰る決心もなかなか固まらずにいると、
いつの間にかリルと来る公園にいた。
リルがいつも黒猫と落ち合う噴水に座り込む。
色々と思い出す。
リルはこの噴水で黒猫とゆうちゃんに唄ってやっていた。
その唄声を鮮明に思い出せる。
ぼんやりとそんな思い出に浸っていると、長い影が差す。
影の実態があるであろう場所をチラリと見るとクロエが立っている。
クロエの表情は暗くて見えない。
シュバルツは顔を向けないまま口を開く。
「…なんだよ。もう少ししたら帰るよ」
…何もない魔界に…。
「ホント⁈」
突然明るいリルの声が聞こえる。
クロエの背後からひょっこりと現れて、シュバルツに駆け寄る。
「しゅうちゃん、すぐおうちかえるの?いっしょにかえらないの?」
「リル…⁈」
「しゅうちゃん、おしごと?もうおわった?」
「……」
シュバルツはリルをジッと見つめる。
「…しゅうちゃん?…おうちかえろ?」
リルはシュバルツの両手を取ってギュッと握る。そしてにっこりと笑った。
シュバルツはクロエをチラリと見る。
クロエは深い深い溜息を吐く。
「リルの男になる覚悟があるなら」
それは、魔界の不文律を真っ向から否定する生き方をする覚悟だ。
最弱の支配者に忠誠を尽くせるか。
シュバルツはもう既にリルという泥沼に嵌っているので、悩む事などなかった。
「…帰るか」
「うん!」
リルに手を引かれて立ち上がる。
リルは二人に挟まれて手を繋いでご満悦といった顔で歩いている。
まだ時間は深夜。
街灯が三人の影を長く、尾を引く様なシルエットを作っていた。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる