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17、静寂の中で、息をひそめて
咄嗟にレクスはリリエを抱きしめて執務室の机の下に隠れる。
ぎゅっと抱きすくめられてリリエの心臓は五月蠅く鳴っている。
自分の鼓動がレクスに伝わってしまんじゃないとか、それもまた余計に緊張感を高めた。
部屋に侵入する人影が、どんどん机の方に近づいてくる。
更にドキドキが高鳴ってしまって見つかりそうな事に緊張してるのか、レクスとの密着に緊張してるのかわからない。
ぎゅっと目を閉じて、レクスの胸に顔を埋めると、レクスのリリエを抱きしめる腕の力が更に少しだけ強くなった。
それだけで自分の動揺を見透かされている事がわかったので、恥ずかしくなって、更にレクスに縋る様に胸に顔を埋めてしまう。
人影はコツコツと靴音を鳴らしてこちらに迫る。
もう少しで見つかりそうなタイミングに差し掛かり、レクスとリリエに緊張が走った。
人影は執務机の左側にある大きな書棚の前で足が止まった。
人影はポツリとひとりごちた。
「これかしら……?」
その声はノエリアのものだ。きっと件の調べものをしているのだろう。
パラパラと書類を捲ると机の上にその書類を乗せて一緒に持ってきていたらしいワックスタブレットに書付けをしているようだ。
自分達の頭の上にノエリアの気配を間近で感じる。
こんな所を見つかったら何の言い訳もできない。まして、護衛騎士とこんなに密着して抱き合ってたとなればレアンドロ殿下もレクスを庇いきれないだろう。
見つからないよう心から祈りながらレクスにしがみつく。
書付けを終えたノエリアは書類を元に戻し、ワックスタブレットを手に取ってまたコツコツと靴音を立てて部屋を出て施錠する音がした。
しばらく耳を澄ませて外の様子を窺っていたが、ノエリアの足音が遠ざかって、人の気配が消えた。
二人はふ~っと息を吐く。
抱きしめられ、レクスの胸に顔を埋めたままホッと安心してると、一瞬だけ、レクスの腕の力が強くなった。
「あ、あの、レクス?」
「あ、ゴメン……」
慌ててレクスから離れたリリエはもうまともにレクスの顔を見る事が出来ない。
しばらくして、レクスがリリエに声をかけた。
「さ、戻ろっか」
「う、うん、そうねっ」
すくっと立ち上がったレクスはリリエに手を差し伸べる。
顔を赤らめてその手を取ったリリエは軽く引っ張られて立ち上がらせてもらった。
証拠となる財務帳簿を手に執務室を出たリリエとレクスは、元来た手順で部屋に戻る。
窓の空いてる部屋に入ってバルコニーに着いた二人は少しの沈黙を目も合わせられずに過ごす。
レクスが遠慮がちに切り出した。
「……あの、また、抱き上げていいかな?」
「え、ええっ! もちろんよ? お願いします」
何故だか慌てて返事をしてしまう。
行きよりもずっとずっと緊張してしまう。
「……じゃ、俺の首に腕を回して?」
向かい合って目が合うとどうしても恥ずかしくてすぐに俯く。
レクスの表情は何故かいつもよりも真剣でリリエは戸惑う。
いつもみたいにお道化てくれたらいいのにな……とちょっと思いながら、レクスの首に腕を回す。
そしたらやはり軽々と抱き上げられてバルコニーの手すりにひょいっと飛び乗った。
「レクスって本当に凄いわね」
「跳躍訓練は騎士にとっては当然だよ? 側足駆けとか死ぬほどやるからね」
「側足駆けって左右に飛ぶ訓練よね?」
「うん、それだけじゃなくて鉄脚の稽古も徹底的に課せられるよ」
「そう……。レクスは大変な訓練を沢山積んできたのね」
「リリエ嬢だって同じでしょ? レアンドロ殿下に嫁ぐ為にたくさん厳しい王妃教育を受けてる」
その言葉にリリエはチクリと胸が痛む。
「……そうね……」
リリエはそのまま何も言えずに無言のままレクスに抱えられた。
ようやくリリエの部屋のバルコニーに辿り着くと、リリエを降ろしたレクスと二人、じっとその場で互いに俯く。
そしてレクスが片膝をついてリリエの手を取った。
「では、また明朝、迎えに上がります。俺の姫君」
レクスのその言葉で思わずレクスの方を見ると、いつものお道化た笑顔だった。
「……っ! もうっ! レクスったら! 揶揄わないでよっ!」
レクスはリリエの言葉に更にお道化る様に笑った。
「揶揄ってないって」
「……レクスは本当に悪い子ね……」
「リリエ嬢も同じでしょ? じゃあ、また明日ね」
レクスは欄干に足を掛けると向かいにある木の上に飛び移った。
「また明日っ! 気を付けて?」
レクスは木の上で軽く手を上げるとその木から飛び降りて地面に着地する。
リリエは建物の角を曲がるまでその背中を見送った。
リリエは思う。
そしてその想いは思わず唇からこぼれだし、呟きになった。
「…………絶対、レクスの方が悪い子だわ……」
もう黄色く、ヒラヒラ靡く雲を纏った三日月がリリエを照らしていた。
◇◇◇
次の日の朝、レクスはいつも通りにリリエを迎えに来た。
「おはよう、リリエ嬢」
「おはよう、レクス」
昨日、あんな事があったとは思えない位レクスはいつも通りで、それにほんの少しだけがっかりしたような気がしたけれど、そのままいつも通りに笑顔で応えた。
レクスがリリエに耳打ちする。
「情報が入ったんだ。少し二人で話せないかな?」
「そうなの? どうぞ」
リリエの居室の応接室にレクスを招き入れる。
リリエはレクスに着席を促すと早速本題に入った。
「情報ってなに?」
「わかったよ。王都のエルサゼーヌ通りの6番倉庫の名義はトヴァルナ商業組合。だけどこれが実体のないダミー商会なんだ。そしてこの商会の名義人を調べた。 マティアス・サシャ・クベリーク。この人物を調べるとやっぱり宰相が頻繁に使いをやってる形跡がある。彼の証言も取れたみたいだよ」
「そうなのね」
「彼の証言によると、何でもリリエの母君がご生前にそのクベリールを無償で助けた事があったんだって」
「お母様が?」
「山賊に襲われて無一文でとても困っていた所をリリエの母君が助けてくれて、お陰で命拾いをしたんだそうだよ。で、それを調べ上げた宰相がリリエ嬢の王宮での立場と、自身の家族を盾に脅されてたと」
「……もしかして……それ、お父様も?」
「その可能性は大いにあるね。宰相一派は大きな派閥だからね。そんな派閥から不信を買えば王宮内でのリリエ嬢の立場は殆ど身の置き場がないと言っていい」
「……まさか……。でも……」
「証拠の手紙も間違いなく指示を示唆してる。同じ理由でヴァルタリア領主が言いなりになっていたという可能性はかなり高いね」
「……これで証拠は充分かしら?」
「うん、殆ど揃ったと言ってもいいんだけど、もう一つ手に入れられそうな証拠があるんだ」
リリエは小首を傾げてレクスに訊ねた。
「なに?」
「今日の昼過ぎに宰相の使いがヴァルタリアにやってくるらしい。その使いはね、どうやら表の帳簿と擦り合わせる目的で定期的に裏帳簿を持ってくるらしいんだ」
「そっか……。それがあればどんな言い訳ももう出来ないわね」
「うん、仕留めるなら確実に仕留めないと。本当に大きな一派だからね、中途半端な事しては息を吹き返す可能性もあるんだ」
リリエは大きく息を吐く。そしてソファの背もたれに凭れかかった。
「……それで?」
リリエはレクスに真剣な瞳で訊ねた。
「ん?」
「ん? じゃないでしょ? この話を私にしたって事は、私も何か協力出来る事があるって事でしょ?」
レクスはにこりと笑う。いつものお道化た笑顔で言った。
「さすがはリリエ嬢だね。とても察しがいい」
「で? 私は何をすればいいの?」
「リリエ嬢って言うよりも、リリーに協力してもらえないかなって」
「……? リリーに?」
レクスはお道化た笑顔が崩す事なく、こくりと頷いた。
ぎゅっと抱きすくめられてリリエの心臓は五月蠅く鳴っている。
自分の鼓動がレクスに伝わってしまんじゃないとか、それもまた余計に緊張感を高めた。
部屋に侵入する人影が、どんどん机の方に近づいてくる。
更にドキドキが高鳴ってしまって見つかりそうな事に緊張してるのか、レクスとの密着に緊張してるのかわからない。
ぎゅっと目を閉じて、レクスの胸に顔を埋めると、レクスのリリエを抱きしめる腕の力が更に少しだけ強くなった。
それだけで自分の動揺を見透かされている事がわかったので、恥ずかしくなって、更にレクスに縋る様に胸に顔を埋めてしまう。
人影はコツコツと靴音を鳴らしてこちらに迫る。
もう少しで見つかりそうなタイミングに差し掛かり、レクスとリリエに緊張が走った。
人影は執務机の左側にある大きな書棚の前で足が止まった。
人影はポツリとひとりごちた。
「これかしら……?」
その声はノエリアのものだ。きっと件の調べものをしているのだろう。
パラパラと書類を捲ると机の上にその書類を乗せて一緒に持ってきていたらしいワックスタブレットに書付けをしているようだ。
自分達の頭の上にノエリアの気配を間近で感じる。
こんな所を見つかったら何の言い訳もできない。まして、護衛騎士とこんなに密着して抱き合ってたとなればレアンドロ殿下もレクスを庇いきれないだろう。
見つからないよう心から祈りながらレクスにしがみつく。
書付けを終えたノエリアは書類を元に戻し、ワックスタブレットを手に取ってまたコツコツと靴音を立てて部屋を出て施錠する音がした。
しばらく耳を澄ませて外の様子を窺っていたが、ノエリアの足音が遠ざかって、人の気配が消えた。
二人はふ~っと息を吐く。
抱きしめられ、レクスの胸に顔を埋めたままホッと安心してると、一瞬だけ、レクスの腕の力が強くなった。
「あ、あの、レクス?」
「あ、ゴメン……」
慌ててレクスから離れたリリエはもうまともにレクスの顔を見る事が出来ない。
しばらくして、レクスがリリエに声をかけた。
「さ、戻ろっか」
「う、うん、そうねっ」
すくっと立ち上がったレクスはリリエに手を差し伸べる。
顔を赤らめてその手を取ったリリエは軽く引っ張られて立ち上がらせてもらった。
証拠となる財務帳簿を手に執務室を出たリリエとレクスは、元来た手順で部屋に戻る。
窓の空いてる部屋に入ってバルコニーに着いた二人は少しの沈黙を目も合わせられずに過ごす。
レクスが遠慮がちに切り出した。
「……あの、また、抱き上げていいかな?」
「え、ええっ! もちろんよ? お願いします」
何故だか慌てて返事をしてしまう。
行きよりもずっとずっと緊張してしまう。
「……じゃ、俺の首に腕を回して?」
向かい合って目が合うとどうしても恥ずかしくてすぐに俯く。
レクスの表情は何故かいつもよりも真剣でリリエは戸惑う。
いつもみたいにお道化てくれたらいいのにな……とちょっと思いながら、レクスの首に腕を回す。
そしたらやはり軽々と抱き上げられてバルコニーの手すりにひょいっと飛び乗った。
「レクスって本当に凄いわね」
「跳躍訓練は騎士にとっては当然だよ? 側足駆けとか死ぬほどやるからね」
「側足駆けって左右に飛ぶ訓練よね?」
「うん、それだけじゃなくて鉄脚の稽古も徹底的に課せられるよ」
「そう……。レクスは大変な訓練を沢山積んできたのね」
「リリエ嬢だって同じでしょ? レアンドロ殿下に嫁ぐ為にたくさん厳しい王妃教育を受けてる」
その言葉にリリエはチクリと胸が痛む。
「……そうね……」
リリエはそのまま何も言えずに無言のままレクスに抱えられた。
ようやくリリエの部屋のバルコニーに辿り着くと、リリエを降ろしたレクスと二人、じっとその場で互いに俯く。
そしてレクスが片膝をついてリリエの手を取った。
「では、また明朝、迎えに上がります。俺の姫君」
レクスのその言葉で思わずレクスの方を見ると、いつものお道化た笑顔だった。
「……っ! もうっ! レクスったら! 揶揄わないでよっ!」
レクスはリリエの言葉に更にお道化る様に笑った。
「揶揄ってないって」
「……レクスは本当に悪い子ね……」
「リリエ嬢も同じでしょ? じゃあ、また明日ね」
レクスは欄干に足を掛けると向かいにある木の上に飛び移った。
「また明日っ! 気を付けて?」
レクスは木の上で軽く手を上げるとその木から飛び降りて地面に着地する。
リリエは建物の角を曲がるまでその背中を見送った。
リリエは思う。
そしてその想いは思わず唇からこぼれだし、呟きになった。
「…………絶対、レクスの方が悪い子だわ……」
もう黄色く、ヒラヒラ靡く雲を纏った三日月がリリエを照らしていた。
◇◇◇
次の日の朝、レクスはいつも通りにリリエを迎えに来た。
「おはよう、リリエ嬢」
「おはよう、レクス」
昨日、あんな事があったとは思えない位レクスはいつも通りで、それにほんの少しだけがっかりしたような気がしたけれど、そのままいつも通りに笑顔で応えた。
レクスがリリエに耳打ちする。
「情報が入ったんだ。少し二人で話せないかな?」
「そうなの? どうぞ」
リリエの居室の応接室にレクスを招き入れる。
リリエはレクスに着席を促すと早速本題に入った。
「情報ってなに?」
「わかったよ。王都のエルサゼーヌ通りの6番倉庫の名義はトヴァルナ商業組合。だけどこれが実体のないダミー商会なんだ。そしてこの商会の名義人を調べた。 マティアス・サシャ・クベリーク。この人物を調べるとやっぱり宰相が頻繁に使いをやってる形跡がある。彼の証言も取れたみたいだよ」
「そうなのね」
「彼の証言によると、何でもリリエの母君がご生前にそのクベリールを無償で助けた事があったんだって」
「お母様が?」
「山賊に襲われて無一文でとても困っていた所をリリエの母君が助けてくれて、お陰で命拾いをしたんだそうだよ。で、それを調べ上げた宰相がリリエ嬢の王宮での立場と、自身の家族を盾に脅されてたと」
「……もしかして……それ、お父様も?」
「その可能性は大いにあるね。宰相一派は大きな派閥だからね。そんな派閥から不信を買えば王宮内でのリリエ嬢の立場は殆ど身の置き場がないと言っていい」
「……まさか……。でも……」
「証拠の手紙も間違いなく指示を示唆してる。同じ理由でヴァルタリア領主が言いなりになっていたという可能性はかなり高いね」
「……これで証拠は充分かしら?」
「うん、殆ど揃ったと言ってもいいんだけど、もう一つ手に入れられそうな証拠があるんだ」
リリエは小首を傾げてレクスに訊ねた。
「なに?」
「今日の昼過ぎに宰相の使いがヴァルタリアにやってくるらしい。その使いはね、どうやら表の帳簿と擦り合わせる目的で定期的に裏帳簿を持ってくるらしいんだ」
「そっか……。それがあればどんな言い訳ももう出来ないわね」
「うん、仕留めるなら確実に仕留めないと。本当に大きな一派だからね、中途半端な事しては息を吹き返す可能性もあるんだ」
リリエは大きく息を吐く。そしてソファの背もたれに凭れかかった。
「……それで?」
リリエはレクスに真剣な瞳で訊ねた。
「ん?」
「ん? じゃないでしょ? この話を私にしたって事は、私も何か協力出来る事があるって事でしょ?」
レクスはにこりと笑う。いつものお道化た笑顔で言った。
「さすがはリリエ嬢だね。とても察しがいい」
「で? 私は何をすればいいの?」
「リリエ嬢って言うよりも、リリーに協力してもらえないかなって」
「……? リリーに?」
レクスはお道化た笑顔が崩す事なく、こくりと頷いた。
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