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25、心を凪いで
レクスが去った1週間後、ヴァルタリア領城に王城からの使いが来た。
まず、王都のタウンハウスに滞在していたリリエの父、オスヴァルト・グフタス・クラヴァードは拘束されたといい、カスタネアの動揺は大きかった。
捕らえられた反王派の教師達は王都へと連行されることとなった。
宰相、ヴィテテフ・スヴァトプルク・チェルニーも捕らえられ今は詮議が行われている。
そして王命でリリエは自宅謹慎を命じられ、ずっと自室に籠っている。
王都からはお目付け役という名の監視係が派遣され、どこに行くにもそのお目付け役は付いてきたのでどこかに行く気にもなれなかった。
もちろん、日課の王妃教育もなく、余暇の楽しみの領内の散策も出来ず、本を読んだり刺繡を刺したりしながら過ごした。
その間、リリエは今後の事を考える。
今、王宮では自分の王妃としての資質が問われているんだろう。
反王派の人間が王妃教育に関わったのだから、リリエ自身に反王思想を植え付けているかもしれないと懸念されるし、そんな人間が次期王妃に相応しい訳がない。
そして他の王家と距離を置く派閥は、王家の正当性を強化するリリエとの婚姻を阻止しようという動きもあるだろう。
リリエの心模様は複雑だった。
クラヴァード家の今後はどうなるのか、父は許されるのか、それとも最も重い罰を与えられるのか、そしてその処罰次第でリリエの身の置かれ方も変わるだろう。
そして領の統治は一体どうなってしまうのか……。
それらを考える時間はたくさんあった。
一目一目針を刺しながら思う。
このまま、婚姻が無くなればいいのにな……と。
そしたらリリエは迷う事無くレクスの元に向かう。そして振り向いてもらえるまでずっと一緒にいるつもりだ。
自分の血統のせいでレクスに迷惑が掛かる事もあるかもしれないけれど、血統の管理の為にも王家の遠縁にあたるボスハルト家と婚姻を結ぶというのは悪くない話だろう。
自由になれれば、レクスの元へ行く。
もし無理なら……全てを諦めてレアンドロ殿下に嫁ごう。
リリエはそう結論を出した。
窓の外からは鉱山が見える。そしてその麓には職人街の家々が立ち並んでいて、煙突からはモクモクと煙が立ち上がっている。
不正が暴かれたから、きっと領民の暮らしは今より良くなるだろう。
その1週間後には調査員や監査役が王都からやってきて、帳簿や鉱山の算出記録の改竄を調べた。
やはりリリエ達の調べた通り6年前、リリエが婚約した時からこの不正は始まっていた。
イグナツの帳簿はここでの調査をスムーズにしたので大変重宝された。
同時に行われているヴァルタリア領主、オスヴァルト・グフタス・クラヴァードは取り調べで娘の立場を盾に取られ宰相に脅されたと供述。
その証拠として指示書や使者からの手紙の在りかを証言し、執務室の鍵付きの引き出しの中からその手紙は見つかった。
宰相、ヴィテテフ・スヴァトプルク・チェルニーは黙秘を続けているが、出てきた証拠がはっきりと関与を窺わせるものだったので、極刑になる事は免れないだろう。
彼の側近達も同じように処罰されるのは確実だ。
心労が祟って寝込んでしまったカスタネアにノエリアはかかり切りになったので、王都からの調査団の受け入れにはヴィッルート先生が対応してくれた。
レクスが信用できると言った人物だし、彼にはレクスが去った後全容を説明したので対応できるだろう。
どんどん調査が進み、ヴァルタリアから調査団が去った後もリリエはお目付け役付きの謹慎が解かれる事はなかった。
王都は今、どんな様子なのだろう……。
大きなショールやビーズを散りばめたアジャリアなど大作を何作か仕上げて、さすがに刺繍にも読書にも飽き始めた3カ月後、王都から新たな使者がやってきた。
白と金の美しい車室をまだら模様の馬が二頭で引く馬車が用意されている。
リリエは領城の謁見の間に呼ばれた。
自由か、運命に従うのか……、その答えが今告げられようとしている。
使者は領主の座る主座の横に立って、羊皮紙に認められた王命を宣読する。
「リリエ・エーディット・クラヴァード嬢。かしこくも、陛下の仰せに依り、貴女にはこのたびの御婚儀に際し、王都へと御参向賜りますよう、申し渡されております」
……ああ、そうなのか……。私は運命に負けちゃったのね……。
リリエは瞳を閉じる。
その瞼の裏には愛しいレクスの姿が浮かんでくる。
宣読は続く。
・ヴァルタリア領主オスヴァルト・グフタス・クラヴァードは病篤くして、領政を退く事とする。
・後任にはノエリアが婿を取ってその婿が継ぐこと。婿は王家が取り決めた者とする。
・リリエは予定通り、レアンドロと婚姻を結ぶ事とする。
つまり王家は温情を与えてくれたのだろう。
娘の婚姻後の立場を盾に脅されてやむを得ず罪に加担したが、自身は一切不正に得た利益を手にしなかった事などが考慮された。
なので表向きは病気の為、引退する、という事にしてくれるらしい。
そしてその代わりヴァルタリアは王家の息のかかった人間が治める事で手打ちとするという事だ。
リリエは今回の不正を糺した本人である事、王家に対する忠誠を自ら示した事を評価されてそのまま嫁ぐ事になる。
宣読が終わり、リリエはゆっくりカーテシーをした。
そして頭を下げる。
「承りました」
不思議と落ち着いた気分だ。
想像していたよりもずっとずっと心は凪いでいる。
本当はレクスが自分を置いていった時点でこうなる事をどこかで予感していた。
レクスはきっと進言したのだろう、リリエがこの不正を糺すために尽力した事を。
だからリリエがこの不正を糺した本人という風に言われているし、忠義を尽くしたと評価されているのだろう。
きっと、レクスはレアンドロ殿下との婚姻を望んでいるのだろう。
それなら、リリエもまた、それを受け入れようと思う。
リリエの準備が出来次第、王都へと向かう様にとのお達しだったので侍女達が必死に荷造りを始めた。
リリエはその場を任せて、カスタネアの寝室へと向かった。
「失礼します」
ベッドの上に横たわるカスタネアをノエリアが介抱しているところだった。
それが終わりカスタネアがベッドに座って一拍置いたタイミングでリリエはカーテシーで礼を取った。
「お義母様。私、本日をもちまして、王都の王城へと移るよう、王命を賜りました。これまでのご厚情、心より感謝申し上げます」
カスタネアはリリエを見つめた。
「貴女にはこれまで不便をおかけしました」
その言葉にリリエは頭を上げることなくそのまま耳を傾ける。
「……でも、お父様には何の罪咎もないでしょう?」
カスタネアはポロポロ涙を流し始めた。
「私達が憎かったのでしょう? でも私達は本当に貴女の事を思っていたのですよ? 立派な王妃になれるようにと。それはお父様も同じです。なのに何故お父様を追いやる様な事をしたのですか?」
リリエは顔を上げずに答えた。
「その事はよくわかっております。お義母様がお父様を愛していらっしゃる事も。……でも、お父様は私の事は信じてくださらなかった」
「信じなかった?」
「そう。私が欲しかったものは信頼です。王家に嫁いでも戦っていけると信頼して下さらずいつも子供は黙っていなさいと聞く耳を持っては下さらなかった。それはお父様もお義母様もお義姉様も同じでした。……そろそろ、この辺りで失礼致します。どうぞ御自愛下さいませ。お義母様」
リリエはくるりと背を向けると扉に向かって歩き出す。
しかし振り返ってもう一度体をベッドのある方へ向けた。
「ノエリアお義姉様」
先ほどよりも深々と頭を下げる。
「どうか、私の愛するこのヴァルタリアを、領民達をよろしくお願い申し上げます」
頭を上げたリリエは王妃の笑みを湛え二人を見つめる。
そして再び背を向けると今度こそ扉を開いて部屋を出ていった。
まず、王都のタウンハウスに滞在していたリリエの父、オスヴァルト・グフタス・クラヴァードは拘束されたといい、カスタネアの動揺は大きかった。
捕らえられた反王派の教師達は王都へと連行されることとなった。
宰相、ヴィテテフ・スヴァトプルク・チェルニーも捕らえられ今は詮議が行われている。
そして王命でリリエは自宅謹慎を命じられ、ずっと自室に籠っている。
王都からはお目付け役という名の監視係が派遣され、どこに行くにもそのお目付け役は付いてきたのでどこかに行く気にもなれなかった。
もちろん、日課の王妃教育もなく、余暇の楽しみの領内の散策も出来ず、本を読んだり刺繡を刺したりしながら過ごした。
その間、リリエは今後の事を考える。
今、王宮では自分の王妃としての資質が問われているんだろう。
反王派の人間が王妃教育に関わったのだから、リリエ自身に反王思想を植え付けているかもしれないと懸念されるし、そんな人間が次期王妃に相応しい訳がない。
そして他の王家と距離を置く派閥は、王家の正当性を強化するリリエとの婚姻を阻止しようという動きもあるだろう。
リリエの心模様は複雑だった。
クラヴァード家の今後はどうなるのか、父は許されるのか、それとも最も重い罰を与えられるのか、そしてその処罰次第でリリエの身の置かれ方も変わるだろう。
そして領の統治は一体どうなってしまうのか……。
それらを考える時間はたくさんあった。
一目一目針を刺しながら思う。
このまま、婚姻が無くなればいいのにな……と。
そしたらリリエは迷う事無くレクスの元に向かう。そして振り向いてもらえるまでずっと一緒にいるつもりだ。
自分の血統のせいでレクスに迷惑が掛かる事もあるかもしれないけれど、血統の管理の為にも王家の遠縁にあたるボスハルト家と婚姻を結ぶというのは悪くない話だろう。
自由になれれば、レクスの元へ行く。
もし無理なら……全てを諦めてレアンドロ殿下に嫁ごう。
リリエはそう結論を出した。
窓の外からは鉱山が見える。そしてその麓には職人街の家々が立ち並んでいて、煙突からはモクモクと煙が立ち上がっている。
不正が暴かれたから、きっと領民の暮らしは今より良くなるだろう。
その1週間後には調査員や監査役が王都からやってきて、帳簿や鉱山の算出記録の改竄を調べた。
やはりリリエ達の調べた通り6年前、リリエが婚約した時からこの不正は始まっていた。
イグナツの帳簿はここでの調査をスムーズにしたので大変重宝された。
同時に行われているヴァルタリア領主、オスヴァルト・グフタス・クラヴァードは取り調べで娘の立場を盾に取られ宰相に脅されたと供述。
その証拠として指示書や使者からの手紙の在りかを証言し、執務室の鍵付きの引き出しの中からその手紙は見つかった。
宰相、ヴィテテフ・スヴァトプルク・チェルニーは黙秘を続けているが、出てきた証拠がはっきりと関与を窺わせるものだったので、極刑になる事は免れないだろう。
彼の側近達も同じように処罰されるのは確実だ。
心労が祟って寝込んでしまったカスタネアにノエリアはかかり切りになったので、王都からの調査団の受け入れにはヴィッルート先生が対応してくれた。
レクスが信用できると言った人物だし、彼にはレクスが去った後全容を説明したので対応できるだろう。
どんどん調査が進み、ヴァルタリアから調査団が去った後もリリエはお目付け役付きの謹慎が解かれる事はなかった。
王都は今、どんな様子なのだろう……。
大きなショールやビーズを散りばめたアジャリアなど大作を何作か仕上げて、さすがに刺繍にも読書にも飽き始めた3カ月後、王都から新たな使者がやってきた。
白と金の美しい車室をまだら模様の馬が二頭で引く馬車が用意されている。
リリエは領城の謁見の間に呼ばれた。
自由か、運命に従うのか……、その答えが今告げられようとしている。
使者は領主の座る主座の横に立って、羊皮紙に認められた王命を宣読する。
「リリエ・エーディット・クラヴァード嬢。かしこくも、陛下の仰せに依り、貴女にはこのたびの御婚儀に際し、王都へと御参向賜りますよう、申し渡されております」
……ああ、そうなのか……。私は運命に負けちゃったのね……。
リリエは瞳を閉じる。
その瞼の裏には愛しいレクスの姿が浮かんでくる。
宣読は続く。
・ヴァルタリア領主オスヴァルト・グフタス・クラヴァードは病篤くして、領政を退く事とする。
・後任にはノエリアが婿を取ってその婿が継ぐこと。婿は王家が取り決めた者とする。
・リリエは予定通り、レアンドロと婚姻を結ぶ事とする。
つまり王家は温情を与えてくれたのだろう。
娘の婚姻後の立場を盾に脅されてやむを得ず罪に加担したが、自身は一切不正に得た利益を手にしなかった事などが考慮された。
なので表向きは病気の為、引退する、という事にしてくれるらしい。
そしてその代わりヴァルタリアは王家の息のかかった人間が治める事で手打ちとするという事だ。
リリエは今回の不正を糺した本人である事、王家に対する忠誠を自ら示した事を評価されてそのまま嫁ぐ事になる。
宣読が終わり、リリエはゆっくりカーテシーをした。
そして頭を下げる。
「承りました」
不思議と落ち着いた気分だ。
想像していたよりもずっとずっと心は凪いでいる。
本当はレクスが自分を置いていった時点でこうなる事をどこかで予感していた。
レクスはきっと進言したのだろう、リリエがこの不正を糺すために尽力した事を。
だからリリエがこの不正を糺した本人という風に言われているし、忠義を尽くしたと評価されているのだろう。
きっと、レクスはレアンドロ殿下との婚姻を望んでいるのだろう。
それなら、リリエもまた、それを受け入れようと思う。
リリエの準備が出来次第、王都へと向かう様にとのお達しだったので侍女達が必死に荷造りを始めた。
リリエはその場を任せて、カスタネアの寝室へと向かった。
「失礼します」
ベッドの上に横たわるカスタネアをノエリアが介抱しているところだった。
それが終わりカスタネアがベッドに座って一拍置いたタイミングでリリエはカーテシーで礼を取った。
「お義母様。私、本日をもちまして、王都の王城へと移るよう、王命を賜りました。これまでのご厚情、心より感謝申し上げます」
カスタネアはリリエを見つめた。
「貴女にはこれまで不便をおかけしました」
その言葉にリリエは頭を上げることなくそのまま耳を傾ける。
「……でも、お父様には何の罪咎もないでしょう?」
カスタネアはポロポロ涙を流し始めた。
「私達が憎かったのでしょう? でも私達は本当に貴女の事を思っていたのですよ? 立派な王妃になれるようにと。それはお父様も同じです。なのに何故お父様を追いやる様な事をしたのですか?」
リリエは顔を上げずに答えた。
「その事はよくわかっております。お義母様がお父様を愛していらっしゃる事も。……でも、お父様は私の事は信じてくださらなかった」
「信じなかった?」
「そう。私が欲しかったものは信頼です。王家に嫁いでも戦っていけると信頼して下さらずいつも子供は黙っていなさいと聞く耳を持っては下さらなかった。それはお父様もお義母様もお義姉様も同じでした。……そろそろ、この辺りで失礼致します。どうぞ御自愛下さいませ。お義母様」
リリエはくるりと背を向けると扉に向かって歩き出す。
しかし振り返ってもう一度体をベッドのある方へ向けた。
「ノエリアお義姉様」
先ほどよりも深々と頭を下げる。
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