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【11】希望★
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「酷い……」
「そうだな、俺は酷い。最低だ」
愛した人の意思を無視して傷つけることしかできないのだから。
それでも生きてほしいと望む罪深さだ。けれどアンセルは決めていた。その罪ごとこの女を生涯愛し抜くと。
「何がお前の心を曇らせる? どうすれば俺の言葉を信じられる?」
残酷な問いかけだ。アンセルの手が離れると、レジーナは逃げるようにシーツに顔を隠す。重なる肌から彼の鼓動を感じながら、顔を見ることがなくて良かったと思う。
「こんな、何もない世界で生きろというの? 居場所がない。必要とされないのに、どうして生きられるというの」
「俺がお前を必要としている。それじゃ足りないか?」
その言葉にレジーナは思わず振り返ってしまった。その衝動で唇を塞がれる。
「ほら、もう一度だ。信じられるまで何度でも愛してやるよ」
胸の突起を押しつぶされたて力が抜ける。べったりとシーツに身体ごと押さえられ、後ろから食い破られるのではないかと思うほど奥まで攻められた。
鍛えられたアンセルの身体はレジーナを潰してしまわないよう気遣っているが、交わりには容赦がない。唯一自由になる足を動かしても意味は無く、先ほど出されたものが泡立ち、ぐりぐりと腰を押し付けられ奥を刺激される。
「っ、もう一度だ」
「ひっ、あぁ……!」
収まりきらなかった白濁が腿を伝い溢れ出す。
「もう、おなか、苦し……」
――それが何度目だったのか、もはや覚えていない。ただ、ひときわ強く愛され精を出されてから、不意にアンセルの動きが止まった。
「お前の意思を無視したことは悪かったと思ってる。無理やり身体を暴いたことも、許されることじゃない。けどな、それでも俺はお前に生きてほしかった」
(どうして?)
問いかける前にアンセルの熱が離れて行く。お互いの荒れた呼吸が部屋に響き、いつからかアンセルの呼吸も乱れていた。それだけ本気で愛してくれたのだろう。全てをかけて救おうとしてくれたのだ。
たっぷりと注がれた腹はふくれている気がする。魔力も十分身体に巡っただろう。アンセルは安心したといった顔でレジーナの肌を撫で、そっと楔を抜いてくれた。
命の危機は去ったらしく、ゆっくりとシーツに寝かせてもらったが、やはりまだ身体がいうことを聞かない。
「アンセル様は」
どんなに小さな呟きでもアンセルは拾ってくれる。それに酷く安心した。
「私は、アンセル様に必要ですか?」
捨てたはずの希望に手を伸ばしてもいいのだろうか。もしもこの人が必要としてくれるのなら、もう一度生きたいと思えるかもしれない。
「はぁ……あのな、レジーナ」
重いため息から始まる言葉に、不安で胸が潰れそうだ。胸は苦しくなるほど激しく音を立て彼の答えを待っている。それなのにアンセルはあっさりと言うのだ。
「当たり前だろう」
ベッドから抜け出たアンセルが背を向けて衣服を整えている。もう何もしないと誓ってから身体を拭いてくれた。
知りたいことはたくさんある。横になり脱がされていた服を掛けてもらってから、この国の現状を教えられた。
「この国はどうなってしまったのですか?」
「お前の故郷は愚かにも我が国に戦争を仕掛けようとしていた。密偵の話では、みなリリスと言う女に唆されていたらしい」
「リリス・シャーリー……」
「どうやら彼女は魅了が使えるようだ。おかげで火を放たれた隙に逃げられた。おそらくその力でどこかに匿われているはずだ」
上級魔法の魅了を扱えるところはさすが主人公と言うべきだろう。本来ならその力は正しい行いのために使われるはずが、リリスが優先したのは自身の幸せだった。
あの日自分を置き去りにした姿を思い出し、忘れていたはずの恐怖がよみがえる。リリスにはもはや誰からも愛される主人公の面影はなく、今や国中から追われる指名手配犯だ。
「リリス以外で今回の件に関わった者はみな捕らえている。そのせいで城内は混乱しているが、じきに落ち着くだろう」
「そうですか……」
「リリスを捕らえることができなくて済まない」
「いえ、アンセル様が謝ることではありません。教えてくれてありがとうございます」
「それからお前の両親と元婚約者についてだが、お前に謝りたいと言って来た」
その瞬間レジーナの身体が強張ったのをアンセルは見逃さなかった。
「彼らもリリスに操られていたそうだ」
「ぁ、わ、私は……」
アンセルの言葉を信じたいのにリリスの笑顔が邪魔をする。もしまた嘘だと言われてしまったら、今度こそ立ち直れない気がした。
「疲れただろう。とにかく今はゆっくり休んでくれ」
「アンセル様」
行ってしまうのですか?
一人で天井を見上げていると、まるであの部屋に戻ってしまったようで恐ろしい。
振り返ったアンセルはどうしたと言って頭を撫でてくれた。そんなに不安そうな顔をしていただろうか。
「傍にいる」
まだ口にしていない願いを叶えられ、不安が薄れていく。
「そうだな、俺は酷い。最低だ」
愛した人の意思を無視して傷つけることしかできないのだから。
それでも生きてほしいと望む罪深さだ。けれどアンセルは決めていた。その罪ごとこの女を生涯愛し抜くと。
「何がお前の心を曇らせる? どうすれば俺の言葉を信じられる?」
残酷な問いかけだ。アンセルの手が離れると、レジーナは逃げるようにシーツに顔を隠す。重なる肌から彼の鼓動を感じながら、顔を見ることがなくて良かったと思う。
「こんな、何もない世界で生きろというの? 居場所がない。必要とされないのに、どうして生きられるというの」
「俺がお前を必要としている。それじゃ足りないか?」
その言葉にレジーナは思わず振り返ってしまった。その衝動で唇を塞がれる。
「ほら、もう一度だ。信じられるまで何度でも愛してやるよ」
胸の突起を押しつぶされたて力が抜ける。べったりとシーツに身体ごと押さえられ、後ろから食い破られるのではないかと思うほど奥まで攻められた。
鍛えられたアンセルの身体はレジーナを潰してしまわないよう気遣っているが、交わりには容赦がない。唯一自由になる足を動かしても意味は無く、先ほど出されたものが泡立ち、ぐりぐりと腰を押し付けられ奥を刺激される。
「っ、もう一度だ」
「ひっ、あぁ……!」
収まりきらなかった白濁が腿を伝い溢れ出す。
「もう、おなか、苦し……」
――それが何度目だったのか、もはや覚えていない。ただ、ひときわ強く愛され精を出されてから、不意にアンセルの動きが止まった。
「お前の意思を無視したことは悪かったと思ってる。無理やり身体を暴いたことも、許されることじゃない。けどな、それでも俺はお前に生きてほしかった」
(どうして?)
問いかける前にアンセルの熱が離れて行く。お互いの荒れた呼吸が部屋に響き、いつからかアンセルの呼吸も乱れていた。それだけ本気で愛してくれたのだろう。全てをかけて救おうとしてくれたのだ。
たっぷりと注がれた腹はふくれている気がする。魔力も十分身体に巡っただろう。アンセルは安心したといった顔でレジーナの肌を撫で、そっと楔を抜いてくれた。
命の危機は去ったらしく、ゆっくりとシーツに寝かせてもらったが、やはりまだ身体がいうことを聞かない。
「アンセル様は」
どんなに小さな呟きでもアンセルは拾ってくれる。それに酷く安心した。
「私は、アンセル様に必要ですか?」
捨てたはずの希望に手を伸ばしてもいいのだろうか。もしもこの人が必要としてくれるのなら、もう一度生きたいと思えるかもしれない。
「はぁ……あのな、レジーナ」
重いため息から始まる言葉に、不安で胸が潰れそうだ。胸は苦しくなるほど激しく音を立て彼の答えを待っている。それなのにアンセルはあっさりと言うのだ。
「当たり前だろう」
ベッドから抜け出たアンセルが背を向けて衣服を整えている。もう何もしないと誓ってから身体を拭いてくれた。
知りたいことはたくさんある。横になり脱がされていた服を掛けてもらってから、この国の現状を教えられた。
「この国はどうなってしまったのですか?」
「お前の故郷は愚かにも我が国に戦争を仕掛けようとしていた。密偵の話では、みなリリスと言う女に唆されていたらしい」
「リリス・シャーリー……」
「どうやら彼女は魅了が使えるようだ。おかげで火を放たれた隙に逃げられた。おそらくその力でどこかに匿われているはずだ」
上級魔法の魅了を扱えるところはさすが主人公と言うべきだろう。本来ならその力は正しい行いのために使われるはずが、リリスが優先したのは自身の幸せだった。
あの日自分を置き去りにした姿を思い出し、忘れていたはずの恐怖がよみがえる。リリスにはもはや誰からも愛される主人公の面影はなく、今や国中から追われる指名手配犯だ。
「リリス以外で今回の件に関わった者はみな捕らえている。そのせいで城内は混乱しているが、じきに落ち着くだろう」
「そうですか……」
「リリスを捕らえることができなくて済まない」
「いえ、アンセル様が謝ることではありません。教えてくれてありがとうございます」
「それからお前の両親と元婚約者についてだが、お前に謝りたいと言って来た」
その瞬間レジーナの身体が強張ったのをアンセルは見逃さなかった。
「彼らもリリスに操られていたそうだ」
「ぁ、わ、私は……」
アンセルの言葉を信じたいのにリリスの笑顔が邪魔をする。もしまた嘘だと言われてしまったら、今度こそ立ち直れない気がした。
「疲れただろう。とにかく今はゆっくり休んでくれ」
「アンセル様」
行ってしまうのですか?
一人で天井を見上げていると、まるであの部屋に戻ってしまったようで恐ろしい。
振り返ったアンセルはどうしたと言って頭を撫でてくれた。そんなに不安そうな顔をしていただろうか。
「傍にいる」
まだ口にしていない願いを叶えられ、不安が薄れていく。
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