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【16】偽り聖女の恋人
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「さて、少し真面目な話をしようか」
アロイスの宣告にリエーベルは身構える。急に遠のいていたはずの時間が戻ってきた。
塔を抜け出してからというもの緩やかなはずの時間は瞬くほどに過ぎていた。馬車で意識を取り戻し、わけもわからぬまま公爵低に招待されたけれど、流されてばかりではいけない。きちんとアロイスと話し合うべき時が来たのだ。
「そう身構えることはないよ。ただ教えてほしいだけなんだ。きみがどこへ行こうとしたのかを」
「それは……」
「やっぱり俺にも言えない?」
訊ねるアロイスは困ったように目尻を下げている。その仕草は恋人を信じられずにいるリエーベルの良心を咎めているようだった。
「そうだね、まずは座ろうか」
アロイスから切り出され、立ち尽くしていたことに気付く。促されたのはベッドで、並んで腰かけると距離の近さに塔での日々が思い出された。まだ近くに居ることを許された気がして嬉しかった。
「アロイス様は、私の望みなど聞いてどうされるのですか?」
「前に言ったこと、もう忘れちゃったかな? 恋人のことを知りたいってやつ」
もちろん忘れてなどいない。アロイスと過ごした時間も、話した内容も、どれも大切に心にしまってあるのだ。ただ、まだ『恋人』としての関係を許されているのか不安が燻っている。
「もちろんそれだけじゃないよ。これまで何も望まなかった可愛い恋人の望みだ。全力で叶えたいと考えるのは当然だろ」
リエーベルも同じだった。アロイスが求めてくれるのなら、身体さえ差し出したいと思った。そこに理由があっただろうか。好きな人のためにできることがあるのなら何だってしたい。見返りなんていらない。それが愛なのだと、リエーベルはアロイスと出会って知ったのだ。
「きみの望みを叶えたい。どこへでも連れていくよ。それが許されるように国王陛下とも話をつけて来たからね。安心して、これできみは期間限定だけれど自由だ」
「アロイス様!? そのようなことを……大変だったのではありませんか?」
「そりゃあね」
「どうして、私にそこまでして下さるのです!」
「どうしてって、俺がきみの恋人だからだよ」
「それは、そうなのですが……」
何度も繰り返し教えられた言葉。まるで『恋人』が魔法の呪文のように思えてくる。実際リエーベルにとっては魔法にかかったような心地を与えるものではあった。こんなにも素敵な人と恋をすることが許されるのだか。
しかしアロイスの発するものと自身が想像する『恋人』の形にはどこか歪みが生じているように思う。
「俺は無責任な気持ちできみを恋人に望んだつもりはないよ。きみに想いを告げて、きみが応えてくれた日から、俺はきみと生きることだけを考えてきた」
アロイスの想いはリエーベルが想像していたよりもずっと誠実だった。いつか終わりがくるかもしれないと怯えていた自分とは最初から覚悟が違うのだ。アロイスは未来を見据え、その未来に手が届くよう行動してくれた。たった一人でリエーベルのために戦ってくれたのだ。
「私は、アロイス様に望んでもらえるような、立派な人間ではありません。私欲を優先させ、塔を脱げ出すような悪い娘なのですよ」
「どうして? 俺はそうは思わない。あんなところに閉じ込められて何年も、よく泣き言も言わずに耐えていたね。きみは立派だ」
褒められて、頭を撫でられる。
「――っ、どうして! どうしてアロイス様は私を甘やかしてしまうのです! 私は、アロイス様のお心を頂けるような人間ではなないのですから!」
「でも俺はきみを甘やかすよ」
「アロイス様!」
「それに少しくらい悪い子でも可愛いよ」
何度言ってもアロイスはリエーベルの主張を受け入れようとはしない。同じように、リエーベルもアロイスの心を素直に受け止めることは難しかった。
「うーん、なかなか伝わらないものだね。でも、きみの願いを叶えるという話は本当。どこへでも必ず、俺が連れて行く。だから俺を頼ってほしいんだ。……ね?」
お願いをしなければならないのはリエーベルであるはずが、どうしてかアロイスに強請られているので不思議だった。遠慮することはないというアロイスの優しさなのだろう。
「……どうしても、故郷の景色が見たかったのです」
これが今のリエーベルに話せる偽りのない精一杯だった。村のそばまでたどり着けたならこっそり母に会う手段も見つかるかもしれない。僅かな希望に、まだどこかで嘘をつく自分を罵りながら、リエーベルはアロイスにお願いをする。
「国外か……。うん、わかった。ただし一つ相談がある」
「なんでしょう」
「これから俺たちが向かうのは元敵国だ。現在は同盟を結んだとはいえ、三年前までは戦争をしていた相手。だから安全のためにも本来の身分は隠しておきたい」
懸命な判断だと思う。リエーベルは失念していたが、元敵国の公爵が歓迎されるはずはない。祖国にとってこの国は、聖女を人質に欲した憎い仇。敗戦の苦渋を味わわせた敵なのだ。
「だから打ち合わせ。きみと俺は新婚の、夫婦という設定で入国しようと思う」
「はい。わかり…………え、あっ、夫婦?」
「そう、夫婦。若い男女が二人連れ添って旅をしている設定なんて、駆け落ち夫婦がぴったりだと思わない?」
この兄妹は、そろってリエーベルが答えにくいことに平然と同意を求めてくる。また新たに二人の共通点を見つけてたけれど、今はちっとも嬉しくない。
「きみと俺は両親の反対を押し切って駆け落ちし、隣国に落ち延びた。うん、いいね。これでいこう。駆け落ちだと言えば人目を避けるような行動をとってもいくらでも辻褄が合う」
アロイスの明晰な頭脳では駆け落ち設定が最適らしいが、リエーベルの小さな胸はばくばくと緊張している。
仮にも恋人同士ではあるけれど、アロイスとその先の未来があると、結婚の二文字を想像したことはなかったのだ。もしかしたらアロイスはいずれ自分よりも素敵な人に恋をするのかもしれない。公爵家の当主として、結婚しなければならない相手がいるのかもしれない。こんな、塔から出られもしない女を生涯愛し抜くなんて不便に決まっている。だから、先のことを考えないようにしていた。なんとなく、いつかは終わる関係だと、自分は諦めていたのだ。未来を聞くのが怖かった。
「どうしたの? 不安そうな顔だね」
「私、そのような顔をしていましたか?」
いつも通りに構えていたし、どちらかといえば緊張である。確かに不安がないと言えば嘘になるけれど。
「ごめんね。いきなり夫婦のふりをしろなんて無理を言って。本当は、先にプロポーズをしたかったけど、それはまた今度」
「あ、アロイス様……。今、何をおっしゃりましたでしょうか」
「先に形から入ってしまって悪いね」
「そうではなく! プロポーズとはどういうことです!」
「え?」
「え?」
もはやどちらのものかもわからない母音が繰り返される。
「え、だって俺たち、いずれ結婚するだろ」
「そうなのですか!?」
どうしてリエーベルが驚いているのかアロイスはまるでわかってくれない。驚くに決まっているのだ。結婚なんて話、今初めて聞いたのだから。そんな困惑やら戸惑いを前面に押し出すと、アロイスは不満そうにこちらを眺めてきた。
アロイスの宣告にリエーベルは身構える。急に遠のいていたはずの時間が戻ってきた。
塔を抜け出してからというもの緩やかなはずの時間は瞬くほどに過ぎていた。馬車で意識を取り戻し、わけもわからぬまま公爵低に招待されたけれど、流されてばかりではいけない。きちんとアロイスと話し合うべき時が来たのだ。
「そう身構えることはないよ。ただ教えてほしいだけなんだ。きみがどこへ行こうとしたのかを」
「それは……」
「やっぱり俺にも言えない?」
訊ねるアロイスは困ったように目尻を下げている。その仕草は恋人を信じられずにいるリエーベルの良心を咎めているようだった。
「そうだね、まずは座ろうか」
アロイスから切り出され、立ち尽くしていたことに気付く。促されたのはベッドで、並んで腰かけると距離の近さに塔での日々が思い出された。まだ近くに居ることを許された気がして嬉しかった。
「アロイス様は、私の望みなど聞いてどうされるのですか?」
「前に言ったこと、もう忘れちゃったかな? 恋人のことを知りたいってやつ」
もちろん忘れてなどいない。アロイスと過ごした時間も、話した内容も、どれも大切に心にしまってあるのだ。ただ、まだ『恋人』としての関係を許されているのか不安が燻っている。
「もちろんそれだけじゃないよ。これまで何も望まなかった可愛い恋人の望みだ。全力で叶えたいと考えるのは当然だろ」
リエーベルも同じだった。アロイスが求めてくれるのなら、身体さえ差し出したいと思った。そこに理由があっただろうか。好きな人のためにできることがあるのなら何だってしたい。見返りなんていらない。それが愛なのだと、リエーベルはアロイスと出会って知ったのだ。
「きみの望みを叶えたい。どこへでも連れていくよ。それが許されるように国王陛下とも話をつけて来たからね。安心して、これできみは期間限定だけれど自由だ」
「アロイス様!? そのようなことを……大変だったのではありませんか?」
「そりゃあね」
「どうして、私にそこまでして下さるのです!」
「どうしてって、俺がきみの恋人だからだよ」
「それは、そうなのですが……」
何度も繰り返し教えられた言葉。まるで『恋人』が魔法の呪文のように思えてくる。実際リエーベルにとっては魔法にかかったような心地を与えるものではあった。こんなにも素敵な人と恋をすることが許されるのだか。
しかしアロイスの発するものと自身が想像する『恋人』の形にはどこか歪みが生じているように思う。
「俺は無責任な気持ちできみを恋人に望んだつもりはないよ。きみに想いを告げて、きみが応えてくれた日から、俺はきみと生きることだけを考えてきた」
アロイスの想いはリエーベルが想像していたよりもずっと誠実だった。いつか終わりがくるかもしれないと怯えていた自分とは最初から覚悟が違うのだ。アロイスは未来を見据え、その未来に手が届くよう行動してくれた。たった一人でリエーベルのために戦ってくれたのだ。
「私は、アロイス様に望んでもらえるような、立派な人間ではありません。私欲を優先させ、塔を脱げ出すような悪い娘なのですよ」
「どうして? 俺はそうは思わない。あんなところに閉じ込められて何年も、よく泣き言も言わずに耐えていたね。きみは立派だ」
褒められて、頭を撫でられる。
「――っ、どうして! どうしてアロイス様は私を甘やかしてしまうのです! 私は、アロイス様のお心を頂けるような人間ではなないのですから!」
「でも俺はきみを甘やかすよ」
「アロイス様!」
「それに少しくらい悪い子でも可愛いよ」
何度言ってもアロイスはリエーベルの主張を受け入れようとはしない。同じように、リエーベルもアロイスの心を素直に受け止めることは難しかった。
「うーん、なかなか伝わらないものだね。でも、きみの願いを叶えるという話は本当。どこへでも必ず、俺が連れて行く。だから俺を頼ってほしいんだ。……ね?」
お願いをしなければならないのはリエーベルであるはずが、どうしてかアロイスに強請られているので不思議だった。遠慮することはないというアロイスの優しさなのだろう。
「……どうしても、故郷の景色が見たかったのです」
これが今のリエーベルに話せる偽りのない精一杯だった。村のそばまでたどり着けたならこっそり母に会う手段も見つかるかもしれない。僅かな希望に、まだどこかで嘘をつく自分を罵りながら、リエーベルはアロイスにお願いをする。
「国外か……。うん、わかった。ただし一つ相談がある」
「なんでしょう」
「これから俺たちが向かうのは元敵国だ。現在は同盟を結んだとはいえ、三年前までは戦争をしていた相手。だから安全のためにも本来の身分は隠しておきたい」
懸命な判断だと思う。リエーベルは失念していたが、元敵国の公爵が歓迎されるはずはない。祖国にとってこの国は、聖女を人質に欲した憎い仇。敗戦の苦渋を味わわせた敵なのだ。
「だから打ち合わせ。きみと俺は新婚の、夫婦という設定で入国しようと思う」
「はい。わかり…………え、あっ、夫婦?」
「そう、夫婦。若い男女が二人連れ添って旅をしている設定なんて、駆け落ち夫婦がぴったりだと思わない?」
この兄妹は、そろってリエーベルが答えにくいことに平然と同意を求めてくる。また新たに二人の共通点を見つけてたけれど、今はちっとも嬉しくない。
「きみと俺は両親の反対を押し切って駆け落ちし、隣国に落ち延びた。うん、いいね。これでいこう。駆け落ちだと言えば人目を避けるような行動をとってもいくらでも辻褄が合う」
アロイスの明晰な頭脳では駆け落ち設定が最適らしいが、リエーベルの小さな胸はばくばくと緊張している。
仮にも恋人同士ではあるけれど、アロイスとその先の未来があると、結婚の二文字を想像したことはなかったのだ。もしかしたらアロイスはいずれ自分よりも素敵な人に恋をするのかもしれない。公爵家の当主として、結婚しなければならない相手がいるのかもしれない。こんな、塔から出られもしない女を生涯愛し抜くなんて不便に決まっている。だから、先のことを考えないようにしていた。なんとなく、いつかは終わる関係だと、自分は諦めていたのだ。未来を聞くのが怖かった。
「どうしたの? 不安そうな顔だね」
「私、そのような顔をしていましたか?」
いつも通りに構えていたし、どちらかといえば緊張である。確かに不安がないと言えば嘘になるけれど。
「ごめんね。いきなり夫婦のふりをしろなんて無理を言って。本当は、先にプロポーズをしたかったけど、それはまた今度」
「あ、アロイス様……。今、何をおっしゃりましたでしょうか」
「先に形から入ってしまって悪いね」
「そうではなく! プロポーズとはどういうことです!」
「え?」
「え?」
もはやどちらのものかもわからない母音が繰り返される。
「え、だって俺たち、いずれ結婚するだろ」
「そうなのですか!?」
どうしてリエーベルが驚いているのかアロイスはまるでわかってくれない。驚くに決まっているのだ。結婚なんて話、今初めて聞いたのだから。そんな困惑やら戸惑いを前面に押し出すと、アロイスは不満そうにこちらを眺めてきた。
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