30 / 36
登場人物紹介・番外編など
番外編・ある平和な一日【前編】*
しおりを挟む
本編の後日談に当たる話です。前中後編。
◆◆◆◆◆
ダガンは召使いから二人分の朝食が乗ったワゴンを受け取り、ベッドに戻った。
(朝っぱらから艶めかしいなあ)
すでに着替えている自分と違い愛しい夫、ルナルシオンは裸だ。せっかく清めた後で寝衣を着せてやったのに、起きてすぐ脱いでしまったのだ。暑さを言い訳にしていたが、嘘なのは明らかだった。
窓から初夏の爽やかな光が入り、ベッドに横たわるルナルシオンの裸体を照らす。乱れてシーツに広がる髪、薄らと汗に濡れた白い肌、熱い息を吐く唇、蕩けて潤んだ瞳が艶かしい。
ダガンは下腹に力を入れて耐える。ついさっきまで誘惑に負けていたが。
◆◆◆◆◆
時刻は少し前に遡る。
ダガンに起こされて世話を焼かれていたルナルシオンは、ダガンの寝衣に手をかけ胸元や股ぐらに手を伸ばした。
「まだ時間があるし、ちょっとだけ。ね?いいでしょう?」
願ってもない誘いだ。昨夜はお楽しみだったが、ここしばらくは忙しくご無沙汰だった。
「少しだけなら……いや、駄目だ」
とはいえ一日中休みである自分はともかく、ルナルシオンは午前中は仕事をしなければならない。だというのに、ルナルシオンの手は止まらない。
「悪い子だ」
ダガンは悪戯な手を捕まえて、軽くお仕置きをしてやった。
結果、ルナルシオンはダガンの手と唇だけで乱れた。
「あっ……ダガン……」
昨夜つけた口吸い跡や歯形を舐めたり、まだまっさらな肌に新しい跡をつける。ルナルシオンは甘い声をあげながら、細い指でダガンの寝衣に包まれた身体に爪を立てた。
「ルナルシオン……」
もうゆるくしか勃たない陰茎を揉んでやりながら口を吸う。ダガンの手のひらが大きいとはいえ、片手で完全に握れるほど小さい。小さくなってしまったのだ。
(半魔である俺の精液を注ぎ込み続けているからだ)
ルナルシオンがダガンを受け入れた証拠の一つだ。愛しくて仕方なくて、よく口に含んで愛撫してやっている。が、いまやると最後までしてしまいそうだから止める。代わりにトパーズの首飾りが揺れる胸を揉んだり、尻を撫でて善がらせてやった。
「はあっ……!あっ……!きもちいぃ……!」
少し愛撫しただけで、ルナルシオンは蕩けた声を上げる。この二箇所も自分によって大きく変化した場所だ。いや、ルナルシオンの身体でダガンによって変化していない場所などない。
ダガンはそれを再確認し、うっとりと笑う。ルナルシオンの、肉付きのよくなった身体を揉んで感触を楽しみながら。
ルナルシオンの身体は誰にも見せたくないが、たまに見せびらかしてやりたくなる。
「あっ……はぁっ……あぁっ!」
ルナルシオンは小さな絶頂を繰り返す。ダガンも腰が重くなった。素股ぐらいならいいか。と、誘惑に負けそうになったあたりで、控えめなノックの音に我に返った。
そして、冒頭に戻る。
◆◆◆◆◆
「そろそろ起きろ。食べさせてやるから」
「ん……ありがとう」
甘い余韻に浸っていたルナルシオンが、ゆっくりと上体を起こしてベッドの縁に移動する。
お互い、ベッドの上で朝食を取るのも慣れたものだ。ダガンが一口大に切られた果物を差し出すと、ルナルシオンは小鳥が親鳥にするように口を開いて食べる。果物の汁で濡れた唇を出来るだけ見ないようにしながら、パンやスープも食べさせていく。
「君も食べて。美味しいよ」
ルナルシオンは悪戯っぽく微笑み、ダガンの指を咥える。あからさまな誘惑に奥歯を噛み締めて耐えた。ここで手を出せば仕事どころではなくなる。
「今日はずいぶん絡むな?何かあったか?」
「君に構われたいだけ」
「これ以上か?我儘だな」
たわいもない話をしながら朝食を食べ終わり、ルナルシオンの身体を拭いて服を着せる。
ルナルシオンは両親の教育方針もあり、自分の身の回りの事は出来るし、自分でしたがる。だが、これはダガンの楽しみだ。いずれ髪も結ってやりたいが、絹糸のような髪を痛めてしまいそうで恐ろしい。『そこまで貧弱でも繊細でもないよ』と、苦笑いされたが本気で心配だった。
「じゃあ、行ってきます。後でね」
「おう。昼に迎えに行く」
仕事のあるルナルシオンは離宮内の執務室に、仕事のないダガンは離宮の外へとそれぞれ向かった。
◆◆◆◆◆
ダガンは召使いから二人分の朝食が乗ったワゴンを受け取り、ベッドに戻った。
(朝っぱらから艶めかしいなあ)
すでに着替えている自分と違い愛しい夫、ルナルシオンは裸だ。せっかく清めた後で寝衣を着せてやったのに、起きてすぐ脱いでしまったのだ。暑さを言い訳にしていたが、嘘なのは明らかだった。
窓から初夏の爽やかな光が入り、ベッドに横たわるルナルシオンの裸体を照らす。乱れてシーツに広がる髪、薄らと汗に濡れた白い肌、熱い息を吐く唇、蕩けて潤んだ瞳が艶かしい。
ダガンは下腹に力を入れて耐える。ついさっきまで誘惑に負けていたが。
◆◆◆◆◆
時刻は少し前に遡る。
ダガンに起こされて世話を焼かれていたルナルシオンは、ダガンの寝衣に手をかけ胸元や股ぐらに手を伸ばした。
「まだ時間があるし、ちょっとだけ。ね?いいでしょう?」
願ってもない誘いだ。昨夜はお楽しみだったが、ここしばらくは忙しくご無沙汰だった。
「少しだけなら……いや、駄目だ」
とはいえ一日中休みである自分はともかく、ルナルシオンは午前中は仕事をしなければならない。だというのに、ルナルシオンの手は止まらない。
「悪い子だ」
ダガンは悪戯な手を捕まえて、軽くお仕置きをしてやった。
結果、ルナルシオンはダガンの手と唇だけで乱れた。
「あっ……ダガン……」
昨夜つけた口吸い跡や歯形を舐めたり、まだまっさらな肌に新しい跡をつける。ルナルシオンは甘い声をあげながら、細い指でダガンの寝衣に包まれた身体に爪を立てた。
「ルナルシオン……」
もうゆるくしか勃たない陰茎を揉んでやりながら口を吸う。ダガンの手のひらが大きいとはいえ、片手で完全に握れるほど小さい。小さくなってしまったのだ。
(半魔である俺の精液を注ぎ込み続けているからだ)
ルナルシオンがダガンを受け入れた証拠の一つだ。愛しくて仕方なくて、よく口に含んで愛撫してやっている。が、いまやると最後までしてしまいそうだから止める。代わりにトパーズの首飾りが揺れる胸を揉んだり、尻を撫でて善がらせてやった。
「はあっ……!あっ……!きもちいぃ……!」
少し愛撫しただけで、ルナルシオンは蕩けた声を上げる。この二箇所も自分によって大きく変化した場所だ。いや、ルナルシオンの身体でダガンによって変化していない場所などない。
ダガンはそれを再確認し、うっとりと笑う。ルナルシオンの、肉付きのよくなった身体を揉んで感触を楽しみながら。
ルナルシオンの身体は誰にも見せたくないが、たまに見せびらかしてやりたくなる。
「あっ……はぁっ……あぁっ!」
ルナルシオンは小さな絶頂を繰り返す。ダガンも腰が重くなった。素股ぐらいならいいか。と、誘惑に負けそうになったあたりで、控えめなノックの音に我に返った。
そして、冒頭に戻る。
◆◆◆◆◆
「そろそろ起きろ。食べさせてやるから」
「ん……ありがとう」
甘い余韻に浸っていたルナルシオンが、ゆっくりと上体を起こしてベッドの縁に移動する。
お互い、ベッドの上で朝食を取るのも慣れたものだ。ダガンが一口大に切られた果物を差し出すと、ルナルシオンは小鳥が親鳥にするように口を開いて食べる。果物の汁で濡れた唇を出来るだけ見ないようにしながら、パンやスープも食べさせていく。
「君も食べて。美味しいよ」
ルナルシオンは悪戯っぽく微笑み、ダガンの指を咥える。あからさまな誘惑に奥歯を噛み締めて耐えた。ここで手を出せば仕事どころではなくなる。
「今日はずいぶん絡むな?何かあったか?」
「君に構われたいだけ」
「これ以上か?我儘だな」
たわいもない話をしながら朝食を食べ終わり、ルナルシオンの身体を拭いて服を着せる。
ルナルシオンは両親の教育方針もあり、自分の身の回りの事は出来るし、自分でしたがる。だが、これはダガンの楽しみだ。いずれ髪も結ってやりたいが、絹糸のような髪を痛めてしまいそうで恐ろしい。『そこまで貧弱でも繊細でもないよ』と、苦笑いされたが本気で心配だった。
「じゃあ、行ってきます。後でね」
「おう。昼に迎えに行く」
仕事のあるルナルシオンは離宮内の執務室に、仕事のないダガンは離宮の外へとそれぞれ向かった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
111
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる