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第1部
11話 アナベルとエリック
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「ああ、どうしても君と二人きりで話したかった。
……君は前世で、この世界を描いたアニメを観たことがあるのか?」
「へ?」
聖騎士エリック・ルグラン様の言葉に思考が停止した。呆然としていると、ルグラン様は顎に手をかけて考え込む。
「待てよ。漫画かゲームか小説って可能性もあるな。アナベル嬢、どれだろうか?」
「いや、ちょ、ま。まさか、貴方も転生者なんですか?」
「そうだ。前世では、日本で体育教師をしていた」
「えええええ!?」
何と、小説のヒーロー役である聖騎士エリック・ルグラン様は、私と同じ転生者だった。しかも日本人で、同じくらいの年齢で、生きていた時代も同じらしい。
「やっぱりな。女性に年齢のことを言うのは失礼だが、同世代ぐらいだと思ってたよ」
「礼儀なんて気にしなくていいですよ。それにしても、こんな事あるんですね。ちなみにルグラン様はどこ出身ですか?私はN県出身で、大学は……」
しばらくの間、お互いの身の上と小説の情報などを話し合った。
ルグラン様にとって小説の情報は衝撃だらけらしく、目を見開いたり声を上げて驚いている。
「小説では俺がヒーロー役でミシエラと結ばれる運命だと?有り得ない!」
「私もびっくりしました。まさかお二人の間に恋愛感情がないうえに、聖女ミシエラ様に相思相愛の婚約者がいるなんて。原作小説のお二人はラブラブでしたから。
……あの、少しくらい聖女様とのロマンスがあったのでは?」
小説と現実は違うらしいとわかっていても聞いてしまう。聖騎士エリック・ルグラン様と聖女ミシエラ様は、マルグリットたんとアレクシス・デュランに継ぐ推しカプだったんだもん!
それに現実のルグラン様は、小説とは違う魅力がある。聖女ミシエラ様の初恋相手とかになってそう、
だけど無情にもルグラン様は眉間に皺を寄せて否定した。
「ミシエラと?考えたこともない。向こうも同じだろう。あいつの初恋は育ての親である神官様だしな。
それに、現世の俺はまだ17歳だが前世ではアラフォーだ。14歳のミシエラにそんな気にはなれないよ。精神年齢が同世代か少し下なら別だったろうが、あいつは年相応だしな。はっきり言って生徒を見守っている気分だ」
ルグラン様の素っ気ない反応は残念だけど、同時にちょっとホッとした。
ん?なんでルグラン様と聖女ミシエラ様に恋愛感情が無いと知ってホッとしたんだろう?
ルグラン様の考え方が良識的だから?それだけじゃないような……。なんだか分かりそうで分からない。
まあ、分からないことを考えるのは後にしよう。
「ああ~。その感覚わかります。私も前世を思い出してから、お姉様への庇護欲が止まらなくて。姪っ子にしてたみたいに、頭を撫でたり褒めそうになっちゃうんですよね」
「わかる。お陰でミシエラからは『エリックって落ち着き過ぎててお爺ちゃんみたいですね』とか言われる」
「聖女ミシエラ様ってば割と辛辣!ギャップ萌え!」
ルグラン様は、産まれた時から前世の記憶があった。そのため、すぐに異世界転生したと気づいたらしい。
「ただ、原作のある世界かどうかは分からなかった。前世の俺は、あまりサブカルに詳しくなかったしな。生徒との話題作りで多少は知っていたが」
私が転生者であることは、土下座した事と『ざまぁ』という単語を使った事で気付いた。
さらに私の話した内容から『この世界の事を知っているのでは?』と気付いたという。
確かにルグラン様も『土下座』って単語をつかっていた。あの時点で気づけよ私……。
「しかし本当に嬉しいよ。君に会うまで、転生者を見つけることは出来なかった。最近では、前世は俺の妄想かもしれないと思いはじめたところだ」
それは、どれだけの不安と孤独だろう。私は胸が痛くなった。
「……お辛かったですね」
「ああ。だが、その辛さも君と会えて消えたよ」
幸せそうな笑み。なんだかドキドキしてしまう。
ルグラン様、まだ知り合って二週間も経ってないけど、見た目だけでなく中身も素敵な人。ドキドキするのは仕方ないよね?
「君と出会えたことは、俺の人生最大の幸運だ。だから君の力になりたい。君の悩みを取り除きたい。
どんな時でも君の味方でいると、今ここで誓う。どうか、俺の手を取って欲しい」
ルグラン様は、跪いた姿勢のまま私に手を差し出した。
わあ!なんだかプロポーズみたい!
嬉しくて、ちょっと照れ臭い。
「あはは!ちょっと大袈裟過ぎませんか?……私も貴方に会えて良かった。私も貴方の力になりたい。お互いに支え合いましょう」
私はルグラン様の手の上に、己の手を置いた。
その瞬間。
「「おめでとう!」」
「へ?」
声がした方を見ると、廊下に通じるドアが開いていた。そしてマルグリットお姉様、聖女ミシエラ様が満面の笑みで立っている。
は?なに?どういうこと?
◆◆◆◆◆◆
閲覧頂きありがとうございます。
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投票、お気に入り登録、エール、感想、リアクションなど、皆様の反応がはげみです。よろしくお願いします。
……君は前世で、この世界を描いたアニメを観たことがあるのか?」
「へ?」
聖騎士エリック・ルグラン様の言葉に思考が停止した。呆然としていると、ルグラン様は顎に手をかけて考え込む。
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「いや、ちょ、ま。まさか、貴方も転生者なんですか?」
「そうだ。前世では、日本で体育教師をしていた」
「えええええ!?」
何と、小説のヒーロー役である聖騎士エリック・ルグラン様は、私と同じ転生者だった。しかも日本人で、同じくらいの年齢で、生きていた時代も同じらしい。
「やっぱりな。女性に年齢のことを言うのは失礼だが、同世代ぐらいだと思ってたよ」
「礼儀なんて気にしなくていいですよ。それにしても、こんな事あるんですね。ちなみにルグラン様はどこ出身ですか?私はN県出身で、大学は……」
しばらくの間、お互いの身の上と小説の情報などを話し合った。
ルグラン様にとって小説の情報は衝撃だらけらしく、目を見開いたり声を上げて驚いている。
「小説では俺がヒーロー役でミシエラと結ばれる運命だと?有り得ない!」
「私もびっくりしました。まさかお二人の間に恋愛感情がないうえに、聖女ミシエラ様に相思相愛の婚約者がいるなんて。原作小説のお二人はラブラブでしたから。
……あの、少しくらい聖女様とのロマンスがあったのでは?」
小説と現実は違うらしいとわかっていても聞いてしまう。聖騎士エリック・ルグラン様と聖女ミシエラ様は、マルグリットたんとアレクシス・デュランに継ぐ推しカプだったんだもん!
それに現実のルグラン様は、小説とは違う魅力がある。聖女ミシエラ様の初恋相手とかになってそう、
だけど無情にもルグラン様は眉間に皺を寄せて否定した。
「ミシエラと?考えたこともない。向こうも同じだろう。あいつの初恋は育ての親である神官様だしな。
それに、現世の俺はまだ17歳だが前世ではアラフォーだ。14歳のミシエラにそんな気にはなれないよ。精神年齢が同世代か少し下なら別だったろうが、あいつは年相応だしな。はっきり言って生徒を見守っている気分だ」
ルグラン様の素っ気ない反応は残念だけど、同時にちょっとホッとした。
ん?なんでルグラン様と聖女ミシエラ様に恋愛感情が無いと知ってホッとしたんだろう?
ルグラン様の考え方が良識的だから?それだけじゃないような……。なんだか分かりそうで分からない。
まあ、分からないことを考えるのは後にしよう。
「ああ~。その感覚わかります。私も前世を思い出してから、お姉様への庇護欲が止まらなくて。姪っ子にしてたみたいに、頭を撫でたり褒めそうになっちゃうんですよね」
「わかる。お陰でミシエラからは『エリックって落ち着き過ぎててお爺ちゃんみたいですね』とか言われる」
「聖女ミシエラ様ってば割と辛辣!ギャップ萌え!」
ルグラン様は、産まれた時から前世の記憶があった。そのため、すぐに異世界転生したと気づいたらしい。
「ただ、原作のある世界かどうかは分からなかった。前世の俺は、あまりサブカルに詳しくなかったしな。生徒との話題作りで多少は知っていたが」
私が転生者であることは、土下座した事と『ざまぁ』という単語を使った事で気付いた。
さらに私の話した内容から『この世界の事を知っているのでは?』と気付いたという。
確かにルグラン様も『土下座』って単語をつかっていた。あの時点で気づけよ私……。
「しかし本当に嬉しいよ。君に会うまで、転生者を見つけることは出来なかった。最近では、前世は俺の妄想かもしれないと思いはじめたところだ」
それは、どれだけの不安と孤独だろう。私は胸が痛くなった。
「……お辛かったですね」
「ああ。だが、その辛さも君と会えて消えたよ」
幸せそうな笑み。なんだかドキドキしてしまう。
ルグラン様、まだ知り合って二週間も経ってないけど、見た目だけでなく中身も素敵な人。ドキドキするのは仕方ないよね?
「君と出会えたことは、俺の人生最大の幸運だ。だから君の力になりたい。君の悩みを取り除きたい。
どんな時でも君の味方でいると、今ここで誓う。どうか、俺の手を取って欲しい」
ルグラン様は、跪いた姿勢のまま私に手を差し出した。
わあ!なんだかプロポーズみたい!
嬉しくて、ちょっと照れ臭い。
「あはは!ちょっと大袈裟過ぎませんか?……私も貴方に会えて良かった。私も貴方の力になりたい。お互いに支え合いましょう」
私はルグラン様の手の上に、己の手を置いた。
その瞬間。
「「おめでとう!」」
「へ?」
声がした方を見ると、廊下に通じるドアが開いていた。そしてマルグリットお姉様、聖女ミシエラ様が満面の笑みで立っている。
は?なに?どういうこと?
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