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東京での一人暮らしは、何もかもが田舎育ちの香織にとって目新しく刺激的だった。
新たに東京で知り合った友人もできた。
その中の一人に、赤城愛美というT大法学部に所属する女子大生がいた。
「ねえ、香織。あんたサークルどうすんの」
「サークルか……」
「わたしさ、K大主催のフットサル同好会に入ろかなって思ってんの」
「フットサルッ!?」
「ミニサッカーのことだよ」
「ああ」
興味なさげに納得して頷く香織。
「ねえ、やってみない。私と一緒に。他の大学の男子と知り合うきっかけになるかも」
愛美は香織をK大主催のフットサル同好会に誘った。
「そうね。考えておく」
「香織さ、この間いっていたけど、あんた今付き合っている人とかいなんでしょ」
「まあ、そうだけど」
「だったらいいじゃない。上手くいけば彼氏候補になる男性見付かるかもしれないしさ」
「そうね」
香織は素気ない返事をした。
N市に残っている一斗のことが、まだ気になっていたのだ。
「誰か好き人いるの、香織」
愛美が訊ねる。
「うん、気になる奴はいるんだよね」
「誰。うちの学校の男性?」
「うぅん。高校の同級生、てか小学の時からずっと一緒だった」
「そうなんだ。それって幼馴染っていうんだよね」
「まあね、腐れ縁みたいなもん。でもさ、そいつヘタレで」
「ヘタレなのその男性」
「うん。卒業式のあと、わたしを校舎の裏に呼び出しといてさ、告白できずに逃げ出したんだ。わたし的には少し期待してたんだけど」
「ふん、そうなんだ」
香織の告白を聞き、愛美は何度か小さく頷いた。
「でさ、香織。やっぱ今でもその男性のこと気になってるんだ。好きなの、その男性」
愛美は遠慮なく香織の気持ちを訊ねる。
すると香織は暫く考え込んだ。
好きか嫌いか、と問われれば、恐らく好きなんだろう。香織はそのように自覚していた。
「好きなんだね、その男性のこと」
愛美は、確認の意味を込め、香織を問い詰める。
「まあ、どちらかというと……似た者同士なんだ、わたしたちは」
「似た者同士って」
「優柔不断なところ」
「わたしにはそんな風に見えないよ、香織は」
愛美は香織の発言を否定する。
「そんなことない。わたしは優柔不断で駄目な奴さ。だってさ、本当は東京の大学に進学するのを止めて欲しかったんだもんアイツに。それなのにアイツはさぁ、止めてくれなかったんだ。わたしは親のいいなりになってT大を受験した訳」
ついに香織は自分の本心を友人に打ち明けた。
「へえ、そうだったんだ。てっきり自分で日本最高学府を受験しようと決めたんだと思っていた」
愛美は驚いた表情を作った。
「本当は地元の大学の医学部受験してもよかったんだ」
香織は、T大理科三を受験したことを後悔していた。S県には県立の医大もあった。そっちを受験していれば、一斗と離れ離れになることもなかったと思っている。
さて、例のサークルに参加するかどうか迷った挙句、結局香織は愛美に強引に勧められて、K大生主催のフットサル同好会に加わることになった。
実に安易な気持ちだった。
数日後、関東周辺の大学に通う学生が、渋谷の居酒屋に集まり、K大生主催のサークルの歓迎会が開かれた。
勿論、香織も愛美に誘われ参加した。
宴会は、午後六時過ぎにはじまった。
普段は生真面目で清楚で大人しく気品溢れる香織だったが、親元を離れダガが外れ、飲めないアルコールを、飲まなくていいのに飲んでしまった。
そして、二次会に誘われ、否応なしに参加してしまった。
その二次会に参加したメンバーの中に、橋爪聖也という有名なヤリチン野郎がいたことがすべてのはじまりだった。
新たに東京で知り合った友人もできた。
その中の一人に、赤城愛美というT大法学部に所属する女子大生がいた。
「ねえ、香織。あんたサークルどうすんの」
「サークルか……」
「わたしさ、K大主催のフットサル同好会に入ろかなって思ってんの」
「フットサルッ!?」
「ミニサッカーのことだよ」
「ああ」
興味なさげに納得して頷く香織。
「ねえ、やってみない。私と一緒に。他の大学の男子と知り合うきっかけになるかも」
愛美は香織をK大主催のフットサル同好会に誘った。
「そうね。考えておく」
「香織さ、この間いっていたけど、あんた今付き合っている人とかいなんでしょ」
「まあ、そうだけど」
「だったらいいじゃない。上手くいけば彼氏候補になる男性見付かるかもしれないしさ」
「そうね」
香織は素気ない返事をした。
N市に残っている一斗のことが、まだ気になっていたのだ。
「誰か好き人いるの、香織」
愛美が訊ねる。
「うん、気になる奴はいるんだよね」
「誰。うちの学校の男性?」
「うぅん。高校の同級生、てか小学の時からずっと一緒だった」
「そうなんだ。それって幼馴染っていうんだよね」
「まあね、腐れ縁みたいなもん。でもさ、そいつヘタレで」
「ヘタレなのその男性」
「うん。卒業式のあと、わたしを校舎の裏に呼び出しといてさ、告白できずに逃げ出したんだ。わたし的には少し期待してたんだけど」
「ふん、そうなんだ」
香織の告白を聞き、愛美は何度か小さく頷いた。
「でさ、香織。やっぱ今でもその男性のこと気になってるんだ。好きなの、その男性」
愛美は遠慮なく香織の気持ちを訊ねる。
すると香織は暫く考え込んだ。
好きか嫌いか、と問われれば、恐らく好きなんだろう。香織はそのように自覚していた。
「好きなんだね、その男性のこと」
愛美は、確認の意味を込め、香織を問い詰める。
「まあ、どちらかというと……似た者同士なんだ、わたしたちは」
「似た者同士って」
「優柔不断なところ」
「わたしにはそんな風に見えないよ、香織は」
愛美は香織の発言を否定する。
「そんなことない。わたしは優柔不断で駄目な奴さ。だってさ、本当は東京の大学に進学するのを止めて欲しかったんだもんアイツに。それなのにアイツはさぁ、止めてくれなかったんだ。わたしは親のいいなりになってT大を受験した訳」
ついに香織は自分の本心を友人に打ち明けた。
「へえ、そうだったんだ。てっきり自分で日本最高学府を受験しようと決めたんだと思っていた」
愛美は驚いた表情を作った。
「本当は地元の大学の医学部受験してもよかったんだ」
香織は、T大理科三を受験したことを後悔していた。S県には県立の医大もあった。そっちを受験していれば、一斗と離れ離れになることもなかったと思っている。
さて、例のサークルに参加するかどうか迷った挙句、結局香織は愛美に強引に勧められて、K大生主催のフットサル同好会に加わることになった。
実に安易な気持ちだった。
数日後、関東周辺の大学に通う学生が、渋谷の居酒屋に集まり、K大生主催のサークルの歓迎会が開かれた。
勿論、香織も愛美に誘われ参加した。
宴会は、午後六時過ぎにはじまった。
普段は生真面目で清楚で大人しく気品溢れる香織だったが、親元を離れダガが外れ、飲めないアルコールを、飲まなくていいのに飲んでしまった。
そして、二次会に誘われ、否応なしに参加してしまった。
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