討滅の刃 -漆黒の復讐者- darker than "The BLUE"

マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫

文字の大きさ
47 / 83
第五章「プラスとマイナス」

第47話 ついていくのはちょっとないかなぁ

しおりを挟む
「今日は『アルマミース』に連れて行ってくれる、って話だったと記憶しているのですが」

 建物入り口前にてリムジンから降りると、マナカが再び同じセリフをつぶやいた。

 フェンスと壁に囲まれた広大な敷地に、現代的な白亜の建物が幾多も並ぶ姿を、不安げに見回している。

「さっき物々しいゲートを通って入る時にも、なんかライフル銃? をもった異国風の軍人さんがいたのですが。今日はクロちゃんもいないし……」

「ここは米軍と自衛隊とあともろもろの共同研究施設だからな。あとクロは私的都合により今日は家で留守番している」

「米軍……? 自衛隊……??」

 小首を傾げてはてなマークを浮かべるマナカ。
 どうやらサプライズは成功したようだ。
 
 さて、あまり不安にさせたままにしておくのは本意ではない。何度も言うが、今日はマナカに喜んでもらうために誘ったのだから。

 ちなみにクロは、
『ボクって空気読むタイプなんだよね。馬に蹴られて死んじゃいたくないし、ついていくのはちょっとないかなぁ』

 などと言って不参加だった。
 よく意味が分からない。
 
「さっき車の中でも言ったかと思うけど――」
 そう俺が切り出した、まさにちょうどそのタイミングだった。

「あらあらあらあらまぁまぁまぁまぁ!☆」
 静けさに包まれ、ある種の荘厳さすら感じさせる休日の近代施設群に、突如としてその静寂を台無しにして余りある大きな声が鳴り響いたのは――。

「今日は噂のガールフレンドを連れてくると聞いていましたが、どんな可愛い子と一緒なのかと楽しみにしてたら、素敵じゃないキュートじゃないお持ち帰りしたいじゃないですか☆ これはマジで想像以上の可愛さですね☆」

「博士、出迎えなんて珍しい――」
 そう言って声をかけた俺は、しかし華麗にスルーされる。

 代わりに横に立つマナカに猛烈アタックを開始した、可愛らしい私服の上に白衣を羽織った若い女性研究者。
 島村練子ねりこ――もといカーネリアン=アルマミース博士だった。

「ねぇねぇ、あなたお名前は☆ マナカちゃんですね☆ 年はおいくつですか?☆ へぇー16歳☆ いやー若いですね☆ 肌もすべすべです☆ おや、今日のコーデはうちの新作じゃないですか☆ こんな可愛い女の子に着てもらえるなんて光栄ですね☆ それにしてもほんと似合っていますね☆ ああ、そうです、モデルに興味があったりしませんか?☆ 最近専属モデルの子が一人、自分探しの旅に出ると言って辞めてしまって困っていたんですよ☆ あなたなら間違いなく最高のモデルになれます☆ おやおや失敬、そんな警戒しなくても大丈夫です☆ こう見えて私は社会的に地位のある人間です☆ そうですね、モデル引き受けてくれたらうちの新作は無料で全部プレゼントしちゃいましょう☆ というかむしろお金払うので着てください☆」

「アルマミース博士」

 物理的に二人の間に割り込んで視界を妨げつつ、俺はもう一度その名前を呼ぶと、とどまることを知らないマシンガントークをやんわりと制した。

 それでやっと我に返ってくれたテンションマックスの若き研究者。

「はっと、いけませんいけません☆ てへぺろです☆ リアル女神様降臨を目の当たりにして、つい我を忘れてしまいました☆」

「は、はぁ……」

 いきなりのハイテンションに若干引き気味だったマナカは、助けに入った俺にくっつくぐらいに身を寄せながら、服の裾をきゅっと軽く握りしめていた。

 まぁ初対面でここまでがつがつ来られたら、不安になる気持ちはよくわかる。
 俺も最初の頃は「この人、大丈夫なのか」と心底思ったものだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

処理中です...