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第3章
第55話 星奈先輩が魔会の仲間になった!
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「ああ、それと」
「なんだい?」
「話し方なんだけど、今まで通りで行こう。放課後に呼び出された後に、俺たちの関係性が急に変わるのは怪しいからな。なるべくルミナに疑われる要素は減らしたい」
「じゃあ2人きりの時以外は、今まで通りだね」
「いや、今後は2人きりの時も含めてずっとだ」
「それはさすがに警戒しすぎじゃないかい?」
「どこで聞かれているか分からないし、ルミナのいる前でもし俺がうっかり、先輩相手に魔王っぽく話したら、それだけで魔王である疑いが増してしまう。うっかりで死にたくはないからな」
「ロゼッタならまだしも、魔王さまがうっかりは考えにくいけど……なるほど、ヒューマンエラーを進んで誘発しにいく必要はないよね。さすがの用意周到さだね、黒野くん」
星奈先輩がルルセナモードから、星奈先輩モードへと口調が変わった。
それに合わせて、俺も先輩に対する後輩の口調へと戻す。
「なにせ命がかかっているので、俺も必死なんですよ。少なくとも高校生の間は、今のままでいきましょう。それに──」
「それに?」
「これはここだけの話にして欲しいんでけど。ルミナって可愛いじゃないですか。性格もいいし」
「そうだね。同性からみても、遊佐さんはこの学校でも一番ってくらいに可愛いと思うよ。それがどうしたんだい?」
「ルミナといると、俺の中の男子高校生が無意識に反応してしまうことがあるんですよ。なのでさっき星奈先輩が言ったヒューマンエラーも、あながちないとは言い切れないっていうか」
最近の俺は、ルミナの可愛さにドキッとしてしまうことが少なくなかった。
あれは全部、俺を油断させるための演技だって、頭では分かっているんだがな。
なにぶん、可愛い女の子に好意を抱くのは男子高校生の本能的な反応なので、こればっかりは仕方がなかった。
「……なんだ、両片思いなんじゃないかい。心配して損したよ」
「え、なんだって? 声が小さくて聞こえなかった」
「なんでもないよ。独り言さ」
言いながら星奈先輩が右手を差し出してきたので、俺はその手を握った。
魔王四天王だったころの面影がまったくないない、女の子らしい華奢で柔らかな手だった。
無意識に、俺の胸がトクンと跳ねる。
やれやれ、彼女いない歴=年齢の陰キャ高校生に、美人先輩とシェイクハンズは荷が重いっての。
「これからよろしくお願いしますよ、星奈先輩」
「こちらこそよろしくね、黒野くん」
こうして俺と星奈先輩――魔王と魔王四天王ルルセナは、互いの素性を明かした上で、他の誰にも内緒の2人だけの密約を交わしたのだった。
◇
翌日の放課後、部室には魔会のメンバーともう一人、星奈先輩がいた。
「やぁみんな、こんにちは」
「どうして今日も星奈先輩がいるんですかぁ? 生徒会監査は終わったんですよねぇ?」
「もしかして何か問題でもあったんでしょうか?」
ロゼッタとルミナの質問に、俺はすぐに答える。
「監査は問題なかったよ。昨日の監査の時に魔会に興味を持ってくれたらしくてさ。今日は体験入会って形で参加することになったんだ」
「わぁっ、それはすごいですぅ!」
「縁が繋がったんですね」
「生徒会活動があるからいつもは参加できないけど、合間を見て参加したいって言ってくれてるんだ。特にロゼッタの書いた小説が決め手だったみたいだぞ」
「まるでプロの作家が書いたような文章だったからね。あれで興味を持つなというのが無理な話じゃないかい?」
「えへへ~、それほどでもぉ~」
「上手に書くコツがあるならぜひ、聞いてみたいね」
「それ、私もぜひ聞いてみたいです。どうやったらあんなに上手に書けるんでしょうか?」
「コツはねぇ、簡単だよぉ。ビビってきたのを、そのままパパパって書く感じ!」
「あははは……、相変わらず個性的な表現だねぇ」
「お、大物作家感をものすごく感じます……!」
「えへへ~、それほどでもぉ~」
意味が分からないとは言わずに、ロゼッタを立てる優しいルミナ&星奈先輩と、まったくそれに気付かずに鼻高々のロゼッタだった。
とまぁ星奈先輩が入ったことで、さらに活動に深みを増していきそうな魔会だった。
このまま俺の高校生活は、ルミナの監視下にありながらもなんとか平穏無事に進んでいくだろう。
俺はそう思っていたのだが――。
「なんだい?」
「話し方なんだけど、今まで通りで行こう。放課後に呼び出された後に、俺たちの関係性が急に変わるのは怪しいからな。なるべくルミナに疑われる要素は減らしたい」
「じゃあ2人きりの時以外は、今まで通りだね」
「いや、今後は2人きりの時も含めてずっとだ」
「それはさすがに警戒しすぎじゃないかい?」
「どこで聞かれているか分からないし、ルミナのいる前でもし俺がうっかり、先輩相手に魔王っぽく話したら、それだけで魔王である疑いが増してしまう。うっかりで死にたくはないからな」
「ロゼッタならまだしも、魔王さまがうっかりは考えにくいけど……なるほど、ヒューマンエラーを進んで誘発しにいく必要はないよね。さすがの用意周到さだね、黒野くん」
星奈先輩がルルセナモードから、星奈先輩モードへと口調が変わった。
それに合わせて、俺も先輩に対する後輩の口調へと戻す。
「なにせ命がかかっているので、俺も必死なんですよ。少なくとも高校生の間は、今のままでいきましょう。それに──」
「それに?」
「これはここだけの話にして欲しいんでけど。ルミナって可愛いじゃないですか。性格もいいし」
「そうだね。同性からみても、遊佐さんはこの学校でも一番ってくらいに可愛いと思うよ。それがどうしたんだい?」
「ルミナといると、俺の中の男子高校生が無意識に反応してしまうことがあるんですよ。なのでさっき星奈先輩が言ったヒューマンエラーも、あながちないとは言い切れないっていうか」
最近の俺は、ルミナの可愛さにドキッとしてしまうことが少なくなかった。
あれは全部、俺を油断させるための演技だって、頭では分かっているんだがな。
なにぶん、可愛い女の子に好意を抱くのは男子高校生の本能的な反応なので、こればっかりは仕方がなかった。
「……なんだ、両片思いなんじゃないかい。心配して損したよ」
「え、なんだって? 声が小さくて聞こえなかった」
「なんでもないよ。独り言さ」
言いながら星奈先輩が右手を差し出してきたので、俺はその手を握った。
魔王四天王だったころの面影がまったくないない、女の子らしい華奢で柔らかな手だった。
無意識に、俺の胸がトクンと跳ねる。
やれやれ、彼女いない歴=年齢の陰キャ高校生に、美人先輩とシェイクハンズは荷が重いっての。
「これからよろしくお願いしますよ、星奈先輩」
「こちらこそよろしくね、黒野くん」
こうして俺と星奈先輩――魔王と魔王四天王ルルセナは、互いの素性を明かした上で、他の誰にも内緒の2人だけの密約を交わしたのだった。
◇
翌日の放課後、部室には魔会のメンバーともう一人、星奈先輩がいた。
「やぁみんな、こんにちは」
「どうして今日も星奈先輩がいるんですかぁ? 生徒会監査は終わったんですよねぇ?」
「もしかして何か問題でもあったんでしょうか?」
ロゼッタとルミナの質問に、俺はすぐに答える。
「監査は問題なかったよ。昨日の監査の時に魔会に興味を持ってくれたらしくてさ。今日は体験入会って形で参加することになったんだ」
「わぁっ、それはすごいですぅ!」
「縁が繋がったんですね」
「生徒会活動があるからいつもは参加できないけど、合間を見て参加したいって言ってくれてるんだ。特にロゼッタの書いた小説が決め手だったみたいだぞ」
「まるでプロの作家が書いたような文章だったからね。あれで興味を持つなというのが無理な話じゃないかい?」
「えへへ~、それほどでもぉ~」
「上手に書くコツがあるならぜひ、聞いてみたいね」
「それ、私もぜひ聞いてみたいです。どうやったらあんなに上手に書けるんでしょうか?」
「コツはねぇ、簡単だよぉ。ビビってきたのを、そのままパパパって書く感じ!」
「あははは……、相変わらず個性的な表現だねぇ」
「お、大物作家感をものすごく感じます……!」
「えへへ~、それほどでもぉ~」
意味が分からないとは言わずに、ロゼッタを立てる優しいルミナ&星奈先輩と、まったくそれに気付かずに鼻高々のロゼッタだった。
とまぁ星奈先輩が入ったことで、さらに活動に深みを増していきそうな魔会だった。
このまま俺の高校生活は、ルミナの監視下にありながらもなんとか平穏無事に進んでいくだろう。
俺はそう思っていたのだが――。
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