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第2章

第16話 デート

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「そろそろ屋台ストリートにつくけど、アイセルは何か食べたいものはあるか?」

「そうですね、甘いものが食べたいですかね?」

「ならクレープとかどうだ? トッピングが豊富な人気の店があるんだよ――今もあるはず、多分」

 少なくとも3年前はあったんだ。

「それはぜひ行ってみたいです」

 そういうわけで俺たちは2人でクレープの屋台の列に並ぶことにした。

「ふぅ……やれやれ、前と同じ場所にあって良かったよ」

「けっこう並んでますね。10分くらい待つ感じでしょうか」

 クレープ屋は3年前にアンジュと一緒に来たときよりも、さらに繁盛しているみたいだった。

「ここはほんと美味しくて有名なんだよ。ちょっとおしゃれなカフェでスイーツを買うより、よっぽど満足できるはずだぞ」

「それは楽しみです♪」

 2人で順番を待って並んでいる間に看板のメニューを眺める。

「チョコバナナとベリーミルフィーユが最終候補ですね……どっちにしましょうか……うーん……どっちも捨てがたいです……うーん……」

 すぐにアイセルがうんうんと唸りはじめた。

「なら両方頼めばいいんじゃないか?」

「さすがにそれは色々と心配が……た、体重とか……」

 体重? ぜんぜん大丈夫だろ?
 という安易な言葉を俺はかろうじて飲みこんだ。

 仮に少々体重が増えてもアイセルはスタイルがいいし冒険者として身体も動かしてるから問題なさそうなのは間違いない。

 でもアイセルはビキニアーマーを装備してるから、わずかなプロポーションの乱れとかが特に気になるのかもしれないし。

 なによりアイセルが気にしているって言ってるのを、俺が良くもわからないままに頭ごなしに否定するのは良くないと思うんだよな。

「そうだな……なら俺とアイセルで1個ずつ頼んで半分こするか? 俺は別にこれってのはないし」

 だから俺は代わりにそんな提案をしてみた。

「いいんですか?」

「全然かまわないぞ。じゃあチョコバナナとベリーミルフィーユな。あ、でも割り勘な? 今日は結構使ったから……」

 一応、俺の目的はヒキコモリ継続に必要なお金を手に入れることだったので、ほいほいと使ってばかりはいられないのだった。

 まぁそうは言っても。
 今の俺はヒキコモリから足を洗ってアイセルの面倒を見るのも悪くないかなとは、思い出してはいるんだけれど。

 なんていうかさ。

 夢と希望にあふれたアイセルを見ていると、昔の自分を見ているみたいで応援してあげたくなるんだよな。

 元々なりたくて冒険者になったわけだし、パーティを組んで仲間とあれこれやるのは性に合ってるわけで。

「ありがとうございますケースケ様。今日のことは一生忘れませんので」

「ははっ、これくらいで大げさだってば」

 俺たちは出来立てのクレープを持って、イートイン・スペースに向かった。

 屋台に座る場所なんてものはないので、この立ち食い用の共通のスペースで食べるのだ。

 ここでは座って食べろなんてルールは存在しない。
 むしろ立ち食いこれこそが、ここでのマナーであるからして。

「ほい」

 自分のクレープを半分食べた後、俺はアイセルのクレープと交換しようとしたんだけど、

「ケースケ様、あーんです♪」

 アイセルはなにを思ったのか、手に持っていたクレープを俺の口元に差し出してきたのだ。

「? 別にそんなことしなくても、俺のとアイセルのを交換すればいいだろ?」

「え? あの、まぁそうなんですけど……そうではないと言いますか……えっと、あーんは嫌ですか……?」

 悲しそうな目で上目遣いをしながら見てくるアイセル。

 うぐっ……。

 アイセルのいたいけな瞳で見つめられると、なんだか無性に悪いことをしたみたいな気がしてしまうのは、なんでなんだろうか……。

「あ、あーん……」

 観念した俺が口を開けると、アイセルの顔がパァッと輝いた。

「はい、あーんです♪」

 結局、俺たちはお互いにあーんして食べさせ合いっこをした。

 ぶっちゃけメチャクチャ恥ずかしかったんだけど、

「えへへへ……」

 アイセルがすごく嬉しそうだったのでまぁ良しとしよう。
 俺も楽しくなかったと言えば嘘になるしな。

 その後。
 帰りの馬車の時間になるまで、俺とアイセルはミストラルの街でデートを楽しんだ。
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