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第二部 「極光の殲滅姫」 第5章

第74話 プリプリサクラ

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 アイセルとサクラに受け渡しと報告をお願いして、その間に俺は外にある洗い場でしっかりと臭いを落としていく。

 まぁ今回は熟成発酵させる前の普通の糞を掴んで持って帰るだけだったから、クサヤ・スカンク玉を直接浴びたキングウルフ討伐クエストの時と比べたら全然大したことはない。

 俺はそうは時間をかけずにさっぱり身綺麗になると、アイセル&サクラと合流して近場の食事処へと向かった。
 これからSランクパーティ初クエスト完了のお祝い食事会を行うのだ。

 その席で、

「なんで私たちがうんこ回収して回らないといけないのよ。誰でもできるでしょ、こんなの」

 サクラはまだプリプリしていた。

「クサヤ・スカンクは絶滅の恐れのある希少種だからだよ。今じゃ生息地がごくごく限られてて、Sランクパーティみたいな特別な地位にないと知ることができないんだ。密漁されたら困るからな」

「だから単に糞を集めるだけなのに、Sランクパーティが駆り出されるんですね」

 俺の説明にアイセルが納得って顔をした。

「そういうこと。ちなみにあの場所は国有地で厳しく立ち入り制限がされてるから、普段は入れないんだぞ?」

「全然ちっとも入りたくもないし! ただの臭いだけの森だったじゃない」

 だけどサクラは納得の欠片も見せてはくれない。

「まぁクサヤ・スカンクが生息している以外は、ぶっちゃけただの森だな」

「でしょう? だいたいね! こんなうんこ拾うだけの誰でもできるクエストが未解決だった理由って、どう考えても他のSランクパーティがこのクエストを受けるのを嫌がっただけじゃない」

「そりゃお前、Sランクパーティになってまでうんこ拾いクエストをやりたいかって問われたら、普通はやりたくないだろ」

「だったら私たちも受けなきゃよかったじゃない」

 サクラはうんこ拾いクエストをさせられたことが、どうしても納得いかないみたいだった。
 そんなプリプリしなくたって、ちゃんと俺が1人で拾っただろう?

 もしかしてパーティ『アルケイン』が馬鹿にされたって思ってるのかな?
 サクラってば俺にはいつもウザ絡みしてくるけど大事なところでは空気を読んでくれるし、身内を大切にするっぽい性格だからな。

「俺たちは他のパーティがやれないことをやってのけたんだぞ? すごくないか?」

「どこがよ! うんこ拾っただけじゃない!」

 やれやれまったく。
 サクラは考え方が結構大人びてると思ってたけど、うんこ拾いを嫌がるなんてやっぱりまだまだ根っこは子供なんだなぁ。

 俺くらいになると途中からは「ああこれが今まで俺の命を救ってくれたんだな、ありがとう」って感謝の気持ちが芽生えてきたくらいなのに。

「まぁまぁサクラ。ケースケ様の獅子奮迅の活躍のおかげでわたしたちは楽をできたんですから、たまにはこういうのもいいじゃないですか」

「獅子奮迅の活躍って、ケイスケはただうんこ拾っただけじゃない。獅子フン迅じゃない。ま、アイセルさんがそういうならいいんだけどね」

「またお前はアイセルが言えば素直にコロっと納得するのかよ? いやもう慣れたけどさ」

「じゃあ話も一段落したことで、早速祝勝会をやりましょう! アタシもうお腹ペコペコなの。ちょうど注文した料理も運ばれてきたみたいだし!」

「ですね! ではケースケ様、一言スピーチなどどうぞ」

「え? そんなのいる?」

「もちろんですよ! こういうのは言ってみれば儀式ですから。ケースケ様のありがたいお言葉を頂戴して初めて、今回の初クエストは完了となるんです」

「そうか……じゃあ簡単に一言だけな。こほん。Sランクになって初の指名クエストも無事にクリアできました。ここまで来られたのもひとえにパーティメンバーのおかげです。次のクエストからは本格的で高難度のクエストになると思うので、よりいっそう気を引き締めてSランクパーティの名に恥じぬよう各々おのおのが――」

「長いってば! どこが簡単に一言なのよ! はい、とっととグラス持って。じゃあお疲れ様、かんぱーい!」

 俺のスピーチをサクッと遮ったサクラは、勝手に乾杯の音頭を取ると、パクパクと料理を食べ始めた。

「いやいいんだけどね、お腹空いてるって言ってたもんね」

 でもどうして人は年をとると、ついつい長々とスピーチをしてしまうんだろう?

 とまぁこんな感じで、最後はちょっと締まらなかったけど。
 Sランクパーティ『アルケイン』の初めての特別指名クエストは、無事に完了したのだった。

 もちろんこのクエストでレベルが上がったりはしなかった。
 うんこ拾っただけだからね……。
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