87 / 214
第二部 「極光の殲滅姫」 第5章

第85話 シャーリー=シェフィールド(中)

しおりを挟む
「アイセル、サクラ。この人はシャーリー=シェフィールド。冒険者ギルド本部のギルドマスターの一人娘で、俺が勇者パーティにいた頃に仲の良かったメンバーだ」

「シャーリー=シェフィールドです、よろしくね」

 俺が簡単に紹介すると、シャーリーは極上のスマイルを浮かべながらスカートのすそをつまみ、背すじを伸ばしたまま膝を軽く落とす、上流階級の女子が行う優雅なお辞儀をした。
 たしかカーテシーって言うんだったかな。

 そして絶世の美女のシャーリーがやると、神話に出てくる女神も裸足で逃げ出すほどに、似合いすぎってくらいによく似合っていた。

「ちなみに職業は世界で唯一の『魔法使い』で、シャーリーの『魔法』はめちゃくちゃスゴいんだぞ?」

「もう、ケースケはすぐにそうやってハードルを上げるんだから」

「こんなもん上げたうちに入らないってーの」

「ま、ケースケに褒められて悪い気はしないわね」

 俺に褒められたことがそんなに嬉しかったのか、声を弾ませながらキラッとウインクを飛ばしてきたシャーリーに、

「やっぱりシャーリー=シェフィールドさん! 失われた『魔法』を復活させた、勇者パーティの誇る『極光の殲滅姫せんめつき』です! あの、初めまして、アイセル=バーガーと申します! ケースケ様にはパーティに誘っていただいて以来、大変お世話になっております!」

 アイセルもこれまたとても嬉しそうに自己紹介すると、勢いよくガバッと頭を下げた。

 俺と初めて会った時からアイセルは勇者パーティについて結構詳しかったし、憧れていたとも言っていたから、シャーリーについてもそれなりに知っているんだろう。

 シャーリーは美人だし『魔法使い』なんていう世界で唯一の職業だったから、勇者パーティの中でも勇者とタメ張るくらいに有名だったからな。

 え、俺?
 目立った活躍が一つもなかったから、ほとんど名前も知られてなかったよ?
 なにせ戦闘中は基本、隠れて見ているだけだったし。

 そもそも一般人の認識として、俺って勇者パーティの正規メンバーだと思われてたのかな?
 いつも一緒にいる6人目、幻のシックスマン的な?
 下手したら雑用係かなにかだと思われていた可能性まであった。

 まぁそれはそれとして。

「初めましてアイセル。最近の活躍ぶりは聞いてるわよ? 現在大絶賛売り出し中のSランクパーティ『アルケイン』のフロントアタッカーに会えて、アタシも嬉しいわ」

「本当ですか! ありがとうございますシャーリーさん!」

「シャーリーでいいわよ、堅苦しいのは好きじゃないから。それにSランクパーティの絶対エースに『さん付け』されるとか、アタシ何様って感じじゃない?」

「いえいえ、そこはやはり偉大な大先輩ですのでシャーリーさんとお呼びします」

「そう? まぁそれならそれでいいんだけど」

「はい!」

 アイセルとシャーリーはすぐに打ち解けたようだった。
 うんうん、仲良きことはいいことかな。

 全然違うタイプに見えるけど、意外とこの2人って波長が合うのかな?
 好きなものとかも一緒だったりして、ははっ。

 そしてアイセルの自己紹介が終わって、次にサクラが挨拶したんだけど――、

「サクラメント=ヴァリエールです。職業はバーサーカーです。シャーリー様、ご壮健でなによりです」

 サクラのしゃべり方がすごく変だった。
 すごくすごく変だった。

「えっとヴァリエール家の娘さんだよね? 何度か社交界で話したことがあったわよね。冒険者になりたいって言ってたと思うけど夢を叶えたのね、おめでとう」

「覚えてていただけて光栄ですわ」

「もちろん覚えてるわよ、アタシみたいになりたいって目をキラキラさせて言ってくれてたもんね」

「あ、ありがとうございます!」

 な?
 変過ぎるだろ?
 なんかもう、お前誰だよって感じでさ。

 こんなもんもし小説で文字だけで見たら、サクラのセリフだってことが読者に伝わらなくなっちゃうぞ?
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

皇弟が冷淡って本当ですか⁉ どうやらわたしにだけ激甘のようです

流空サキ
恋愛
高校生の未令は、十年前に失踪した父の手がかりを求め、異世界である平安国へと足を踏み入れる。そこは、木火土金水を操る術者が帝を守る国だった。平安国へ着いて早々、なぜか未令は帝の弟、焔将に気に入られ、側妃にされる。はじめは嫌がっていた未令だが、陰の帝とまで言われる冷徹な人物として知られる焔将が未令にだけは優しい。帝に幽閉されている父と祖父を助けるため、未令は焔将の力を借りて奮闘するが―――。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...