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第8章

第140話 vsドリアード(下)

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 そしてレインボー作戦を行いながら、俺はじっと周囲を観察していた。

 ドリアードは俺たちの会話を聞けて、戦場を見ることができる場所――つまりすぐ近くにいるはずなんだ。
 相手から見えるってことは、つまりこっちからも見える位置のはずだから。

 なのでみんなが必死に戦ってくれている間に、俺は俺で潜んでいるドリアードを見つけられないかと考えてたわけだ。

 俺は目を皿のようにして周囲を観察する。
 しかし周囲は木々に覆われているので潜む場所は多く、簡単には見つけられない。
 アイセルみたいに1キロ先まではっきり見えるような視力も持ちあわせてはいないわけだし。

 だから俺は観察を続けながら、なにか手掛かりはなかったかと頭もフル回転させていた。

「なにか、なにかなかったか? なんでもいい、気になること、気になること、なにか……」

 森の中に入ってから。
 この開けた場所での戦闘。
 一連のあれこれを思い出している中で、ふと気づいたことがあった。

「そう言えばこの開けた場所で戦いが始まってから、向かって左側の奥のあたりだけ、一度も戦いの場になってないんだよな」

 ただの偶然か?
 もちろんそうかもしれない。
 たまたま偶然、そこは戦いの場にならなかった。

 全然ありえなくはないことだ。
 だけど唯一といっていい手がかりがあるのなら、それを根拠として左奥周辺にいる可能性に賭けるのは決して間違ったことじゃない――!

 どのみち視力がいいわけでもなく、直感力があるわけでもなく、索敵能力も一般人並みの俺じゃ、見つけられたらラッキー程度なんだ。
 戦闘中は後ろで見てるだけな気楽なバッファーに、気負う理由はないわけで。

「そうと決まれば話は早い」

 俺はそこにいなければごめんなさいという割り切った気持ちで、向かって左側の奥辺りを特に重点的に観察することにした。

 視線を左右に、上下に、斜めに、時にはぐるりと回転させて観察する。
 なかなか見つからなくても構わず、首を傾けたり背伸びをしてみたり、少ししゃがんでみたり。
 色んな見方で目星をつけたあたりをあれこれと観察し続ける。

 すると――いた!

 俺はこれといって特徴のない木の上、枝のの茂みに緑の髪の乙女の姿が隠れ潜んでいるのを発見したのだ!

 緑の髪をした小柄な乙女の姿。
 間違いない、魔獣辞典で見た絵とそっくりだ。
 あれが声真似をしている森の精霊ドリアードだ!

 もちろん見つかったと知れば、ドリアードはすぐに逃げるか位置を変えるだろう。
 俺と同じで直接戦闘能力が皆無のドリアードは、これまた俺と同じく逃げ足だけは速いに違いない。

 だから不意打ちの一撃、初撃で仕留めたい。
 となれば向いているのは遠距離攻撃できるシャーリーだな。

 俺はシャーリーとドリアードの位置取りをしっかりと確認すると、指示を出した。

「『ふんわり甘い卵焼き』! シャーリー! 9時の方向、仰角40度に最速で狙撃を頼む!」

「っ、オッケー任せて! 世界を形造りし神なる元素よ、遠きを穿うがつ一矢となりて我が手に現れん! 掴むは極光の大弓! 狙撃魔法、ライトニング・ボウ!」

 シャーリーの左手に光の弓が現れ、右手にはこれまた光り輝く一本の矢が顕現する。
 シャーリーは極光に輝く弓を引き絞ると、俺の指示通りの方角と高さに狙いを定め、光り輝く極光の矢を射放った――!

「よし、いいとこ行った!」

 解き放たれた光の矢は一直線に進み、ドリアードのいる木の上あたりを見事に吹き飛ばした。

 直撃はしていない。
 しかしドリアードは遠距離攻撃は全くの想定外だったのだろう、木の上から派手に落下していた。

「あうう……」

 うめき声をあげながら腰をさするドリアードを、俺とシャーリーは取り囲んだ。

「うーん、やっぱりライトニング・ボウは派手な見た目の割に、威力が低いのよね。精度もイマイチだし。極光殲滅魔法以外は基本的に器用貧乏だからアタシ」

「ドリアードを狙撃で撃ち落としたんだぞ? 充分だろ?」

「ケースケにそう言ってもらえるなら、うん、良かった」

 それとほぼ同時に。

「こちらも終わりました!」
「今のなになに!? すごかった! 超ヤバイ!」

 アイセルとサクラが、ウッドゴーレムの最後の一体を行動不能にすると、俺たちの元にやってきた。

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