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第11章

第204話 ケースケvsシャーリーのお父さん

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 冒険者ギルド本部に到着すると、すぐにギルドマスターであるシャーリーのお父さんの執務室に通される。

「久しぶりだなケースケ=ホンダム」

 部屋に入るや否や、俺はシャーリーのお父さんから刺々しい視線を投げかけられた。
 前回同様、その脇には秘書の人(実はシャーリーのお父さんの第二夫人)も控えている。

「ご無沙汰しておりますギルドマスター。お忙しい中、本日はこのような機会を設けていただき、誠にありがとうございました。パーティ『アルケイン』を代表して感謝の言葉を述べさせていただきます」

 俺は丁寧にあいさつをしたものの、返って来たのはつれない返事だった。

「くだらん前置きはいい。ワシも忙しいのでな、早速本題に入らせてもらう」
「分かりました」

「報告書は確認させてもらった。冒険の神ミトラと戦って倒したとあるが、認識票に討伐記録が記載されていないというのは事実かね?」
「おおむね事実です」

 前にキング・オー・ランタンの新種認定をした時にシャーリーがやったように、特殊な道具で認識票に記録されたデータを見ることができるのだが。
 残念ながら冒険の神ミトラは、討伐記録には記載されていなかった。

「なるほど」
「報告書にも記載していたと思いますが、正確には討伐ではなく封印しただけなので、認識票に討伐記録がないのは仕方ないことかと思います」

 そもそも神様という高位の存在が、魔獣の討伐記録と同じように記載されるのかどうか、そこからして怪しいだろう。
 なにせ相手は神様なんだから。

「ふん。一応、筋は通っているか」
「一応、ですか」

「ちなみにバッファーが神を始めとする上位存在と戦うための『選ばれし職業』だと判明したとも書いてあったが?」
「はい。冒険の神ミトラによると、どうやらそういうことのようです」

「報告書を書いたのがバッファーの君でなければ、それもまだ信じることができたのだがねぇ。バッファーである君が『選ばれし職業』であるなどと言えば、自分を良く見せるためのなにかしらの意図があると、つい勘ぐらざるをえなくてね」

「お言葉ですが、そんなつもりは全くありません。全て事実です」

「ふぅん、そうかね。しかもそれをよりにもよって冒険の神ミトラ本人が言ったと言われても、なぁ?」

 シャーリーのお父さんが半ば失笑といった感じで、呆れたような笑みを浮かべた。

「何度でも申し上げますが、俺がバッファーかどうかは関係なく、報告書には今回のクエストの結果、知り得た事実を書いてあります」

 しかし俺はその態度にひるむことなく、自信をもって答えた。

「そうか。まぁいい。次に、誰一人としてレベルが上がっていないようだが?」

「今回のクエストで戦ったのはミトラ神だけで、討伐ではなく封印したため、経験値はまったく稼げませんでした。当然ご存じかと思いますが、経験値は討伐によってのみ、発生するからです」

「なるほどな。ではなにかしらの、ミトラ神の存在を証明するような物証はないのかね?」

「それでしたらアイセルの神剣『リヴァイアス』があります。アイセル、『リヴァイアス』の刀身を見せてやってくれ」

 俺の左脇に控えていたアイセルが、一歩前に出ると神剣『リヴァイアス』を鞘から抜いた。

「スキル『武器強化』発動」
 アイセルのスキルを受けて、神剣『リヴァイアス』が薄っすらと白銀に輝く。

「ほぅ……!」
「どうでしょうか? このなんとも不思議な輝きは、冒険の神ミトラが発した光と極めて酷似しています」

「――で、これが何か? 剣が光っているだけでは? 魔法戦士が習得する上位スキル『オーラブレード』でも、スキルの効果で剣は光るだろう?」

「明らかに『オーラブレード』の光り方とは違うはずです。かつて伝説の『パワーファイター』として名を馳せた高名な冒険者であるあなたなら、その違いは見れば分かるのではないかと思いますが」

 しかしシャーリーのお父さんはそこで、ほんの一瞬、ニヤっと口元だけに笑みを浮かべてから、言った。

「いやー、残念ながらパワーファイターは、己の身体強化スキルにのみ特化した職業。それ以外の細かなスキルに頼らぬワシには、そこまでの違いは分からんなぁ」

「……なっ!?」

 その返しに、思わず言葉に詰まってしまった俺に代わって、

「ちょっとお父さん! 本当は分かってるんでしょ! さっきから聞いてたらイチイチ難癖ばっかり付けてきて、往生際が悪いわよ。さっさとクエスト完了を認めてよね!」

 ここまで黙って聞いていたシャーリーが、もう我慢がならないとばかりに吠えたてる。
 シャーリーは俺の右隣に立つと、憤懣ふんまんやるかたなしといった表情で、お父さんをキッと強く睨みつけた。
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