一年付き合ってた彼女が医大生とラブホから出てきた(NTR……涙)帰り道、川で幼女が溺れていたので助けて家まで送ったら学園のアイドルの家だった
マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫
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第9章 蒼太、決意の時
第163話 告白(3)
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「なんだ~、あれって優香が出したのか~」
「なんだ~って、なんか微妙な感想だね……」
優香がションボリした声になる。
おっとと。
ホッとしたせいで、悪い意味で勘違いされそうな言葉を言ってしまった。
完全な失言だ。
「ごめん、今のはそういう意味じゃなくてさ。差出人の名前がなかったからてっきり違う女の子が出したもんだとばかり思ってて。そっかあれ、優香が出したラブレターだったのか」
「えっ? 私、名前書いてなかったの?」
「書いてなかったな。だから誰がくれたのかなって、ずっと気になっていたんだ」
言いながら、俺はポケットからピンク色のラブレターを取り出して、優香に見せてあげる。
「うそ、本当に書いてないし……」
最初は半信半疑だった優香が、しかしどこにも名前がないことを確認して、ただでさえ赤かった顔をさらにキュウっと赤くした。
「でもそっか、これ優香からだったんだな。俺もう、告白がダブルブッキングしたと思って、午後はずっと気が気じゃなかったんだ。授業なんて全然頭に入って来なくてさ」
そして優香の説明のおかげで、俺はいろいろと悩んでいたことが全部、まるっとするっと綺麗に腑に落ちていた。
優香以外とは特に親しい女の子もいない俺が、なんでラブレターを貰ったんだとか、よりにもよって優香とすごくいい感じの時に限って、とか。
そういうことに色々と納得がいった。
俺が優香に告白するんだって意識が強すぎて、優香からラブレターをもらう可能性を無意識に排除していたっぽい。
「気が気じゃなかったって言うなら、私もかな?」
「……その言い方と、さっきまでの妙に噛み合わなかった会話。もしかしなくても、俺も名前を書き忘れていたりする?」
「うん」
俺の言葉に、優香が小さく苦笑した。
「……マジで?」
そんなバカな。
少しでも告白の確率が上がるように、納得がいくまで何度も文面を書き直して、それはもうしっかりとチェックしたはず。
……いや待て。
そういえば自分の名前をラブレター本文に書くか、それを入れる封筒に書くかで、悩んだ記憶があるな。
そうそう。
悩んで悩んで悩み抜いている最中にお風呂の時間になって、そこでいったん中断して、その後どうなったっけ?
どうなったっけ――(滝汗
おおう、名前を書いた記憶がない。
ってことは?
マジでそのままどちらにも名前を書かずに、出しちゃったのかよ!?
さすがに間抜けすぎるぞ俺!
「見てみる?」
「今後の長い人生のためにも一応、確認しておきたい」
「じゃあはい。この先の人生は長いもんね」
クスリと笑った優香にラブレターを手渡された俺は、じっくりと検分した。
しかしどれだけ目を凝らして念入りに見ても、俺が出したラブレターには封筒にもレター本文にも、どこにも差出人の名前が書かれてはいなかった。
「ってことは……つまり?」
「私たち2人とも、名前を書き忘れてラブレターを出しちゃったってことかな?」
この騒動の顛末は、どうやらそういうことらしかった。
偶然にもお互いに同じタイミングで行動に移し、そして鏡合わせのように名前を書き忘れるという致命的ミスを犯してしまったのだ。
「ぷっ――」
「ははっ」
一世一代の大勝負で信じられないポカをやらかしてしまった優香と俺は、どちらからともなく笑い出してしまった。
こんなのもう、いい雰囲気とかそういうのを通り越して、笑うしかないだろ?
「2人とも名前を書き忘れるなんて、信じられないよね」
「事実は小説よりも奇なり、ってやつだな」
そして小説なら、ジャンルはラブコメじゃなくてギャグコメになるのかもしれない。
2人でひとしきり笑った後。
「でもでも、ラブレターをくれたってことはだよ?」
「ん?」
「蒼太くんはつまり私のことを──好きってことなんだよね?」
優香がズバリ、核心に踏み込んできた。
「なんだ~って、なんか微妙な感想だね……」
優香がションボリした声になる。
おっとと。
ホッとしたせいで、悪い意味で勘違いされそうな言葉を言ってしまった。
完全な失言だ。
「ごめん、今のはそういう意味じゃなくてさ。差出人の名前がなかったからてっきり違う女の子が出したもんだとばかり思ってて。そっかあれ、優香が出したラブレターだったのか」
「えっ? 私、名前書いてなかったの?」
「書いてなかったな。だから誰がくれたのかなって、ずっと気になっていたんだ」
言いながら、俺はポケットからピンク色のラブレターを取り出して、優香に見せてあげる。
「うそ、本当に書いてないし……」
最初は半信半疑だった優香が、しかしどこにも名前がないことを確認して、ただでさえ赤かった顔をさらにキュウっと赤くした。
「でもそっか、これ優香からだったんだな。俺もう、告白がダブルブッキングしたと思って、午後はずっと気が気じゃなかったんだ。授業なんて全然頭に入って来なくてさ」
そして優香の説明のおかげで、俺はいろいろと悩んでいたことが全部、まるっとするっと綺麗に腑に落ちていた。
優香以外とは特に親しい女の子もいない俺が、なんでラブレターを貰ったんだとか、よりにもよって優香とすごくいい感じの時に限って、とか。
そういうことに色々と納得がいった。
俺が優香に告白するんだって意識が強すぎて、優香からラブレターをもらう可能性を無意識に排除していたっぽい。
「気が気じゃなかったって言うなら、私もかな?」
「……その言い方と、さっきまでの妙に噛み合わなかった会話。もしかしなくても、俺も名前を書き忘れていたりする?」
「うん」
俺の言葉に、優香が小さく苦笑した。
「……マジで?」
そんなバカな。
少しでも告白の確率が上がるように、納得がいくまで何度も文面を書き直して、それはもうしっかりとチェックしたはず。
……いや待て。
そういえば自分の名前をラブレター本文に書くか、それを入れる封筒に書くかで、悩んだ記憶があるな。
そうそう。
悩んで悩んで悩み抜いている最中にお風呂の時間になって、そこでいったん中断して、その後どうなったっけ?
どうなったっけ――(滝汗
おおう、名前を書いた記憶がない。
ってことは?
マジでそのままどちらにも名前を書かずに、出しちゃったのかよ!?
さすがに間抜けすぎるぞ俺!
「見てみる?」
「今後の長い人生のためにも一応、確認しておきたい」
「じゃあはい。この先の人生は長いもんね」
クスリと笑った優香にラブレターを手渡された俺は、じっくりと検分した。
しかしどれだけ目を凝らして念入りに見ても、俺が出したラブレターには封筒にもレター本文にも、どこにも差出人の名前が書かれてはいなかった。
「ってことは……つまり?」
「私たち2人とも、名前を書き忘れてラブレターを出しちゃったってことかな?」
この騒動の顛末は、どうやらそういうことらしかった。
偶然にもお互いに同じタイミングで行動に移し、そして鏡合わせのように名前を書き忘れるという致命的ミスを犯してしまったのだ。
「ぷっ――」
「ははっ」
一世一代の大勝負で信じられないポカをやらかしてしまった優香と俺は、どちらからともなく笑い出してしまった。
こんなのもう、いい雰囲気とかそういうのを通り越して、笑うしかないだろ?
「2人とも名前を書き忘れるなんて、信じられないよね」
「事実は小説よりも奇なり、ってやつだな」
そして小説なら、ジャンルはラブコメじゃなくてギャグコメになるのかもしれない。
2人でひとしきり笑った後。
「でもでも、ラブレターをくれたってことはだよ?」
「ん?」
「蒼太くんはつまり私のことを──好きってことなんだよね?」
優香がズバリ、核心に踏み込んできた。
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