神龍の巫女 ~聖女としてがんばってた私が突然、追放されました~ 嫌がらせでリストラ → でも隣国でステキな王子様と出会ったんだ

マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫

文字の大きさ
22 / 64

第22話 パレード

しおりを挟む
 水龍さまの神通力の暴走を見事に止めたわたし達は、ミッションを終えて下山した。

 その王宮への帰り道で――、

「『水龍の巫女』クレア様だ!」

「『虹の聖女』様だ!」

「ありがとう! 『太陽の巫女』クレア!」

「『救国の聖女』クレア様!」

「なんて素敵なお方なのかしら!」

「隣にはライオネル様も一緒よ!」

「とてもお似合いの2人ね!」

「クレア様バンザーイ!」

「クレア! クレア! クレア! クレア!」

 澄み渡る青空と、明るい太陽の日差しに照らされたブリスタニア王国の首都ブリストは、お祭り騒ぎになっていた。

 わたしとライオネルを乗せた、荷台が高くて周りから見えやすいようになったパレード用の屋根なし馬車が、ゆっくりと大通りを進んでいく。

「あの、これはいったい……?」

 わたしは、ぎっしりと大通りを埋め尽くした人々に手を振り返しながら、隣にいるライオネルに小さな声で質問した。
 すると、

「疲れているところすまない。でももう少しだけ、がんばってくれないかな?」

 ライオネルが、笑顔で人々に手を振りながら、そんなことを言ってきた。

「手を振るのはいいんですけど……そもそもいったいなんなんでしょうか、このお祭り騒ぎは……?」

 わたしは困惑しきりだった。

「昨日の夜、言っただろう? ブリスタニア王国はクレアのことを正当に評価するって」

「あ、はい。言われました」

「だから君の功績を広めるための準備を、こうやってしておいたのさ」

「ライオネルの気持ちは、とても嬉しいんですけど――」

 でもでも!?
 これはさすがにやりすぎじゃない!?

「『救国の聖女』クレア様に敬礼っ!」

 軍人たちの前を通ると、一斉に一糸乱れぬ最敬礼が行われて、びっくりさせられて。

「3,2,1、紙吹雪、降らせー!」

 大きな商店の前を通るたびに、屋上から紙吹雪が、ブワワッて振りまかれるんだよ!?
 こ、これは後で片づけるのが大変そうだね……。

 なんだか、まるで女王さまにでもなったみたいだった。

 それだけみんな、喜んでくれてるってことなんだろうけど。

「ううっ、わたしは庶民だから、こんなにチヤホヤされちゃうと、背中がむずむずしてきちゃいます……」

 ニッコリ笑顔で余裕しゃくしゃくって感じのライオネルの隣で、わたしは相変わらずの小市民っぷりを発揮していた。

「それだけ国民が、太陽が顔を出すのを待ち望んでいたってことさ」
 そんなわたしを見て、ライオネルが優しく笑う。

「だって『虹の聖女』とか『太陽の巫女』とか『救国の聖女』とかものすごいこと言われてるんですけど……みなさん、いったいどこから情報を?」

「なに、先に山を下りた連絡係が、ありのままを伝えた結果さ。クレアの言うとおりにしたら、すぐに太陽がさし、虹が出て、そしてブリスタニアは救われた。全てただの事実だろう?」

「ですが……」

「ねぇクレア。クレアは今までもずっと、こんなすごいことをしてきたんだ。だからもっと自信を持っていいんだよ」

 ライオネルがわたしを見て、優しく告げた。

「ライオネル……ありがとうございます」

 わたしのために、こんなにも色んなことをしてくれて……。
 ここに来れて、ブリスタニアに来れて、わたしほんとに良かった……。

「まぁでも、クレアの偉ぶらない控えめな性格も、すごく魅力的だと思うけどね」

 ライオネルは、そう言って小さくウインクをすると、再び、沿道の人々に視線を戻した。
 ステキな笑顔を振りまきながら、人々に手を振り返している。

 その後も。
 王宮に入るギリギリまで、沿道は人々でいっぱいになっていて。

 わたしは、龍に仕える巫女としてはじめて、報われたと心の底から感じたのだった。

「ありがとうライオネル」

 そっとつぶやいたわたしは、胸の中がライオネルの優しさで、いっぱいになっていくのを感じていた――。
しおりを挟む
感想 133

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。

和泉鷹央
恋愛
 聖女は十年しか生きられない。  この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。  それは期間満了後に始まる約束だったけど――  一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。  二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。  ライラはこの契約を承諾する。  十年後。  あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。  そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。  こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。  そう思い、ライラは聖女をやめることにした。  他の投稿サイトでも掲載しています。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

召喚聖女が来たのでお前は用済みだと追放されましたが、今更帰って来いと言われても無理ですから

神崎 ルナ
恋愛
 アイリーンは聖女のお役目を10年以上してきた。    だが、今回とても強い力を持った聖女を異世界から召喚できた、ということでアイリーンは婚約破棄され、さらに冤罪を着せられ、国外追放されてしまう。  その後、異世界から召喚された聖女は能力は高いがさぼり癖がひどく、これならばアイリーンの方が何倍もマシ、と迎えが来るが既にアイリーンは新しい生活を手に入れていた。  

【完結】真の聖女だった私は死にました。あなたたちのせいですよ?

恋愛
聖女として国のために尽くしてきたフローラ。 しかしその力を妬むカリアによって聖女の座を奪われ、顔に傷をつけられたあげく、さらには聖女を騙った罪で追放、彼女を称えていたはずの王太子からは婚約破棄を突きつけられてしまう。 追放が正式に決まった日、絶望した彼女はふたりの目の前で死ぬことを選んだ。 フローラの亡骸は水葬されるが、奇跡的に一命を取り留めていた彼女は船に乗っていた他国の騎士団長に拾われる。 ラピスと名乗った青年はフローラを気に入って自分の屋敷に居候させる。 記憶喪失と顔の傷を抱えながらも前向きに生きるフローラを周りは愛し、やがてその愛情に応えるように彼女のほんとうの力が目覚めて……。 一方、真の聖女がいなくなった国は滅びへと向かっていた── ※小説家になろうにも投稿しています いいねやエール嬉しいです!ありがとうございます!

義母の企みで王子との婚約は破棄され、辺境の老貴族と結婚せよと追放されたけど、結婚したのは孫息子だし、思いっきり歌も歌えて言うことありません!

もーりんもも
恋愛
義妹の聖女の証を奪って聖女になり代わろうとした罪で、辺境の地を治める老貴族と結婚しろと王に命じられ、王都から追放されてしまったアデリーン。 ところが、結婚相手の領主アドルフ・ジャンポール侯爵は、結婚式当日に老衰で死んでしまった。 王様の命令は、「ジャンポール家の当主と結婚せよ」ということで、急遽ジャンポール家の当主となった孫息子ユリウスと結婚することに。 ユリウスの結婚の誓いの言葉は「ふん。ゲス女め」。 それでもアデリーンにとっては、緑豊かなジャンポール領は楽園だった。 誰にも遠慮することなく、美しい森の中で、大好きな歌を思いっきり歌えるから! アデリーンの歌には不思議な力があった。その歌声は万物を癒し、ユリウスの心までをも溶かしていく……。

【完結】次期聖女として育てられてきましたが、異父妹の出現で全てが終わりました。史上最高の聖女を追放した代償は高くつきます!

林 真帆
恋愛
マリアは聖女の血を受け継ぐ家系に生まれ、次期聖女として大切に育てられてきた。  マリア自身も、自分が聖女になり、全てを国と民に捧げるものと信じて疑わなかった。  そんなマリアの前に、異父妹のカタリナが突然現れる。  そして、カタリナが現れたことで、マリアの生活は一変する。  どうやら現聖女である母親のエリザベートが、マリアを追い出し、カタリナを次期聖女にしようと企んでいるようで……。 2022.6.22 第一章完結しました。 2022.7.5 第二章完結しました。 第一章は、主人公が理不尽な目に遭い、追放されるまでのお話です。 第二章は、主人公が国を追放された後の生活。まだまだ不幸は続きます。 第三章から徐々に主人公が報われる展開となる予定です。

処理中です...