俺が恋愛不感症になったわけ。「恋愛なんてしょせんは人類が子孫を残すための付随行為に過ぎないだろ?」

マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫

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第三章 小鳥遊加恋

第31話 とある作戦と、その成否。

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 話が――オレ的にはしょうがない感じで――まとまったところで、

 キーンコーンカーンコーン。

 ちょうど予鈴のチャイムがなったので、オレは加恋の方を向いていた身体を、前をへと向けた。

 クラスメイト達がいそいそと自席へと向かう中、隣の席の夏美が少ししょげた様子でジッとオレを見つめているのが、視界の端に映る。

 それを見たオレはとある作戦を思いついた。
 夏美を連れていけば「1対1のデート」から「3人での遊び」にスライドさせられるのでは? ってなことを思いついたのだ。
 
 思いついたが吉日。
 早速、さっきの話を夏美に振る。

「もしかして夏美も一緒に遊びに行きたいのか? そういや夏美はクレープ好きだったもんな」

「あ、えっと……クレープは好きだけど……」

 オレではなくオレの背後にいる加恋へ、顔色をうかがうような視線を向けつつ、ごにょごにょと小さな声で言い淀む夏美。

 そんな夏美に答えるように、オレの背中側から加恋の楽しそうな声が飛んでくる。

「へー、ナツミンもクレープ好きなんだ~♪ ねぇねぇ、好きなトッピングとかある? アタシはベリーがいっぱい入ったぁ、クリームマシマシなのが好きなんだよね~♪ 甘酸っぱいのがすっごく美味しくてぇ、もう何個でも食べられちゃう感じ♪」

 黙ったら死ぬのかって思うくらいに、まるでマシンガンのようにまくし立てる加恋のトークには、しかし。
 自分語りと相手への問いかけが、実にバランスよく盛り込まれていて、支配系クラス女王によくある一方的な押しつけがましさがまったくと言っていいほど感じられない。

「えっと、私は特にこれって言うのはないんだけど……」
「じゃあ強いて言うなら? ナツミンがどんなの好きなのかアタシ知りたい~! ねぇねぇ教えて~!」

「えっと、強いて言うなら……イチゴとホイップとチョコのトッピングかな?」

 すごいな。
 基本的にあまり自己主張をしない夏美に、強く強制するでもなく、さらりと好みを言わせてしまった。

「ナツミンは甘々系のベーシック派なんだねー。でもベーシックもいいよね。っていうかクレープはどれも美味しいよね~♪ いつもすっごく悩んじゃうもん」

「ふふっ、だよね」

 少し緊張がほぐれた様子で、夏美が小さく笑う。
 どうやら女の子同士、分かり合うものがあったらしい。

 そして。

「じゃあナツミンも一緒にクレープ食べに行く?」

 俺の待ち望んでいた一言が、ついに加恋の口から出た。

 だよな?
 加恋なら当然、そう提案するよな?

 そして夏美の性格的に、クラス女王の加恋に逆らうわけがないので、これで「1対1のデート」から「3人での遊び」にスライドさせるというオレの作戦は成功――、

「ううん、そんな……。2人の……デートの邪魔はしないし」
 
 まさかの展開だった。
 いやほんとまさか、夏美が加恋の提案を蹴るとは。

「そう? 遠慮しないでいいよ?」
「そういうのじゃなくて……その、今日は放課後に用事があるから」

「ふーん、そうなんだ」
「う、うん……」

「……」
「……」

 両者しばしの沈黙の後、加恋が言った。

「用事があるなら仕方ないよね。じゃあシュートと2人で行ってくるね♪」

「うん……楽しんできてね」

 夏美がそう答えたところで、担任の先生が教室のドアを開けて入ってきて、オレたちは全員、前を向いて口を閉じる。

 というわけで。
「1対1のデート」から「3人での遊び」にスライドさせる俺の目論見はあえなくついえ。
 
 やっぱりオレと加恋は2人きりで放課後デートに行くことになってしまったのだった。
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