俺が恋愛不感症になったわけ。「恋愛なんてしょせんは人類が子孫を残すための付随行為に過ぎないだろ?」

マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫

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第三章 小鳥遊加恋

第32話 加恋ちゃんちゅきちゅきー♡

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 その後、授業中は当然として、休み時間や昼休みは加恋はいろんなクラスメイトと――加恋と仲良くなろうと次から次へと加恋の元へとやってきていた――おしゃべりに花を咲かせており。

 オレはオレで細川たちと群れていたのもあって、オレと加恋はほぼ話すことはなかった。

 そうして迎えた放課後。
 帰りのホームルームが終わる否や、

「終わった~~~~!」

 加恋が両手を天に突き上げるようにうーんと伸びをすると、満面の笑みを浮かべながらオレを見た。

「シュートっ、遊びに行こっ♪」
「行くか」

 夏美や細川たちにバイバイと告げると、オレは加恋と連れ立って教室を出た。

 喧騒に溢れる放課後の廊下を歩くオレと加恋だったが、すぐにこれでもかというほどに注目を集めてしまう。

「あの子、ちょお可愛い~!」
「芸能人みた~い!」
「1組の小鳥遊さんだろ? マジ可愛いよな」
「俺も同じクラスが良かったなぁ」
「来年の文理選択は、俺ぜったい小鳥遊さんと同じにするわ」

 訂正。
 注目を集めたのは「オレと加恋」ではなく「加恋」だった。

 中には「隣の男子ってカレシかな? 背、高くてカッコいいなー」なんてのもあったが、そんなのは極めて少数意見だ。

 おそらくだが、加恋の隣にいるってだけで変なプラスバイアスがかかっているに違いない。
 まったく、これだから恋愛脳ってやつは。

 恋だの愛だのくだらないことにとらわれてないで、もっと物事の本質を見た方が人生にとって有益だぞ。

「あはは、なんか目立っちゃってるね?」
 隣を歩く加恋がまんざらでもなさそうな顔を向けてくる。

「そりゃ可愛いからだろ」
「やーん、シュートってサラッとそういうこと言っちゃうんだー? 実は意外と女慣れしてるのぉ?」

「ただの客観的事実だよ。可愛い自覚はあるんだろ?」

 身体をクネクネさせながら甘ったるい声でからかってくる加恋に、オレはすげなく淡々と答える。

 率直に言って可愛いとは思う。
 あざとさすらも下手に隠そうとせずに、むしろ己の魅力に変えてしまう、生まれ持ってのビジュアル・クイーンだ。

 もちろん恋愛アンチのオレは「加恋ちゃんちゅきちゅきー♡」などと思うわけもなく、「人生楽そうだな」「TikTok で踊ったらバズりそう」くらいの感想しか持ち得ないわけだが。

「さー、どーでしょー?」
 加恋が人好きのする笑顔を向けてくる。

 元が可愛いのも相まって、すっと心に入り込んでくるような笑顔だ。

 もちろん恋愛アンチのオレには通じない――のだが、加恋がそれもう話しやすいのもあって、オレが淡々と話していた割には思ったよりも会話は弾んでいた。

「否定しないってことは、肯定ってことだよな」
「まっ、さすがに否定はできないよね。あはっ♪」

「ぜんぜん嫌味には聞こえないのがすごいな。そうだよなって理解わからされるっていうか」
「そんなの当然、嫌味なんて入ってないもーん。だってアタシ、世界中のみんなに好かれたいから」

「世界中か……そりゃまた大きく出たな」
「夢と希望は大きい方がいいでしょ?」

「そりゃそうだ」
「だよねー♪ そういうシュートは何か夢とかあるの?」

「いや、特にはないな」
「そんな大きいのじゃなくても、ほら、例えば2年になるまでにカノジョを作るとか、そういうのは?」

「まったく興味はない」
「やーん、やっぱりクールぅ♪」

 どうしてそう、なんでもかんでも隙あらばコイバナに結び付けたがるのか?
 ここだけはどうしても加恋とは分かり合えそうにはなかった。

 とまぁ、そんな風に終始、笑顔とトークを絶やさない加恋と、オレはぼちぼち普通の会話をしながら学校を出て、通学路を戻り、電車に乗って2駅隣にあるショッピングモールへ入り口にあるクレープ屋へと到着した。
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