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第四章 揺れる想い
第42話 あざとい加恋と、手ごわいシュート
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「一緒って、急になんの話だ?」
話が急に飛んだように感じて、オレは困惑とともに聞き返した。
「ナツミンにきまってるじゃーん。オナ中で同じクラスでしょ? 一緒に登校するのが普通じゃなーい?」
「いや、どうかな?」
「絶対そうだしー」
疑問を呈したオレに、しかし加恋は何の迷いもなく断言で返した。
「必ずしもそうとは限らないと思うぞ。そもそも夏美とは友だちになったばかりだしさ。家とかも知らないし」
別に嘘ではない。
オレと夏美は高校初日に友だちになったばかりだ。
小学校は別学区だったし、夏美の家にも行ったこともないし、なんとなくあの辺に住んでいるってことくらいしか知らない。
「真実」とは少し異なるかもしれないが。
「それもちょっと不思議なんだよねー。友達になったばかりなのにナツミンのことを名前呼びしてるでしょ? 細川くんには細川って苗字を呼び捨てにしてるのにー?」
「まぁ、そうだな」
「なんかー、ナツミンとシュートの間にビミョーな距離感を感じるんだけどぉ? これってアタシの気のせい?」
……まだ高校入学3日目だってのに、周りの人間関係をよく見ているなぁ。
しかも勘まで鋭いときた。
あれか、コイバナセンサーってやつか。
『好きこそものの上手なれ』とは昔から言うもんだが、恋愛脳の奴らってコイバナの匂いを嗅ぎ分けるのが妙に上手なんだよなぁ。
かくいうオレもアンチコイバナセンサーとでも言えばいいだろうか。コイバナになりそうな話題を、事前に避けがちではあるのだが。
「それなら加恋のことも加恋って名前呼びしているだろ?」
「あ、ほんとだねー♪ あはっ、シュートの言う通りっ♪」
しかしオレがなんとなく思いついた「理由」で軽くあしらうと、加恋はすぐに納得してくれて、自分の負けを認めるようにてへぺろって舌を出した。
その姿は実にあざとく、たいそう可愛いらしい。
普通の男子なら、もうこれだけで即、恋に落ちているんじゃないだろうか。
ま、オレは恋愛アンチなんで。あざとさばかりが目についてしまうが。
そんなことを思っていると、「むー……!」なぜだか加恋が不満そうにオレを見ていることに気が付いた。
「……な、なんだ?」
「べーつにー?」
「なんだよ?」
「これは本気で手ごわいかも」
「だから何の話だよ?」
「なんでもないですぅ!」
「意味が分からん……」
などと、少し変な雰囲気にはなったものの。
その後、加恋はすぐにいつものテンションを取り戻して、天気の話やオモシロ動画の話をしているうちに高校に着き、一緒に校内を通って教室に入った。
「みんな、おっはよー♪」
加恋が笑顔で挨拶をすると、クラス全員が一斉に入り口へと視線を向けてきた。
「おはよー!」「加恋ちゃんおはよー」「ういーっす!」「んだんだ!」
我先にと声が上がり、教室中に挨拶が連鎖していく。
さすがクラス女王。
しかもシゴデキでフレンドリー系のクラス女王ときた。
クラスメイト達の女王への忠誠心は既に青天井の様相だ。
ちなみに加恋からわずかに遅れて教室に入ったオレも、流れで「おはよう」と挨拶をしていたんだが、加恋への挨拶の連鎖によって、オレの声は完全にかき消されてしまっていた。
下手したらクラスの半分以上は、オレのことは視界に入ってすらいないかもだ。
まぁ世の中そんなもんだよな。
もちろんカラオケで一緒だった細川たち一部男子は、加恋だけでなくオレにも視線を向けていたが、極めて少数派だった。
しかしその中で、夏美だけが違った反応を見せた。
加恋が教室のあちこちで愛想を振りまいている間に、オレが自分の席――つまり夏美の隣に座ると、夏美が開口一番に言った。
「今日は加恋ちゃんと一緒に登校したんだね」
話が急に飛んだように感じて、オレは困惑とともに聞き返した。
「ナツミンにきまってるじゃーん。オナ中で同じクラスでしょ? 一緒に登校するのが普通じゃなーい?」
「いや、どうかな?」
「絶対そうだしー」
疑問を呈したオレに、しかし加恋は何の迷いもなく断言で返した。
「必ずしもそうとは限らないと思うぞ。そもそも夏美とは友だちになったばかりだしさ。家とかも知らないし」
別に嘘ではない。
オレと夏美は高校初日に友だちになったばかりだ。
小学校は別学区だったし、夏美の家にも行ったこともないし、なんとなくあの辺に住んでいるってことくらいしか知らない。
「真実」とは少し異なるかもしれないが。
「それもちょっと不思議なんだよねー。友達になったばかりなのにナツミンのことを名前呼びしてるでしょ? 細川くんには細川って苗字を呼び捨てにしてるのにー?」
「まぁ、そうだな」
「なんかー、ナツミンとシュートの間にビミョーな距離感を感じるんだけどぉ? これってアタシの気のせい?」
……まだ高校入学3日目だってのに、周りの人間関係をよく見ているなぁ。
しかも勘まで鋭いときた。
あれか、コイバナセンサーってやつか。
『好きこそものの上手なれ』とは昔から言うもんだが、恋愛脳の奴らってコイバナの匂いを嗅ぎ分けるのが妙に上手なんだよなぁ。
かくいうオレもアンチコイバナセンサーとでも言えばいいだろうか。コイバナになりそうな話題を、事前に避けがちではあるのだが。
「それなら加恋のことも加恋って名前呼びしているだろ?」
「あ、ほんとだねー♪ あはっ、シュートの言う通りっ♪」
しかしオレがなんとなく思いついた「理由」で軽くあしらうと、加恋はすぐに納得してくれて、自分の負けを認めるようにてへぺろって舌を出した。
その姿は実にあざとく、たいそう可愛いらしい。
普通の男子なら、もうこれだけで即、恋に落ちているんじゃないだろうか。
ま、オレは恋愛アンチなんで。あざとさばかりが目についてしまうが。
そんなことを思っていると、「むー……!」なぜだか加恋が不満そうにオレを見ていることに気が付いた。
「……な、なんだ?」
「べーつにー?」
「なんだよ?」
「これは本気で手ごわいかも」
「だから何の話だよ?」
「なんでもないですぅ!」
「意味が分からん……」
などと、少し変な雰囲気にはなったものの。
その後、加恋はすぐにいつものテンションを取り戻して、天気の話やオモシロ動画の話をしているうちに高校に着き、一緒に校内を通って教室に入った。
「みんな、おっはよー♪」
加恋が笑顔で挨拶をすると、クラス全員が一斉に入り口へと視線を向けてきた。
「おはよー!」「加恋ちゃんおはよー」「ういーっす!」「んだんだ!」
我先にと声が上がり、教室中に挨拶が連鎖していく。
さすがクラス女王。
しかもシゴデキでフレンドリー系のクラス女王ときた。
クラスメイト達の女王への忠誠心は既に青天井の様相だ。
ちなみに加恋からわずかに遅れて教室に入ったオレも、流れで「おはよう」と挨拶をしていたんだが、加恋への挨拶の連鎖によって、オレの声は完全にかき消されてしまっていた。
下手したらクラスの半分以上は、オレのことは視界に入ってすらいないかもだ。
まぁ世の中そんなもんだよな。
もちろんカラオケで一緒だった細川たち一部男子は、加恋だけでなくオレにも視線を向けていたが、極めて少数派だった。
しかしその中で、夏美だけが違った反応を見せた。
加恋が教室のあちこちで愛想を振りまいている間に、オレが自分の席――つまり夏美の隣に座ると、夏美が開口一番に言った。
「今日は加恋ちゃんと一緒に登校したんだね」
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