レアジョブ【精霊騎士】の俺、突然【勇者パーティ】を追放されたので【へっぽこ幼女魔王さま】とスローライフします

マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫

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第三章 ゲーゲンパレス・スローライフ(前編)

第15話 【精霊騎士】、街中で【イフリート】を召喚してしまう

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【CASE:3、真実の口】

「な、なんだこのおっさんのでかい顔だけの彫刻は!?」
「これは【真実の口】というのじゃ」

「【真実の口】?」

「嘘つきがこの口に手を入れると手が抜けなくなるのじゃよ」

「なにそれ、こわっ!?」

「あくまでただの言い伝えなのじゃ――」

「分かったぞ、さてはイタズラ好きの双子精霊【アミ・マミ】の仕業だな?」

 手を入れたら抜けなくなるなんて、人をからかって遊ぶのが好きな【アミ・マミ】がやりそうなことだからな。

 ならば──!

「よし、ここは俺に任せろ!」

「ハルト? 急にどうしたのじゃ?」

「人をからかって遊ぶのがいきがいのいたずら好きな精霊め! だがここに俺がやって来たのが運の尽きだったな。【精霊騎士】である俺が少しおきゅうを据えてやろう! 出でよ! 炎の魔神【イフリート】!」

 ――心得た――

 俺は炎の最上位精霊【イフリート】を召喚し顕現させた。

 それを見た幼女魔王さまが慌てふためいて悲鳴のような声をあげる。

「ちょっとぉ!? 街中でいきなり伝説の炎の魔神【イフリート】を召喚じゃと!? しかも当たり前のように無詠唱じゃし!」

「なに心配はいらない、俺は完全に【イフリート】をコントロールしている。だからほら、人間サイズで小さめに顕現させているだろ?」

 俺ほどになれば、最強と名高い炎の魔神もこの通り素直なものだ。
 レアジョブ【精霊騎士】は伊達ではない。

 また、顕現させたことで精霊使いじゃなくても見えるようになったので、

「これが炎の最上位精霊【イフリート】ですか。揺らめく炎が綺麗なものですね」

 ほへーって感じでミスティが興味深そうに観察していた。

「ハルトよ、お主ほんっとうにスゴイのぅ……お主の前では最弱の【火トカゲ】を呼び出すのがやっとのわらわなんぞ、ミジンコも同然――」

「ま、魔王さま、お気を確かに!!」

 ふらふらと青い顔をして倒れかけた魔王さまをミスティが慌てて支えてあげる。

「すまんのぅミスティ、お主にはいつも迷惑をかける」
「なんともったいないお言葉です。さ、深呼吸をして気持ちを落ち着けましょう」

「すーはー、すーはー……ふぅ少し落ち着いたのじゃ。じゃがしかしハルト、今回もお主の早とちりであるぞ? あくまでそう言う言い伝えがあるというだけなのじゃから」

 幼女魔王さまは深呼吸して気持ちを落ち着けショックから立ち直ると、そんな説明をしてくれた。

「ってことは、嘘だと分かった上でみんな【真実の口】に手を入れているのか?」
「そういうことじゃの」

「いったい何のために? 別に入れても何も起こらないんだろう?」

「ハルトはどこまでも合理主義者リアリストじゃのぅ。嘘を嘘と分かった上で、敢えてのっかって楽しむ。時には無駄とも思えるその非合理性の中にこそ、文化の味わいというものが見えてくるのじゃよ」

「ふへぇ~~、進んだ考え方だなぁ」

 俺は【ゲーゲンパレス】に根付く文化的先進性に心の底から感動したのだった。

 そして、

「では次の場所に――」
 そう幼女魔王さまが言いかけた時だった。

 ――すんませんでしたー!――

 【真実の口】から二人の声がハモったような声が聞こえてきたのは。

「うぇぇぇっ!?」
「魔王さま急にどうされたのです!?」

 その声を耳にした幼女魔王さまが口をパクパクさせながらぶっ倒れ、すんでのところでミスティがそれを支える。

「どうやら本当に精霊が住み着いていたみたいだな」

 【イフリート】の放つ強烈なプレッシャーに耐え切れず、いたずら好きの双子精霊【アミ・マミ】が自首してきたのだ。

 ――もういたずらはしませんのでお許しを~――
 ――お許しを~――

 姿を現した双子精霊は【イフリート】にビビりまくってへこへこと謝罪をはじめた。

 だから俺はズバリ言ってやった。

「いや今まで通りでいい。これからも嘘を嘘と知った上で楽しむこの最先端文化を見守っていってくれ。それがお前たちの使命だ」

 ――ねーアミ、この人なに言ってんのー?――
 ――アミわかんなーい――
 ――だよねーw――
 ――イミフーww――
 ――ウケるww――

 ワイワイやりだした双子精霊を【イフリート】が猛烈なプレッシャーと共にギロリと睨みつけると、

 ――みこころのままにー!――
 ――ままにー!――

 双子精霊は素直に俺の言うことに従うことを約束したのだった。

 その後も俺は時間の許す限り様々な観光名所を案内してもらい、行く先々で最先端文化に感銘を受け続けたのだった。
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