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第二章
82ー井戸端会議
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「で、噂を流すのはケイだけか?」
「アーデス様、ケイは街の民を中心に。リルとノトスの手もお借りしたいのですが」
「リルとノトスは何をするんだ?」
「はい、ラウ様。同じ噂を流してもらいますが、2人には貴族を担当して頂こうかと」
「成る程、これからティシュトリア公爵が来ると先触れを兼ねてだな」
「その通りです」
「それは良いわね」
お母様。またいつの間にいらっしゃったの?
「ルル、最初からいたわ」
また読まれちゃったわ。
「奥様、しかし難点が一つ」
「あら、ユリウス何かしら?」
「はい。解呪薬を提供した事や、王家が解呪しきれなかった者を解呪したという内容ですので、若干王家が情けない事になるやも知れません」
「あら、そんなの全然構わないわ。それに事実ですもの」
お母様、王家嫌いだから……。
「ああ、構わないな」
お父様まで……。
「今回の事では私はね、怒っているのですよ」
「ああ、私もだ。無責任にも程がある。王都の父上も同じ考えだ。王に怒鳴り込んで行ったらしいぞ。久しぶりに父上の雷が落ちたと噂になっているそうだ」
やだ、お祖父様。過激だわ。
「ルル、違うぞ。王家として国民を守る責任の問題だぞ」
「まぁ、レオン殿下。その通りですわ」
「帝国では有り得ない事ですから」
「そうですわね。私もこの国に来て王家には失望する事ばかりですわ」
「ユリウスの提案の線で動くか」
「では、ルル様。早速魔道具作成に取り掛かりましょう」
え……私?
「先程、作りましょう! と仰ってたではないですか」
まぁ、言ったかな……。
「ルル様」
分かったわよ。
「はい、作りますよ」
「今は手持ちの魔石がないので数は作れませんが、噂を流しに先行する者の分だけでも作りましょう」
はいはい、了解です。
レオン様にはケイを呼んでもらい、私は道中魔道具作成です。一つの馬車が魔道具作成場になってしまったわよ。
そうよ、ユリウスとマーリソン様が一緒よ。モモもいるけどね。
「わふ……」
モモちゃん嫌そうね。
「わふ」
でもモモちゃんはどうせ寝るからいいじゃない。
「わふっ!」
なぁに? 私間違った事言ったかしら? だってモモちゃん寝るでしょう?
「わふ……」
「ルル様、モモちゃんと戯れてないで集中して下さい」
はーい。ほら、怒られちゃったじゃない。
「ユリウス、違うわよ」
「何がですか?」
「魔道具の形よ。そうじゃなくて、こう耳に掛けるのよ。そして周りの人に声が漏れない様にして……で、こう喋れる様にするのよ」
「……?」
だからね、ヘッドセットよ。ヘッドセット。
「だからね、通話の相手の声が外に漏れない様に耳に聞き取る部分を入れて、本体を耳に引っ掛けるみたいにするの。喋る部分、声を拾う部分を一体型にして……て、ダメかしら?」
「成る程。イヤーカフスを元にしましょうか」
うん、それでもいいわ。ヘッドセットが通じないわ。こんな時、レオン様なら乗ってくれるわね。
「ルル様、以前作ったピアス型の魔道具を長距離でも使える様にすれば良いだけでは?」
「あ、そうか。そういえば作ったわね。じゃあ、今回はカフス型ね」
「あの魔道具は素晴らしい物ですね!」
「マーリソン様、有難う。勢いで作っちゃったんですけどね」
「私もよくやりますね。勢いは大事です」
「そうだ。マーリソン様、勢いで映像を保存できる魔道具作ってたじゃない!」
「あー、そうですね。そんな物も作りましたねー」
やだ、もう天才はヤダわ。
「私から見れば、ルル様も同じですよ」
やだ、私そんなテンションで魔道具作ってるかしら?
「ええ、そうですね。ルル様も勢いですね」
またユリウスが私の心の声を読んでるわ。
「皆さんお分かりだと思いますよ。ルル様は分かりやすいですから」
「ユリウス殿、確かにそうですね」
まぁ、マーリソン様まで!
「ユリウス、カフスとピアスの合体型でいくわ」
「はい、分かりました」
本当に?
「ええ、カフスで音声聞いて、ピアスで音声を拾うんですよね?」
その通りよ……。
「じゃあ前と同じ様に使う時は魔力を流すタイプにしましょうか。そうすれば魔石も小さくて済みますね」
「そうねユリウス、若しくは別に持つかね」
「別に持つと言うと?」
「例えばね、腰の剣帯に魔石を付けておいて、そこから魔力を流すみたいな?」
「成る程。でもそうすると、魔石から魔道具まで繋げなければならなくなりますね」
「そうなのよ」
「ああ、それは魔力を流せば大丈夫でしょう」
ん? マーリソン様どういう事かしら?
「ですので、普通に魔法を使う時と同じですよ」
同じとは?
「魔法を使う時は繋がっていたりしないでしょう? 例えば、ファイアを放つ時に敵まで繋げなければならないなんて事はないですよね? それと同じです」
ほぉー。
「ま、どっちみち魔力を流さないといけないのですがね」
あ、そうか……。
「まぁ、でも魔力量に違いが出ますから容量が違う感じですか。今は取り敢えずカフスとピアスだけで良いのではないですか?」
うん、そうね。て言うか、このメンバーで魔道具を作っている時って、どうしてこう井戸端会議みたいになるのかしらね。
「それはルル様、手を動かしながらだからではないでしょうか?」
「そうですね。いや、普通は集中しないと作れない物ですが」
「マーリソン殿は魔力操作が素晴らしいですからね」
「いえいえ、ユリウス殿こそ」
「いえいえ、マーリソン殿には敵いません」
なんだかこの会話、前にも聞いた覚えがあるわ。私は甘いオヤツが食べたいわ。
「アーデス様、ケイは街の民を中心に。リルとノトスの手もお借りしたいのですが」
「リルとノトスは何をするんだ?」
「はい、ラウ様。同じ噂を流してもらいますが、2人には貴族を担当して頂こうかと」
「成る程、これからティシュトリア公爵が来ると先触れを兼ねてだな」
「その通りです」
「それは良いわね」
お母様。またいつの間にいらっしゃったの?
「ルル、最初からいたわ」
また読まれちゃったわ。
「奥様、しかし難点が一つ」
「あら、ユリウス何かしら?」
「はい。解呪薬を提供した事や、王家が解呪しきれなかった者を解呪したという内容ですので、若干王家が情けない事になるやも知れません」
「あら、そんなの全然構わないわ。それに事実ですもの」
お母様、王家嫌いだから……。
「ああ、構わないな」
お父様まで……。
「今回の事では私はね、怒っているのですよ」
「ああ、私もだ。無責任にも程がある。王都の父上も同じ考えだ。王に怒鳴り込んで行ったらしいぞ。久しぶりに父上の雷が落ちたと噂になっているそうだ」
やだ、お祖父様。過激だわ。
「ルル、違うぞ。王家として国民を守る責任の問題だぞ」
「まぁ、レオン殿下。その通りですわ」
「帝国では有り得ない事ですから」
「そうですわね。私もこの国に来て王家には失望する事ばかりですわ」
「ユリウスの提案の線で動くか」
「では、ルル様。早速魔道具作成に取り掛かりましょう」
え……私?
「先程、作りましょう! と仰ってたではないですか」
まぁ、言ったかな……。
「ルル様」
分かったわよ。
「はい、作りますよ」
「今は手持ちの魔石がないので数は作れませんが、噂を流しに先行する者の分だけでも作りましょう」
はいはい、了解です。
レオン様にはケイを呼んでもらい、私は道中魔道具作成です。一つの馬車が魔道具作成場になってしまったわよ。
そうよ、ユリウスとマーリソン様が一緒よ。モモもいるけどね。
「わふ……」
モモちゃん嫌そうね。
「わふ」
でもモモちゃんはどうせ寝るからいいじゃない。
「わふっ!」
なぁに? 私間違った事言ったかしら? だってモモちゃん寝るでしょう?
「わふ……」
「ルル様、モモちゃんと戯れてないで集中して下さい」
はーい。ほら、怒られちゃったじゃない。
「ユリウス、違うわよ」
「何がですか?」
「魔道具の形よ。そうじゃなくて、こう耳に掛けるのよ。そして周りの人に声が漏れない様にして……で、こう喋れる様にするのよ」
「……?」
だからね、ヘッドセットよ。ヘッドセット。
「だからね、通話の相手の声が外に漏れない様に耳に聞き取る部分を入れて、本体を耳に引っ掛けるみたいにするの。喋る部分、声を拾う部分を一体型にして……て、ダメかしら?」
「成る程。イヤーカフスを元にしましょうか」
うん、それでもいいわ。ヘッドセットが通じないわ。こんな時、レオン様なら乗ってくれるわね。
「ルル様、以前作ったピアス型の魔道具を長距離でも使える様にすれば良いだけでは?」
「あ、そうか。そういえば作ったわね。じゃあ、今回はカフス型ね」
「あの魔道具は素晴らしい物ですね!」
「マーリソン様、有難う。勢いで作っちゃったんですけどね」
「私もよくやりますね。勢いは大事です」
「そうだ。マーリソン様、勢いで映像を保存できる魔道具作ってたじゃない!」
「あー、そうですね。そんな物も作りましたねー」
やだ、もう天才はヤダわ。
「私から見れば、ルル様も同じですよ」
やだ、私そんなテンションで魔道具作ってるかしら?
「ええ、そうですね。ルル様も勢いですね」
またユリウスが私の心の声を読んでるわ。
「皆さんお分かりだと思いますよ。ルル様は分かりやすいですから」
「ユリウス殿、確かにそうですね」
まぁ、マーリソン様まで!
「ユリウス、カフスとピアスの合体型でいくわ」
「はい、分かりました」
本当に?
「ええ、カフスで音声聞いて、ピアスで音声を拾うんですよね?」
その通りよ……。
「じゃあ前と同じ様に使う時は魔力を流すタイプにしましょうか。そうすれば魔石も小さくて済みますね」
「そうねユリウス、若しくは別に持つかね」
「別に持つと言うと?」
「例えばね、腰の剣帯に魔石を付けておいて、そこから魔力を流すみたいな?」
「成る程。でもそうすると、魔石から魔道具まで繋げなければならなくなりますね」
「そうなのよ」
「ああ、それは魔力を流せば大丈夫でしょう」
ん? マーリソン様どういう事かしら?
「ですので、普通に魔法を使う時と同じですよ」
同じとは?
「魔法を使う時は繋がっていたりしないでしょう? 例えば、ファイアを放つ時に敵まで繋げなければならないなんて事はないですよね? それと同じです」
ほぉー。
「ま、どっちみち魔力を流さないといけないのですがね」
あ、そうか……。
「まぁ、でも魔力量に違いが出ますから容量が違う感じですか。今は取り敢えずカフスとピアスだけで良いのではないですか?」
うん、そうね。て言うか、このメンバーで魔道具を作っている時って、どうしてこう井戸端会議みたいになるのかしらね。
「それはルル様、手を動かしながらだからではないでしょうか?」
「そうですね。いや、普通は集中しないと作れない物ですが」
「マーリソン殿は魔力操作が素晴らしいですからね」
「いえいえ、ユリウス殿こそ」
「いえいえ、マーリソン殿には敵いません」
なんだかこの会話、前にも聞いた覚えがあるわ。私は甘いオヤツが食べたいわ。
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