人生を斜交いに生きた男 実話

人生を斜交いに生きた男 実話 ８

で、１番重いのは、真っ暗いお蔵に２時間閉じ込められる。これはかなり怖いので大方の子供は泣くし、かなりの効き目があった。
　然しこれでも効果が無い場合は追放されるのだ。私がいた時は男子１人が追放されたのだ。万引、恐喝、ナイフ持参等々で保母さんの手に負えないので、それと此処はクリスチャンなので特に男女問題は厳しかった。よって不良少年は追放され易い。
　此処ではお小遣いは一円も出さないので、食事抜きは食べ盛りの子供にとってはかなり応えたのだ。。然し此処にも悪ガキが小遣いをくすねるのだ。子分の子供を脅迫、毎週日曜日、礼拝の時に子供には前もってひとり、１人に５円玉一つを献金用として渡されるが、悪ガキはそれを取り上げて小石を渡し
　「これを入れとけ」
　「エッー」
　献金袋は黒いビロード生地で縦長になっているので外からは中は見えないのと、手が入れ易い様に口が大きくなっている。子供達には最後に回ってくるので石を入れてもチャリンと音がするのでバレにくいのだ。。献金の計算は保母さん２人が立ち合ってするので当然バレてしまったが、保母さんは相談して、シスターには報告しない事に山内氏が
　「犯人に心当たりがあるから」
　この件は山内氏が仕切る事に。犯人は猫可愛がりしているタカシだとわかっていたので、毎週３０円程を立て替えてあげていた。その後もタカシだけに内緒で小遣いを上げていたので献金の件はやがて正常に戻った。
　又、此処はアメリカから定期的に色々な物質が送られてくるのだが、尤も多いのが衣料品。この中にたまにはビンテージ物の〈子供の時は価値も分からず〉ジーパンが入っているのだ。これをバレない程度にくすねて小遣いに変えていた様だ。当時は本当に安い値段で売っていたが、今思えば何と勿体ない事をしたと、、、アロハシャツとか、ネルの長袖シャツとか色々。
　中学になると友達付き合いでお金が必要だが無いのでどうしても引け目を感じて友達を作り辛くなる、ましてや親友などはもっての外だ。

　毎年嫌でも巡って来るお正月、お盆、学校行事で親のいない辛さを否応なく噛み締める時期が遠足、修学旅行は参加させてくれるが小遣いが無いので惨めな思いになるのだ。　　　　続く