人生を斜交いに生きた男 実話

人生を斜交いに生きた男 実話 １５

然し私は先輩でも抗議するので、、、完全に終わるのが７時前後になるので今なら完全なブラック企業だ。１日１５時間労働で、残業代大部分はカットされて使い捨てライター扱い。買い手市場で使ってあげている上から目線対応。
　半年程過ぎると、もう辞めないと踏んだのか？焼き物担当に回された。ここは１番大事な部署で焼き方を失敗すると全ての行程が無駄になるので責任重大である。
　夏は釜の熱で室内は４２度近くになるので塩を舐めながら水分補給しないとフラフラになるのだ。釜は上段下段に分かれていて其々に食パンなら２０本も入る大きさなので、一回でも焦がしたらかなりの不良品になるのでミスをすると厳しく叱られたし、余りミスが多いと給与から天引きされたりと、然し私の場合はミスが少ないので
　「小田なら大丈夫やなぁ」
　工場長も先に帰ったりで、気に入られていた。食パンが焼き上がるのに約４５分位掛かるのでその計算で次の焼き物を発酵室から出す段取りをしたり、要は釜を空ける時間が少なくて、ロスが少ないのが早く終わるし、経費節約になり優秀な職人なのだが、中には機転が利かず、目の前の事しか見えずトロトロとしてると工場長からドヤされるのと、同じ過ちを繰り返す人は配置転換させられる。
　パンは発酵し過ぎると駄目になったり、釜が冷え過ぎて電気料金が高く付いたり。焼物はどうしても１番最後の工程なので電源の確認、火の始末をしてやっと解放されるのだ。少し休む間も無く夕食は８時迄で、風呂は１０時迄なので、通いの人や住込の人、１つの風呂を男女別々に入るので中々空きにくいし、ゆっくりと浸かれない。ましてや新人はどうしても最後の方になるので垢が浮いていたりで又ぬるくなっていたり、私は近くの銭湯に行っていた。当時はヤクザが威張っていたし、刺青の入った人も平気できてたが、私は別に怖がらず一般人と同じ様に接して冗談を言ったりしていたが、確かに怖がる人も多かったのも事実。それよりもゆっくり出来るのと、湯が綺麗なのが気に入っていたので少し不便でも銭湯にしていた。
　食事の件だが、食費、寮費、光熱費、積立金協力金等々を天引きされるので手元には残るのは金は僅かしかない。
　食費も結構な額と人数が払っている割には不味いのだ。
　「こんな不味いもん食えるか！！」
　賄いのおばさんについ当たる。　　　続く