人生を斜交いに生きた男 実話

人生を斜交いに生きた男 実話 ３５

その後は正月用の贈答品用のクッキーとかロールケーキ、パウンド、バームクーヘンが売れるので、、、
　正月が過ぎると少し暇になり、ゆっくりしたペースに戻れるので色々と余裕が出てくるので、以前から気になっていたＡ子も住み込みで働いていたが、一目見た時から
　（この娘は派手さはないので嫁にするには打って付けだと直感があったのだ）
　物凄く好きでもなかったので気楽に声を掛けると相手も満更でもない反応があったのでとんとんと恋愛になり、結婚する気で付き合っていた。２ヶ月後に彼女の親に挨拶をと、工場長に相談したら、一緒に立ち会ってくれる事に。私みたいな環境の人間は一般人と同じ扱いはされ難いので工場長に入って貰ったが、片道２時間半も掛かって、、、栃木県の古河市に。家がポツン、ぽつんと田畑があり半農家で父は国鉄職員（現在のＪＲ）
　絵に描いたように　生真面目でお堅い。
　一応は部屋には上がらせて貰ったが親戚筋が小煩くて！３人姉妹の真ん中なので外に嫁ぐには支障はないが、父は終始無言で主に長女が話をしていたが冷たい対応だった。
　一通りの話がすんでも重い空気が漂い白けてきたりで、工場長に目配せし帰る事にした。玄関までの見送りもなく早々に退散した。完全に招かねざる客だ。
　「余り良い感じじゃなかったなぁ、、、」　「ウン、何か重苦しい空気だし。本当に今日は済みませんでした。わざわざ」
　やはり私の生い立ち、若いのと、不安定とかで反対されても仕方ないと。
　翌日、彼女に聞くと完全に反対していたと。　何処の馬の骨とも分からん奴にはやれない　　と　工場長にお礼方々報告すると
　「そうか、うーん、、、」
　「はい、後は私が頑張りますので、有難うございました」
　その夜、彼女と真剣に話し合い、今思えばかなり強引だったと思う。結局は２人で駆け落ちする事に決まった。当然婚前交渉もあったので彼女としては少し弱い立場になっていたかも⁈
　で、どうしても東京の水に馴染めず、神戸でやり直す事にしたが、いきなり行くのも彼女が不安だろうと考え、仕事の休みを利用して１泊２日でアパートの下調べを（ＳＮＳ）の無い時代で、どうしても現地に出向かないと、、、２回目の挑戦で部屋が決まり契約をして東京に戻り、工場長に今月一杯で退社したいと伝えると
　「そうか残念やなぁ、東京の水は合わないか？」　　続く