人生を斜交いに生きた男 実話

人生を斜交いに生きた男 実話 ３９

この頃に原付免許をやっと収得したが、この時に普通免許もと教習所でテストをしたら視野が狭いとの事で泣く泣く諦めたのだ。
　車だと窓枠やガラス面とか、バックミラーも見辛いので、、、原付なら前に何もないので。病院の送迎には大いに助かったのだ。夜はどうしてもバス走行は少ないし。仕事も原付なら小回りが効いて能率アップに。
　３年程経った頃に今の会社よりも小さな問屋から引き抜きの話が、どうしてもの情に絆されたのと、中卒がバレてから何かにつけて馬鹿にされる言動に腹が立っていたのも大きく作用して、綿密な調査もせずに移ったが半年で給与が遅配になり結局は倒産に、これをキッカケにこの業界からスッパリ足を洗ったのだ。仕事内容は面白いが、かなり不安定なのが、メーカーも毎年２０社程は倒産しては名義を変えて平気で起業したり同胞が金を回しあったり、、、此処らが潮時と。
　その後仕事は探すが定着せず子供の喘息の入院や治療費とか家内のストレスも溜まり２人の子供の面倒があるので共働きも出来ず、私の方に身内もいないので預ける事も出来ず経済的に困窮になり険悪な空気に。子供は家内との時間が長いので、私は悪者扱いに洗脳され子供との距離感が大きくなり
〈勿論悪いのは圧倒的に私だが〉
　それと心の奥に沈んでいる棘が。家内の両親が神戸に泊まった時に
　「内の家系には喘息はいないのに、娘の苦労が可哀想だと、、、」
　これを言われたらどうしょうもない。私なりに一生懸命に頑張っているのに！心の中で何かが弾けた気がした。私の家系が全くの不明なので、どういう遺伝子を継いでるか？把握出来ない無い中で生きているのに。
　結局は協議離婚に同意した。何の条件も付けずに親権は家内に。
　引越しの日は運良く晴れていたので、業者の車に荷物を運び、このまま栃木県まで家族共々乗車して行った。
　別れの挨拶はまるで近所に出掛けるような軽いノリで
　「じゃあな、元気でなー」
　子供もその時は事の重大さも分からず
　「バィ、バィ」
　お互い泣く事もなくあっけない別れに。然し、これが今生の別れの言葉になるとは私も思っていなかった。
　２０２１年８月現在でも別れてから一度も会っていない。長女は小学３年生、長男は小学１年生だった。
　何か開放感と喪失感が入り交じり暫くはポーッとしていた。　　　　続く