人生を斜交いに生きた男 実話

人生を斜交いに生きた男 実話 ４７

　「小田、悪かった今のは聞き流してくれ」
　「ハァ、、、」　
　半ば煮え切らずに渋々部屋を出て次の人と交代した。その日は嫌な気分で家に帰った。
　その後２週間経過したが正式な発表はなかったが岡田の子分が主犯格で責任を負わされたと、、、あれ程大騒ぎをしたからには正式に発表して処分されるべきだが、誰も面と向かって言わずにウヤムヤになってしまった。風の噂では岡田の愛人にスナックをさせていて、そっちに金が流れているのでは⁈

　やがて冬になりボーナスの時期が巡ってきたのだが、此処で大きなトラブルが発生したのだ。ボーナスを配った後で直ぐに会長がやってきて〈初対面だが〉
　「一寸金額が多めに計算して間違いがあるので」
　メモを見ながら１人、ひとりから１万円～２万円を徴収しに各営業所に回っているのだと、以前にも数回あったの事。この金は会長の愛人手当に回るらしい
　然し、私は前代未聞で、これを拒否したのだ。別に子供とは離婚しているし、彼女もそこそこ稼いでいて生活に大きく困る訳でもないし。他の人達はマイホームローン、子供の学費でお金が掛かるので色々と縛りがあって逆らえないのを会長は足元をみて、姑息で嫌らしい卑怯な事を。私が唯一反対したと会社内で噂に
　「凄いな」
　「これからどうなるんやろう！」
　成り行きに興味津々だが、見て見ぬふりをしている。約５８人程から総額９３万円近く集まったようだ。
　３日過ぎた火曜日、作業が終わり事務所に戻ると
　「小田、明日１０時に本社に行くように」
　「ハァー何ですかね？」
　「さぁー」
　「わかりました」
　翌日、本社に来るのは面接以来なので少し緊張したが、１０分前に着き、ノックして入ると総務の岡田に呼ばれ５分程待っていると手書きの辞令書を渡された。まだ墨も乾いていない。
　内容は＝六甲の料金所へ移動を命ず＝
　「ハァー、、、何これは」
　「だからそういう事なんや」
　３０秒程目を瞑り通勤手段を考えた。
　「こんな片道３時間以上掛かるとこに行ける訳ないやろう」
　原付免許はあるが、バイクは無し。通勤は然もバスしかないし、２箇所乗り継ぎ、本数は少ない、待ち時間や徒歩を考えるとゆうに３時間は掛かる。　　　　続く