人生を斜交いに生きた男 実話

人生を斜交いに生きた男 実話 ４８

これは例の嫌がらせやなぁ、、、。
　カチンときたので目の前で辞令書を破って岡田に投げてけた。
　「喧嘩売ってくるんやなぁ、そっちがそう出るならこの喧嘩は買うで」
　一喝したら事務所の空気が一変で凍りついた、
　「サラリーマン全員がヘコヘコと媚びると思い上がるなよ！」
　気分を害したのでその日は休んだ。
　少し落ち着いてから労基署に電話して片道３時間以上の通勤は認められるのか？聞いたが、何とも歯切れの悪い返事が、逆にイラついたので電話を切った。
　こいつらは一体どっちの味方なのか⁈
　労働者の味方か、会社側の味方なのか⁈建前上一応やっていますよのジェスチャーで、真剣に取り組んでいるのか。近くのマックに入りハンバーグを食べながら作戦を考えた。まともな正攻法で攻めてもなぁ、労働組合もないし、時間と金が掛かるし、チンタラでズルズルで負犬になりたくないし。あら治療で、一寸頭を使う方々でギャフンと言わしたるで。　
　その晩彼女に今迄の経緯を話し、売られた喧嘩は買うけどと相談したら、彼女も大いに許せないと怒り
　「好きなようにしても良いよ」
　腹の座った返事が、普通の女性なら関わりを避けてと止めるのだが、彼女の兄貴はハシケの仕事で貨物船に波止場から貨物を小舟で運ぶのだが荒くれが者が多い。１人親方なのだ。よって普通のサラリーマンでは無いのでその影響もあるのか。それと彼女との間には子供もいないし束縛されるものも少ないので。
　「よし、この喧嘩は買うで」
　翌日、いつものように惚けて事業所に出勤したら所長が驚いて
　「小田、こっちに来ても仕事は無いし」
　黙ってタイムカードを押し、周りの社員も余り関わりたく無い雰囲気が漂っていた。会社と喧嘩しても負けるのにと白い目で見ていた。作業服に着替えて事業所内の掃除や作業道具の手入れをしたり、周りの草抜きを勝手にして時間を潰していた。
　２時半頃に本社の部長〈元ヤクザ〉から電話があり、兎に角移動先へ明日から行くようにと。１時間以上経ってから外の電話ボックスから部長を呼び出し
　「急だけど、今晩一杯やりませんか？」
　意外と気軽に応じてくれたのでその晩居酒屋で待っていると１０分遅れて１人で来られた。　　続く